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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第68話 魔法科分校生プリメリア

(*´ω`*)ポッと出のメインヒロイン現る。

「うん?」


 振り返るとクートとそう年の変わらない男女数人が居た。値踏みする様な視線は不快だが脅威ではないので無視する。


「冒険者の魔法士」

「コイツで間違い無さそうですね」

「プリメリア様」

「うふ、そうですわね」 


 プリメリアと呼ばれたリーダー格の女子生徒。見た目と云うか、顔は今まで出会った女の中でダントツで可愛い。だが其の表情からは性格の悪さが滲み出ている。クートより年下かも知れない。


「悪食?⋯フラッペの事?」


 完全シカトでも良いのだが少し話をしてみる事にする。


「お前も悪食なんだろう?」

「見せてみろよ」

「モンスター食ってみろよ」

「くすくすくす」


 囲まれて野次られる。


(会話が成立しないな⋯)


 喧嘩を売られてる訳ではなさそうだが。


「えーと」  

(どうしたもんか⋯)


 クートは図書室に行きたいだけなのに。


(貴族か。考えてみればこんな近くでは初めて見たかも)


 もしかしたら貴族と云う素性を隠している人間と出会った事は有るかも知れないが、クートの人生で初めて会話する貴族が此の性格の悪そうな少年少女達であった。


(―――いや?初めてはさっきの娘か。いやアレ、会話か?)


 目隠れ女子生徒の記憶が曖昧となって来ている。前髪で隠れている顔は最初からだが、声や体型、身長も曖昧になっている。会話した事すら事実なのか首を傾げてしまう。しかし他人に指摘されて魔力感知を閉じた結果が残っている為、其の事実と紐付けてあの少女の事は忘れない。他者への興味が希薄なクートは、自身に影響を与えた女を忘れる事はしない。


(そう云う魔法?魔術式?固有スキルか?認識が曖昧だ)


 クートの魔力感知を看破したと云う事は彼女もそれ系の使い手なのだろう。自身の認識をボヤかす事が出来るのかも知れない。植物に擬態する昆虫の様に、その他大勢の生徒に紛れ込んで影を薄くしているのだろう。そうやって思考に没頭したクートが黙り込んでいると、萎縮してると勘違いした少女達が話を進めて来る。


「私はプリメリア。以後見知り置きを。其れで、貴方のお名前は?ペットさん?」

「クート」


 律儀に真面目に応えるクート。此処では自分はほぼ部外者だ。縄張りにやって来た新参者に洗礼を与えるのは野生の世界でも良く有る事だ。


(弱いと其の縄張りを奪われたりもするがな)


 全員相手にしてもクートが遅れを取るとは思えない。


「ふふっ、おかしな格好」

「あの平民、プリメリアに絡まれてる」

「あーあ、可哀想に」

「てか良く平民と話せるな」

「だってプリメリアは―――」

「ああ、あの悪食にあの娘―――」


 クートの耳がその他の野次馬達の声を拾う。クートのパッシブスキル魔力感知は味覚由来だが、他の五感も連動して上がっている。嗅覚や視覚⋯匂いや見た目からも味を判断出来るからだろう。料理中に肉の焼ける音とかでも焼き加減を判断出来るのだ。故に聴覚も強化されている。


「あ〜⋯そう云う⋯」


 クートが呆れる。此のプリメリアと云う貴族令嬢は飛び抜けて魔法の才が有るらしい。そして折角魔法科分校に通うならド派手な攻撃魔法を習得したい。なので此の町の魔法士ギルドにて最強格のフラッペから直接手解きを受けようとした。が、中級魔法士と云う身分を理由に拒否られる。上級に上げてやるからと言っても門前払い。そんなフラッペがわざわざ上級に昇級してまでも確保した期待の新人。其れが悪食のペット、悪食の愛弟子、クート其の人である。


(そりゃぁ気に食わないか)


 プリメリアの回りに居る男女は所謂取り巻きと云う奴だろう。同じ貴族の筈なのに矢鱈彼女に気を遣っている。


「モンスター食をしようにもモンスターが居ない」


 クートは当然の返しをする。


「あら?逃げるのかしら?」

「其れでも男か?」

「情けない」


 取り巻き達に馬鹿にされるが気にはならない。クートのモンスター食は只モンスターを食べるだけではない。


(覚醒スキル魔食晩餐―――)


 魔石の心臓を喰らう事でモンスターの固有スキルをも獲得出来るのだ。此の事実はフラッペが根回しも兼ねて魔法士ギルドの上層部に伝えてるかも知れない。だがそこら辺に居る貴族の子女達に広める気は無い。切り札は伏せてこそだから。


「じゃぁモンスターを狩りましょう」

「モンスターを」

(魔法士ギルド管理下ダンジョンでも行くのか?)


 一週間前まで潜っていたダンジョンを思い出す。しかしあそこには上級魔法士が一緒でなければ行けない筈である。


「あらまさか。潜るなら私の家のダンジョンですわ」

「私の――――家?」


 クートが流石に固まる。ダンジョン。冒険者ギルドや魔法士ギルド、又は国家が管理する危険と富を齎す古代の遺産。まさか―――


「私有地内ダンジョン?」

「そうですわよ」


 当たり前の様に頷くプリメリア。


「驚いた」

「でしょうね。うふふ」

(本当に有るのか。貴族凄ぇ)


 私有地内ダンジョン。広大な土地を持つ貴族の中には私有地内にダンジョンを持つ者も居る。何故なら其のダンジョンから得られる富を独占出来るからだ。しかしリターンにはリスクが付き物だ。もしもダンジョン内で死亡事故が発生したり、ダンジョン内からモンスターが溢れ出すスタンピードが起こった場合、責任の全てが其の土地の所有者に向かう。


「プリメリアだっけ」

「クート、でしたかしら」


 二人の視線が打つかる。普通はそんなリスクの高い物は放棄する。例えばダンジョンの所有権だけを冒険者ギルドや魔法士ギルド、国家に対して売却する。代わりに周囲の土地は売らずにおいて、ダンジョンに通じる道までの通行料を取ったりする。もしくは共同所有にして利益の一部だけを回収したりする。


「魔法士ギルドや冒険者ギルド、国は絡んでない?」

「あら?流石に詳しいですわね。大丈夫ですわ。私の家がキチンと管理してますわ。パ⋯御父様が定期的に冒険者を派遣してモンスターの間引きは行っております。探索し尽くされていて宝物等はもう見つかりませんが⋯」

「魔力が集まり魔石が生成され、其れを核にしたモンスターは生まれ続ける」

「其の通りですわ」

「天然のダンジョンか」


 恐らく自然現象の範疇なのだろう。ダンジョンコア等は無いダンジョンの筈だ。モンスターリサイクルシステムは半端に機能している。天然ダンジョンで生まれたモンスターは死んでも死体は残る。人間も死体は残る。だが魔力だけ吸収される。魔石は分解されダンジョンに吸収されるし、死体に残る魔力⋯つまり生命力も吸収されカラカラの干乾びたミイラに成る⋯場合も有る。天然ダンジョンはパターンも様々なので、其れこそダンジョン毎に個性が有るのだ。


(ダンジョンコアを持つダンジョンは其の自然現象を更に進めたシステムなのかも知れないが)


「どうかしら?貴方があの悪食フラッペの愛弟子と云うのなら、私達と共にダンジョンに―――」

「行く」


 クートはプリメリアの手を掴む。逃さない様に。


「きゃぁっ!?」

「おまっ!?プリメリア様から離れろっ!」

「無礼だぞ平民っ!」

「行く。今直ぐ行こう」

「ちょっ!?わっ!解りましたからっ!近っ!近いからっ!手を離してよっ!」


 食い気味のクートに手を握られ慌てるプリメリアの口調が乱れるがどうでも良い。図書室ももうどうでも良い。プリメリア達に同行してる内にフラッペが帰って来るかも知れないが、まぁ其れも良い。怒られそうだけど。


「ダンジョンに、潜れる」


 探索し尽くされた私有地内ダンジョンだとしても、今のクートには未知の領域なのだから。

(*´ω`*)プリメリアちゃんは性格が悪いんじゃなくて未だ子供なだけでつ。顔が良いし魔力も有るのでチヤホヤされて調子こいてまつ。わからせ案件でつね

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