第64話 初級魔法士クート
(*´ω`*)クート君はコピーした能力を放出するセンスは無いので基本的に体に纏わせてますね。なのでショコラの防御結界を拳に纏わせた鉄拳で敵を殴り殺す感じになりそう。
「―――うっ⋯⋯此処は⋯?」
「あ、起きましたねぇ〜キュート君おはよぉ〜ちゅっ」
「ショコ⋯んむっ⋯」
目が覚めると薄暗い部屋だった。全裸のショコラに抱き締められており、クート自身も裸だ。状況把握をする前に唇を奪われる。
(何だコレ?如何してこうなった?)
クートは抵抗しない。うろ覚えだが、魔石の心臓を喰って暴走状態になった時にあっさり拘束された記憶が有る。逆らうだけ無駄だろう。
「あんっ?〜もぉ〜キュート君のエッチィ〜」
良く解らないが、折角なのでもう一度ちゃんと抱いてみる事にする。ショコラの上に跨り、其の豊満過ぎる肉体を堪能する。ショコラはクートよりも背が高く、横幅も有る。握り締めた柔らかい皮膚の下に脂肪と筋肉を感じる。
(噛んでも舐めても美味いな⋯実際には喰えないが⋯)
スキルが覚醒したからか、女を抱いても魔力を獲得出来る様になっていた。いや⋯以前から其の傾向は有った。恐らくスキル関係無く、人と人が触れ合い交じり合えば魔力の交換や共鳴の様な物は起こるのだろう。此れを魔法力学的には魔力運動、もしくは魔力反応と云う。
(魔法は誰でも使える⋯だっけ。全ての魔力運動には魔力反応が伴う。となるとスキルも全て魔法に置き換えられるし、誰でもどんなスキルをも使える可能性が有る―――)
戦闘中に、今まで抱いた女の動きを不完全ながら再現してきたクート。シャロンの体幹とステップ、ハーニャの体捌きと歩法、己自身を槍に見立てた上でのレナの必殺の一撃。ルカの弓矢はまだ試していない。
(てゆー事はショコラの防御結界魔法も使える様に成るのかな?)
そう思うと俄然ヤる気が湧いて来た。性欲よりも強く成る為の欲求で女を抱くクート。防御結界魔法と云うのはピンと来ないが、相手を拘束する術が有るのは良い。面攻撃で敵を圧殺する様は圧巻であったがアレを模倣するのは無理だろう。其れより暴走状態のクートをガッチリ拘束していた見えない手枷足枷。アレが良い。アレを使いこなせればもっと殺せる。たくさん殺せる。
「ふふっ、キュート君は甘えん坊さんですねぇ〜」
邪な下心でショコラの肉体を味わっていると、ショコラ自身はクートの頭を撫で撫でしてくれる。そうやって数時間過ごした後にベッドから起き上がろうとしたが、ショコラが抱き締めたまま離してくれなかった。恵体と呼べる其の巨躯から生み出される膂力は凄まじく、起こさない様に脱するのは至難の業である。
「⋯むにゃむにゃ⋯えへへぇ〜キュート君好きぃ〜⋯ぐぅ⋯」
「⋯⋯⋯フラッペ、俺はどのぐらい寝てた?」
「大体一週間くらいかな。クート氏」
寝惚けながらクートを離さないショコラを其のままに、寝室にやって来たフラッペに訊ねる。
「覚えていないかい?トイレや食事も、うつらうつら行っていたし、其れなりに会話も成立していたのだがね。やはり半分寝てたか」
ギュゥギュゥ締め上げて来るショコラの腕から何とか抜け出す。畳まれていた衣服を着て装備を整える。
「いや全く覚えてないな」
ショコラにお姫様抱っこで運搬されてる所までは覚えている。町へ戻る馬車でも揺られながら眠っていた気もする。魔法士ギルドへ戻って来たとかは全く記憶に無い。
「⋯すぅ⋯私の胸の中でスヤスヤァ〜⋯てぇ、寝てくれたんですぅ⋯よぉ〜⋯くぅくぅ⋯」
「あ、起こしちゃった?」
「⋯にゅ〜⋯もぉ少し寝てますぅ〜⋯スヤァ⋯」
若干痩せてスタイルが良くなったショコラを見下ろしフラッペが呟く。
「性行為でショコラの魔力を喰ったな?ショコラの特異体質が君の特異体質を見抜く役目に成るとはね。ショコラは魔力消費を抑える為に体内脂肪を燃焼させる。正に餌だな。スキルを覚醒させ強くなった君は膨大な魔力を消費する。其の分をショコラを抱く事で補給し補完している。私が言うのも業腹だが相性が良いな。ショコラは萎んだら食べれば良いからな。そして君のスキル食材鑑定は美味しく栄養価の高い食事を用意出来る。何だ此のベストカップルは?私が君の為にアレコレ動いてる間にずっっっっっっと二人でお楽しみだったのかね?私を働かせてる間に別の女を抱いてた気分はどうだね?此れがヒモとかダメンズとか云う奴なのかね?ん?」
「そんな事言われても」
半眼で嫌味を言われるが困るクート。此処はどうやら魔法士ギルド支部付近に有るショコラの自宅らしい。フラッペの自宅はごちゃごちゃと物が多く、食べ物が備蓄されているショコラの家が選ばれたらしい。
(成る程。一週間寝てて食事とトイレが最低限なのは其れか)
クートはショコラから生命力とも呼べる魔力を喰らう。ショコラはお腹が減るので食べ物を食べる。そんなショコラをまたクートは喰らう。裸で抱き合ってるだけである程度の魔力交換は起こっていたのだろう。
(意識朦朧としてたから実際の性行為は無さそうだけど⋯多分⋯)
ショコラの胸に歯型が多く有った。其処から魔力を補給していたのだろう。まるで赤ん坊の様に。矢鱈ショコラのバブみが上がっていたのは其れが理由だろうか。乳を上げれば良く眠るクートをずっと抱き続けていたのだ。彼女の中の母性が変な方向に目覚めてしまったっぽい。
「お陰で俺の体調⋯魔力バランスだっけ?凄く安定してる。有り難うショコラ」
「⋯むにゃぁ〜どぉいたしましてぇ〜⋯むにゃむにゃ⋯」
涎を垂らすショコラに毛布を掛けてやり、フラッペと共にショコラ宅を出る。近隣でも特に大きな建物が側に見える。見覚えが有る、アレは魔法士ギルド支部だ。
「魔法士ギルド入会試験?」
「手続きは済んでる。さぁ実践だ」
「いきなりだなぁ」
諸々の手続きが終わったので迎えに来たらしいフラッペに連れられ、魔法士ギルド支部内の一つの部屋に通される。
「ようこそクート君。君はEランク冒険者だったかな?」
「はい。宜しくお願いします」
其処には試験官の魔法士達が居た。彼等は魔法士としても研究者としても優れているのだろう。しかし―――
(フラッペ、ショコラ程じゃない)
パッシブスキルの感知能力が底上げされている今のクートには何となくだが解る。生命体としての強度の差が。
「では見せて貰えるかね」
「はい」
クートは予め用意されていたコップの水を掌で触れて凍らせる。其の後に掌で触れて溶解沸騰させる。
「調理魔法の加熱と冷凍です」
「ふむ。確かに攻撃魔法と呼べる程の威力は無いが」
「薄いガラスのコップにヒビ割れ一つ無く其れを行うのは精密な魔力制御の為せる技だろう。見事だ」
(え?そうなん?)
戦闘職至上主義のクートとしては、モンスターを殺戮するド派手な大魔法こそ価値が有ると思っている。コップを割らずに中の水を凍らせたり沸騰させたりとか、地味で大した事が無い様に思えてしまう。高級品だが加熱調理用の魔道具や、食材保存用の冷凍魔道具も存在する。此の程度で評価されてもピンと来ない。
「他の初級魔法士なら今の君の魔法よりも強い出力は出せるだろう。しかしコップは破壊されている。我々が見るのは其処だよ。制御出来ねばどんなに大きな力も意味は無い。合格だ、クート君」
「どうも⋯」
あっさり合格してしまうクート。此れで晴れて魔法使いの仲間入りなのだが、実にピンと来ない。実感が無い。
「おめでとう!歓迎しよう、ようこそ魔法士ギルドへ!クート初級魔法士っ!」
「⋯其の台詞を君が言うかね」
後見人として付き添っていたフラッペが偉そうに宣言し、試験官達が嫌そうな顔をした。
(*´ω`*)ダンジョンなかなか行きませんけど、一応下準備中。




