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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第72話 私有地内ダンジョン探索開始

(*´ω`*)おぱようございみゃふ!

「ゴブリンだね」

「ゴブリンだ」

「ゴブリンっ!」

 

 魔力感知するまでも無く解る。洞窟の先から緑色の体色の子供ぐらいの背丈の人型モンスターが現れた。素っ裸に木の棒を持ち、ゴブゴブギィギィと耳障りな鳴き声を上げている。そんな普通のゴブリンが三体。


「ひっ」

 

 取り巻きの一人の少女が少し引き攣った悲鳴を上げる。ゴブリン達の股間の逸物が屹立していたからだ。人間のメスを見て興奮している。ゴブリンは人間の女を使って繁殖を行うからだ。


(あ、此の女は初めてなのか?)


 何度も探索してるのはプリメリアと取り巻きの一部らしい。余裕の有る顔の者と引き攣った顔の者が居る。


「さぁ、お前の魔法で倒して見せろよ」

「ん、解った」


 取り巻きに促されクートが前へ出る。


(魔法でって事は、チョッパーとかは使わない方が良いかな)

「ゴブギャッ!?」


 クートは木の棒を振り上げるゴブリンを蹴り転がすと、両肩に足を乗せる形で踏ん付け固定する。手刀に調理魔法の加熱を纏わせ、其れを眼窩に突き刺す。


「ゴブギャァァァァァァッ!?」


 ゴブリンが悲鳴を上げる。其のままザクザクと喉にも突き刺しトドメを刺す。更に横から襲い掛かって来たゴブリンに、今喉を突き刺した勢いで焼き斬ったゴブリンの頭部を投げ付ける。其の一匹が怯んだ隙にもう一匹の目を手刀で焼く。其処からはもう作業だった。目を失ったゴブリンの首を焼き斬り、残りの一匹も蹴り転がして馬乗りになり、首に手刀を突き刺して終わりだった。


(加熱を纏わせた手刀。良いな)


 試してみたが悪くない。熱したナイフでバターを切る様に、面白い様にモンスターを斬り刻めた。火傷を冷やした経験から、加熱と同時に冷凍も発動している。手刀の周囲がどんなに高温になろうとも、其れを纏う生身の部分には冷気の膜を張ってある。此の技でクートが火傷を負う事は無い。同じ要領で冷凍も扱えるだろう。調整は面倒だが加熱と冷凍の二刀流も可能だ。威力は微々たる物だが、相反する属性の魔法攻撃を同時に喰らわせるのは相当な嫌がらせになる。


(手槍で怪我をしない様にするにはもう少し経験が必要かな?後二、三回試せば行けるか?)


 相反する属性をぶつけ合わせて爆発させるクートの必殺技である手槍。今のクートにとって一番殺傷力の高い攻撃手段であるが、両手の火傷と凍傷は免れないだろう。今なら初回程のダメージは回避出来るだろうが、連発は難しいと思う。


(雑魚に試しても無意味だし。もう少し歯応えの有る奴出て来ないかな)


 クートはゴブリン三体の腹を掻っ捌き、魔石を三つ回収して取り巻きの一人に手渡す。契約を交わしたので今回ドロップする物は全て差し出す算段だ。クートの鮮やかな手際にプリメリア達は呆然としていた。


「はい」

「いや、魔法⋯」


 思わずゴブリンの魔石を受け取ってしまった取り巻きが嫌そうな顔をする。取りたてホヤホヤの魔石なので血や体液で汚れているからだ。


「魔法使って倒したよ」

「ま、魔法?」

「今のが?」


 其の場に何とも言えない空気が流れる。クートは手刀を掲げて見せる。


「調理魔法、加熱」

「何だそれ?」


 取り巻き達が困惑する。クートの手刀から煙が上がっている。熱を帯びているのは解る。しかし洞窟を照らす取り巻きの炎と比べ余りに地味だ。何も無い所で見せられたら全員で嘲笑したろう。しかしたった今クートは簡単にモンスターを駆除して見せた。実に罵倒し難い。


「なんか違う」

「ええ、違いますわ」

「うーん?そう言われてもな」


 思ってたのと違うらしい。メインの雇い主であるプリメリアにも否定されて困るクート。其処に⋯


「ゴブゴブッ!」

「また来た」


 ゴブリンが再び三体現れた。


「任せろ。僕が本物の魔法を見せてやる。はぁぁぁぁぁっ!」


 取り巻きの一人が前衛に立つ。洞窟を照らす炎を維持していた少年だ。掌の炎が勢い良く燃え上がる。火力が上がって行くのが解るが、本人も熱そうだ。


(掌軽く火傷してるな。あぁ、だから杖を持つのか)


 魔法使いが杖を持つ理由に気付く。そして杖を持っていない彼女達が未熟なのも解った。フラッペとは逆の意味で杖が必要なのだろう。杖の先端に付けた魔石に依る魔力制御と増幅。杖を媒介にする事で単純に熱や冷気から遠ざかる安全性。


(俺も杖持った方が良いかな?あ、そういや此れが有ったか⋯)


 クートは背中の相棒の存在に気付く。フラッペがクートの魔力パターンを刻んでくれたクート専用アイテム、対モンスター専用肉切り包丁チョッパーだ。


「地獄に逆巻く灼熱の業火よっ!天をも焦がす光の柱と成れっ!」


 取り巻きの壮大な詠唱内容と共に炎の玉が放たれる。


(あ、ゴブリンメイジより小っちゃ)


 クートが喰い殺したゴブリンメイジの使っていた火魔法より火力が低い。だが其れでも魔法は魔法。


「ブギャッ!?」


 先頭に居たゴブリンの顔面にクリティカルヒットする。あの程度の火球でも当たり所が悪ければ死ぬだろう。


「ゴブギィィィィィィィィィィィィィッ!?」

「うぇっ!⋯」


 甲高い断末魔と肉の焦げる匂いにより、取り巻きの少女の一人が青褪めて口を抑える。初めてのダンジョン探索だったのだろう。吐きそうになってえづいている。クートが先程ゴブリンを殺戮していた時は顔を背けていたのは気付いていた。今回は派手な炎でゴブリンの焼け死ぬ姿がしっかり見えたのだろう。クートは別に可哀想とは思わない。


(嫌なら来なきゃ良いのに⋯)

「どうだ!見たか平民っ!」

「後二匹居るよ」

「ははっ、任せろ」

 

 火魔法使いの少年は張り切って構えを取り、後退る。


「良しっ!平民っ!時間を稼げっ!」

「はいはい」


 クートはチョッパーと手斧を構えてガチンと打ち鳴らす。プリメリア達を守る様に立ちはだかるクートを見て、ゴブリン二匹が警戒した様に足を止める。クートは苦笑いしながらゴブリンに話し掛けてしまう。


「悪い。ちょっと待ってな」

(一、二、三、四―――)


 暫く睨み合っていると、漸く魔力を練り上げたらしい少年の威勢の良い声が響く。


「煉獄の業火よっ!魔の者の魂の罪科を浄火せよっ!」

(さっきと文章が違う。其れに遅い)

  

 詠唱内容は違うが効果は同じ⋯いや、連発した為だろう、寧ろ威力が落ちている。そして二発目まで一分以上の時間が掛かっている。実戦では使い物にならないだろう。


「ゴブギャッ!」

「あ⋯」


 しかも精度が落ちた様で、ゴブリンの足に当たる。一匹は其れで良い。足を撃たれたゴブリン等怖くもない。しかし残り一匹居る。更に時間を掛け過ぎた所為だろう。


「ゴ、ゴブリンッ!?」 

「さ、三匹も居るっ!」


 慌てる取り巻き達。奥からもう三匹現れた。


(如何すんだ此れ?俺が殺るべきか?)


 クートが悩む。下手に手を出して顰蹙を買っても詰まらない。しかし撤退するには早過ぎる。そんな時だ。


「あらあら、うふふ。お退きになって?」


 優雅にプリメリアが前に出る。


「ほぉ?」


 パッシブスキル魔力感知がピリピリする。プリメリアの魔力が練り上げられて行くのが解る。


「風よ。鋭き刃となり、私の眼前の敵を薙ぎ払いなさい」


 プリメリアが手を振るうと、迫って来ていたゴブリンの体が一瞬で両断される。足を焼かれた一匹ともう一匹、更に後続の二匹の計四匹を仕留めた様だった。

(*´ω`*)火魔法使いの取り巻き君は書いてて楽しいですね。

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