第63話 Bランク冒険者フラッペ上級魔法士
(*´ω`*)フラッペ無双
「ちなみに私は冒険者ギルドに勧誘されていてね。二十年ぐらい前の事だからすっかり忘れてたがね。場所も此の町ではない。此の書類は有効かね?改めて試験とか要るのかな?」
フラッペはローブの懐から古くなった書類を出す。当時拠点にしていた場所の冒険者ギルド支部長に頼まれていたのだ。色々と面倒臭いなぁと思って受け取ったは良いものの放置していたのだが⋯今其れが役に立つ。
「こ、こちらも、もんだい、ありま、しぇん⋯」
書類の内容は、名義だけでも良いから冒険者ギルドに所属してくれとお願いしてる感じの文章だった。期限も制限も無い。突っぱねられる類の物ではない。魔法職は何時の時代も不足していたのだろう。しかもフラッペは攻撃魔法特化だ。書面ではかなりの好待遇を約束されていた。当時のフラッペは下級魔法士だった様だが、今現在の序列が反映される。歓迎こそすれ断る理由が無い。
「有り難う。そして今の私は上級魔法士だ。手間だったが先日昇級したのさ。此れでクート初級魔法士を弟子に出来るからね。ああ、勿論冒険者ギルドで正式な昇格試験を受けてはいないが、私の冒険者ランクはいくつかな?」
カヤルに訊ねる。格好からして受付嬢だと解った上でだ。
「び、Bランク冒険者⋯相当⋯」
「宜しい。そう云う訳だ諸君。必要なら昇格試験でも何でも受けて上げよう。Bランク冒険者がEランク冒険者の面倒を見る。上級魔法士が初級魔法士の弟子を取る。何か問題が有るかね?」
「無いわ⋯」
悔しそうにカヤルが頷く。他の者達も圧倒されて口が挟めない。此処はクートが無事だった事を喜ぶしか出来ない。
「フラッペちゃん」
涙目のリコが縋る様な視線をフラッペに向けている。
「おお、リコ久しぶりだな。クート氏に会いたいかい?」
「うんっ!」
フラッペの申し出にパッと笑顔に成るリコ。クートの家族は此の町には居ない。家族代わりと呼べるのはレンダやリコぐらいだろう。
「良し解った。一緒に行こうか」
リコの手を握りフラッペが冒険者ギルドを出て行く。他の者達も後をついて行こうとするが、フラッペが牽制する。
「おっと、其の他の皆様は待っていて貰おうか。彼を知る者なら解るだろう?クート氏が求めるのは女の癒しじゃない。血湧き肉躍る戦闘だ。殺戮だ。私なら其れを用意出来る。相応しい場を提供出来る。ああ、もしも君達も魔法が使える様に成れば歓迎しよう。我々は魔法士ギルドなのだから」
そう言い捨ててフラッペは出て行く。明らかにクートの女だと解る女達を、今のクートに会わせる気は無かったからだ。
「馬車だー。お馬さん」
「さぁ乗り給え」
冒険者ギルドの前には魔法士ギルドの馬車が乗り付けてあった。フラッペはリコをエスコートして馬車へと招く。
「待って」
「待ちなよ」
「おや?聞き分けの悪い子達だ。若いねぇ」
カヤルはフラッペの恐ろしい噂が全て本当だと知っている。シャロンも魔法使いに無理を通そうとする程身の程知らずではない。ハーニャも肌でフラッペの圧を感じていた。
(―――以前出会ったアレと同じ匂いがする―――)
クートを尾行していた時に背後に立った謎の存在。其れと同等の得体の知れなさをフラッペから感じて身を引いた。引かなかった者達は二人。
「あたし達は納得してない」
弓士ルカ。
「クートは私んだからね。やらないよ」
槍士レナ。
「ふむ。やってみ給え。リコ、少し待っていておくれ」
フラッペ達は場所を変える。冒険者ギルドの裏には訓練場と呼べる程充実してはいないが、少し運動出来る広場が有る。半引退の教官が新人指導を行うのに使ったり、軽い模擬戦を行ったりもする。今日も剣術教官がクート達の同期を扱いていた。本来ならクートも此処に混じっていてもおかしくなかった。皮肉な話だが、慎重で用意周到なクートがもしも戦闘職だった場合、実戦に出る前にじっくりと此処で修練を積んだだろう。クートが誰かの教えを乞わず、訓練をせずに実戦に依る殺し合いで強くなる事に拘ったのは⋯固有スキルが食材鑑定だったからだ。彼の劣等感と飢えが彼の原動力と成っていた。
「狭いな。まぁ良いか」
フラッペが力を振るうには狭過ぎる。彼女の全力だと此の周辺一帯が更地に成る。突然現れた殺気立った女三人に、訓練中だった新人達や教官が怯えて退散する。平和な此の町では余り無いが、偶に喧嘩に発展した冒険者同士が安全な模擬戦用武器で決着を着けたりもする。
「まぁ可愛い仔猫ちゃん達と遊ぶには丁度良いか。おいで、揉んで上げよう」
フラッペの言葉にルカが矢を放つ。牽制の一矢だ。しかしフラッペに触れずに逸れて落ちる。
「魔法?」
「いいや?⋯いや?魔法かな?まぁ定義は難しいね」
フラッペ程の魔力を持つと常に魔力の結界の様な物を展開している。自分へ向けて放たれる攻撃はオートでキャンセル出来る。魔力反応が魔法だと定義するなら魔法だが、一般人が云う魔法ではないだろう。
「君達に魔法等使わんよ。大人気無いからね」
「言うね」
レナが走る。愛槍を構える。殺す気で、放つ。
「おお、良いね」
ルカの矢の様に逸らしても良いが、少し見せてやる事にする。
「ふむ。中々筋が良い。ああ、私に槍の善し悪しは解らないがね。活きが良いね」
飛んで来た槍を人差し指と中指で挟んでピタリと止める。実際には指で触れてはいない。体に薄く纏う魔力で掴んだだけだ。其の槍に、自身の固有スキル『攻撃魔法』を流す。
「っ!?」
「ひっ!?」
ベキベキベキベキと鋼で出来た槍がひしゃげていく。捻れて歪み金具等が飛び出しバラバラになる。ガラクタのオブジェと化した鋼の槍がガランと地面に落ちる。無残な姿に成った愛槍を見下ろすレナの顔が凍り付く。ルカは微かに震えていた。
「今のは私の固有スキル攻撃魔法を少し流しただけだ。私の杖として、触媒として使う様に魔力を流しただけ。私の魔力を刻んだだけだね。耐えられなかった様だが。ふふ、脆いと私の杖にすら成らないからねぇ」
足より小さい靴を踏み潰す様に、サイズの小さい服を無理矢理着たら破ける様に、只力を流したに過ぎない。
「さて、もう少し遊ぶかい?」
「いや、止めとく」
レナがくるりと踵を返す。
(此処まで差が有るのか―――)
クートを取り返したいと云う思いも本当だが、彼女の中には強者と出会えた歓びが溢れていた。
「アンタを何時か超えてやる」
「おお、良いね。頑張り給え」
去って行くレナを見送るフラッペ。そして馬車へ戻る。
「くそっ!」
涙を流し跪くルカ。レナとも力の差を感じていたが、其のレナですら足元にも及ばないフラッペの登場。
「クート⋯」
お互い無視し合ってはいたが、薬草を無心に採取していたあの頃が、一番クートと距離が近かったのだと思い知る。
「クート⋯あたし⋯」
ルカの矢は百発百中。動く的も難無く射止める。しかしモンスターの単独討伐は未だ無い。怖い。戦うのが、命の遣り取りが、怖い。
「フラッペちゃん?」
馬車へ戻るとリコが不安そうにしていた。安心させる様に微笑むフラッペ。
「待たせたな。さぁ行こうか」
「わぁ~高い〜早い〜」
馬車を走らせる様に指示を出す。動き出すとリコの顔に笑顔が戻る。乗り合い馬車なら乗った事は有るが、こんな高級な馬車は初めてなのだろう。知らない場所へ向かう不安よりも好奇心が勝った様だ。リコは窓から身を乗り出す様にして車窓からの景色を楽しむ。
「未だクート氏は返せないが、別に会えない訳じゃないからね」
「うん」
そうして二人は魔法士ギルドへと向かったのだった。
(*´ω`*)遠距離からの火力勝負ならフラッペが今の所一番でつかね。近接戦闘だとケモケモ師匠ですかね。フラッペは無双ゲーっちゅーより弾幕シューティングゲームのキャラ。師匠は格ゲーのキャラみたいな?クートは3DダンジョンRPGのプレイヤーキャラみたいな?クートが二人と戦う場合、豆粒みたいに見えたフラッペから範囲攻撃が降り注ぐ感じ?師匠と戦うとコマンド選択してる間にボコボコにされる感じ?(*´ω`*)ふわっとした解説なのでふわっと捉えて頂けると助かりまつ。




