第73話 プリメリア御嬢様の受難
(*´ω`*)女を抱く事でスキルの耐性を得られる事が出来るクート君。プリメリアの事も食材としてしか見てないでつね。
「流石。凄い威力だ」
「あら?そうですの?うふふ、褒めても何も出ませんわよ?」
⋯と、口では言いつつも褒められると嬉しそうにするプリメリア。今の言葉はお世辞でもおべっかでもない。戦いの心得の無い素人だと舐めていた自分を戒めるクート。感心してばかりもしていられない。更に一歩進んで考える。
(今の風魔法⋯遠間から攻撃されて俺は防げるか?)
風の刃は全てを両断する。頑丈な鎧や盾を装備しててもジリ貧に成る。対抗するには―――
(魔法への耐性を上げるしかない、か。⋯今の俺に出来る事は―――)
魔法への耐性が上がって痛感した。魔力を上げるしか魔法には対処出来ない。どの武器や調理魔法を使っても有効とは思えない。治癒力強化も今のクートでは大した出力は出せない。結局の所―――
(ショコラを抱いて胸に齧り付くぐらいかなぁ⋯)
ショコラを抱けば抱く程に防御結界魔法の適性は上がっている。だがなんとも情けない結論である。他には魔法防御力の高いモンスターでも喰うしかないだろう。ショコラを喰い殺す訳にはいかないのだから。そしてどうせなら⋯
(プリメリアを抱くか?風魔法⋯だけじゃないな?他の属性の耐性も得られるなら⋯美味しい)
クートは初めてプリメリアを女として見る。顔は可愛い。控え目に言っても今まで見た女の中でトップスリーに入る。未だ幼さが残るが将来は美人に成るだろう。体は年相応に貧相で肉付きは悪く胸も無いが、此方も此れからだろう。十分に抱ける。
「ゴブギャァッ!?ギャァァァーッ!」
生き残ったゴブリン一匹が奥へと逃げ出して行く気配がする。光源が消えたのでハッキリと視認は出来ないが、其の生き残りも片腕を失っていた。一匹逃がしたが四匹を同時に仕留めた。雑魚モンスターのゴブリン相手とは云え、一撃必殺とは正に此の事だろう。クート自身は一匹ずつ倒さなければならないのだから。
(狭所での風魔法。凶悪だな)
「灯りよ。照らしなさい」
戦慄するクートを他所に、プリメリアが新しく魔法の光源を出す。取り巻きの一人が出した炎とは違い、光の玉は空中に浮遊し周囲を照らす。松明要らずだし、先程の様にずっと掌を翳しておく必要も無い。
「光魔法―――」
「うふふ。私、五属性を操れますの」
驚くクートに誇らしげに胸を張るプリメリア。彼女は地水火風の四属性の他に光属性も操れるのだ。どの属性もコンスタントに操れる分、一芸に特化した生徒には其の属性では劣るが、五属性を操れるのは魔法科分校では彼女だけである。偉そうにしてるのは其れなりの理由が有るのであった。
「プリメリアは本当に魔法の才能が有るんだな。凄いな。羨ましい」
クートは本心からそう話す。相手は年下だし魔法職には余り劣等感は抱かない。其れにどんなに凄かろうとも遥か高みにフラッペが居る。今更プリメリアぐらいに嫉妬はしない。そして欲しい。此の女が欲しい。
(風だけじゃぁないと思ってたが、まさか五属性とは!絶対に欲しい。貴族は身体だけじゃなくスキルも恵まれてるのか)
獲物⋯いや、食材として見られてる事にも気付かずに嬉しそうに笑うプリメリア。
「あら?うふふ、そんなに驚かれたら何だか悪い気がしてしまいますわね?」
くすくす笑う彼女は大分ご機嫌だ。元々其処まで根が悪い娘では無いのだろう。当初の目的とズレ始めて来ている。フラッペへの不満から、調子に乗った平民を懲らしめてやろうと思っていたが、其の当人は反応が面白いし可愛い。取り巻き達の此方の顔色を窺う様なヨイショとは違う。口調は平民らしく無礼だが、プリメリアの魔法に普通に驚いたり称賛してくれる。正直言って凄く気持ちが良い。プリメリアはクートをかなり気に入り始めていた。
(本当に私のペットにしちゃおうかなぁ?)
「さぁ、先へ行きますわよ」
張り切って先へ進むプリメリア。取り巻き達は⋯少し疲れているのが解る。火魔法使いの少年は魔力が尽きたのだろう。顔色が悪いし口数が減っている。吐きそうになってた女子も相変わらず顔色が悪い。他の連中も似たり寄ったりだ。ダンジョン探索前は威勢は良かったが、段々怖くなってるのかも知れない。
(不景気な顔してんな。てか俺の魔法は?⋯まぁ良いか)
クートの魔法を見ると云う⋯体で馬鹿にするとかの、最初の目的と云うか建前があやふやになっている。しかし楽しそうなプリメリアの顔を見てると水を差すのも悪いと感じる。他の者はもう如何でも良い。
「まだ奥が有るんだ?」
「もう少し進めますわ。余りに大きなダンジョンだと国へ届け出ないといけませんし、管理も個人では不可能ですもの」
「成る程」
(そうか。小規模なダンジョンなら届け出をしないパターンも有るのか)
其のまま探索を続ける一行。天然のダンジョンの為に階段等は無く、自然に出来た道を進むだけ。今は下り坂を歩いている所だ。
「ギャピィィィィィィィッ!」
「煩いですわね。皆様、私少し疲れましたのでお任せしますわ」
「えっ!?」
「プリメリア様っ!?」
複数のマーダーバットが現れた。洞窟の天井から此方へ襲い掛かって来る。御嬢様の突然の無茶振りに取り巻き達がギョッとしている。
「おい!平民っ!なんとかしろっ!」
此方へパスされるがクートはスルーする。
「いやぁ俺の魔法なんて大した事出来ないし」
実際其の通りである。
「役立たずがっ!」
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
「みっ、水の怒りを思い知れ!水ぅぅぅーーーっ!」
火魔法使いの少年は最早詠唱する余裕も無く叫びながら火球を放つ。別の少年が水の弾を生み出しマーダーバットを撃ち落として行く。
(確かに雑魚モンスターしか居ない。Fランクダンジョンだな)
「後少しで終点ですわ」
プリメリアが楽しげに進む。取り巻き達はもう余り元気が無い。攻撃魔法の使い手達は魔力のロスが激しく無駄に消費し過ぎている。
「だけど―――」
違和感。さっきからどうにもおかしい気がする。
「ゴブギィ⋯」
ゴブリンの鳴き声が聴こえる。そしてズンズンと云う地響きの様な足音。
「ゴブ⋯リン?」
ゴブリンが現れた。何故か高い位置に居る。角度も変だ。上下逆である。マーダーバットの様に天井にぶら下がっているのかと一瞬錯覚する。
「ひっ」
プリメリアの光の玉が其れを照らす。浮かび上がるのはゴブリンの上半身。片腕が無いのでさっきの個体だろう。其れが逆さまになって宙に浮いている。何故なら―――
「オー⋯ガ?」
ゴブリンの腹から下はそいつの口の中だったからだ。口からはみ出した上半身だけのゴブリンには未だ息が有る。其れを咥えるのはDランクモンスター、オーガ。
「がぶりっ!ゴキゴキ!ごくんっ!」
オーガはあっという間にゴブリンを咀嚼し飲み込んで行く。新しい獲物を見つけて口をスッキリさせたのだろう。血だらけの牙をニチャァと開く。口の端にぶら下がっていたゴブリンの手がポトリと落ちた。静寂がダンジョンを支配する。其処にクートが一言。
「私有地内にオーガが出るなんて、羨ましいな」
「ななななにを馬鹿な事を言ってるんですのっ!?」
お嬢様言葉で悲鳴を上げるプリメリア。此の私有地内ダンジョンには何度も潜っている。オーガ等初めて見た。ダンジョン内で発生したのか、野良のオーガがダンジョンを住処にしたのかは解らない。其れに今はそんな事は如何でも良い。
「オーガだぁああああああああああああっ!」
ダンジョン内に、魔法士ギルド附属魔法科分校生のエリート達の悲鳴が響き渡った。
(*´ω`*)一歩間違えば食人嗜好の有る殺人鬼になっていたでしょう。其処は理性で抑えてますし、社会でやってけないと自覚は有ります。何より人間喰うよりモンスター喰う方が効果は高いです。プリメリアたんは魔法耐性を得られるモンスターを喰えないので、妥協案代替案で性的に食べられます。クート居なければ死んでたのでまぁプラマイプラスって事で。




