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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第65話 下級魔法士昇級実技試験

(*´ω`*)ふわっとですけど、此の町の冒険者ギルドは市役所とか区役所の出張所みたいな規模感。魔法士ギルドは市役所区役所本庁舎で図書館や体育館が敷地内に有るみたいな?感じ?

 其の場の試験会場で色々手続きを済ます。書類は細かく斜め読みになってしまうが、大体が魔法士ギルドに配慮せよと云った内容だ。魔法士ギルドの庇護や恩恵を受けられる代わりに、確実な成果⋯魔法に関する論文や研究結果等⋯を定期的に収める事が明記されていた。そして有事の際は貴族街の貴族達を守る事。貴族の依頼はなるべく受ける事が記されている。此れは魔法士ギルドが国や貴族のバックアップを受けている為だろう。


「?死亡時の保険金や同意書は?」

「福利厚生の条項に含まれてたと思うが」

「ああ、そうなんですね」


 死亡時の保険等は福利厚生の辺りに確かにサラッと書いてあった。


(冒険者と違うな)


 冒険者は一回のクエストで死ぬ可能性が高い。後で遺族と揉めない様に死亡時の同意書とかはちょこちょこ書く事が有る。危険度や死亡率の違いだろう。


「良し。此れで君は初級魔法士と成った」


 最後に魔力パターンを刻んで終了と成る。クートの魔力パターンは魔道具を通じて各魔法士ギルドへ共有される。此れであちこちの魔法士ギルド支部へ立ち入る際の身分証明と成る。逆に犯罪者と成り指名手配でもされれば、魔力パターンを追跡され居所を探られてしまう。優れた魔法士は貴重なので、国家反逆罪とかでも無ければ死刑には成らない。死刑以外の最高刑でも奴隷として一生働かさせるぐらいらしい。死刑囚も減刑を餌に扱き使われるそうな。


(成る程。此れが飼い殺しか)


 フラッペが零していた愚痴を思い出す。


「では先ずは弟子入りからだな。師事する魔法士は決めているのかね?」


 試験官からの質問にはフラッペが応える。


「クート初級魔法士は私フラッペ上級魔法士とショコラ上級魔法士が面倒を見る。心配は要らない」

「口を挟むな。後見人は君だが、私は今クート初級魔法士に訊ねている」


 ピリッとした空気が流れる。上と仲が悪いと云うのは本当らしい。


「どうかね?ドリー上級魔法士が調理魔法の研究会を立ち上げたいと常々言っている。彼女なら君のスキル食材鑑定も大いに活かし、更に伸ばせると思うが」


 言外にモンスター食等と云うゲテモノ研究は止めろと言われているのは解った。魔法食と云う物が有るのも知っている。食べれば若返る、病気が治るとかの現実的な願望の物から、ドラゴンの肉を食べてドラゴンに変身しようとしたりとか、そう云った研究を行う結構ファンキーな分野でもある。只あくまで目的有りきであり、手段が目的と成っているフラッペのモンスター食や魔食料理とは一線を画する。


「フラッペ上級魔法士、ショコラ上級魔法士の元で勉学に励みたいと思います」

「そうか、解った。では此れからも精進し給え」


 試験官が大きな溜め息を吐き出し、終わりとなった。部屋を退出してロビーに戻る。


「ふはは、君の事は誰にもやらんよ。クート氏は私の物だからな」

「はぁ⋯」  


 なんだかあっさりし過ぎていて拍子抜けしている。


(モンスター食でもさせられるのかと思ったけど⋯)


 慎重なクートは何処まで手の内を晒すか迷っていたが、ほんの少し小出しにしただけで終わってしまった。


「下級に成るにはまた少し手間が掛かる。少し待ち給えよ」

「其れは良いけど⋯所でフラッペって、確か中級だよね?」

「上級に成った。むしろそっちにも時間を食ったな。其れが無ければ君を抱き締めて眠っていたのは私だったのに」

「上級に成りたくなかったんじゃ?」

「上と揉めたのはあくまで方便さ。上は私を上級にしたくて仕方無かったからね。責任が増すのが嫌だから断ってたんだ。後、上級に成ると弟子を取らないとならないのだよ。他人にかまけてる余裕等無い。他にもお偉いさんや貴族からの仕事を断われなくなる。だから中級が一番自由に出来るのさ。なので私はショコラを上級に上げて私を弟子と云うか助手にした。責任は全部ショコラに行くからな」

「悪どい」


 クートが苦笑する。試験官とかに嫌われる訳である。彼等も多分更に上の者達と、好き放題するフラッペの板挟みにされていたのだろう。同情してしまう。


「今回君が試験に受かったので晴れて私とショコラの弟子と成った」


 其の書類も先程書いた。


「弟子掛け持ちで良いの?」

「駄目な理由が有るのかね?」

「いや、知らないけど」


 ロビーでまったり過ごしてると魔法士ギルドの職員が話し掛けて来た。


「フラッペ上級魔法士。準備が整いましたよ」


 そして今度はまた違う部屋に連れて行かれる。先程とは違う試験官達が居た。真ん中の一番偉そうな気のする男性魔法士は一見穏やかで柔和な感じを抱くが⋯


(強い―――)


 やはり強い奴は見ただけでビリビリ来る。見た目は普通のおじさんだし筋肉も無さそうだが、相当な実力者だろう。


「じゃぁ続けて下級試験も受けようか」

「下級試験も受けられるの?」


 冒険者ギルドでも昇格するには其のランクで一定の実績が必要だ。それなのにこんな飛び級の様な扱いを受けられる程の魔法の才はクートには無い筈だ。


「上級魔法士二人が推薦状を書いたんだ。コネだよコネ。世の中コネだよ。後は金かな?大分使ったぞ?」

「コホン。フラッペ上級魔法士?」


 柔和な試験官が困った様な顔で咳払いをする。


「今やれるのは実技だけな。筆記試験も有る。勉強して貰うぞ」

「解った」


 二人の遣り取りを見計らい、柔和な顔の試験官が話を進める。


「そろそろ始めても宜しいかな?」

「はい、お願いします」


 何が始まるのか少しワクワクするクート。


「やぁ。私はスキル鑑定士も兼ねている。視させて貰うよ?」

   

 別の中年男性が近付きクートに握手を求めて来る。大人しく握手するクート。目を覗き込む様に見つめて来るので其の視線を受けて見つめ返す。


「⋯確かに。スキル食材鑑定か。そして拡張スキルが味覚由来の感知魔法だったかね。私には其処までは解らない。是非見せて欲しいな」


 そして部屋のテーブルに置かれたいくつかの箱を指し示される。


「此の箱の中身は?」

「えーと」

(引っ掛けとか無いよね)

「林檎」

「此の箱は?」

「肉⋯豚肉と、鶏肉⋯の中に牛肉?」

「此の箱は?」


 クートの動きが一瞬止まる。


「―――俺が仕留めた、ブラックファングボアの魔石」

「おお⋯」

「良く解るな」  

「モンスター食かぁ」

「彼にモンスター食べさせてみたいんだが」

「我々が食べられる様には出来ないかね?」


 他の試験官達も矢継ぎ早に質問して来る。


「俺の固有スキルが無いと副作用が酷いと思います。良くて食中毒、悪くて死にます」

「そうか、残念だね」


 フラッペだけが尖ってる訳でなく魔法士はやはり変人が多いらしい。安全性が担保されるならモンスター食を試してみたい人間は居る事は居る様である。


「合格だ。おめでとう」

「えぇ⋯えー⋯有り難う御座います?⋯」


 実技試験も普通にクリアしてしまった。迫り来るモンスターの群れの魔石を感知するとか。もっと難易度を上げられるかと思ったがあっさりした物である。


「初級は兎も角、下級は仮合格だね。先程も言ったが筆記試験は後日行う。其の時の実技試験を免除すると云った具合かな。まぁ基礎的な魔法学とかだから其処までは難しくはないよ。私が手取り足取り教えて上げようクート氏」

「はぁ、宜しく」

(コネって凄いな⋯)


 何だか良く解らない内に下級魔法士昇級までほぼ内定してしまうクートであった。

(*´ω`*)上級魔法士は管理職みたいなもんです。成っても責任増すけど、成っとかないと出世出来ない感じ?中級は本来上級に成る前の経験積む為の限定的な扱いなのに、好きで居座ってたフラッペは変わり者な感じ。

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