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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第51話

(*´ω`*)へぷちんへぷちんへぷちん

「しかし此処のモンスターはなんか変だよな。まるで本当に無垢な状態で生み出されたみたい」


 話題を変える。ダンジョンコアの有る生きたダンジョンと云う話だが、確かに何処か管理されてる気がする。 


(まるで家畜化されたモンスターを相手にしてるみたいだったな⋯)


 食べれる訳ではないので家畜と云うと語弊が有るが。何処かの国ではモンスター同士を戦わせて賭け事を行う所も有るらしい。それが近いだろうか?


「説は二つ有るね。正反対だが」


 ぬっと誰かが現れた。男である。此のキャンプでクートの他の男と云えば一人しか居ない。


「面白い話をしてるね。私も混ぜて貰えるかな?」


 髭も髪も伸び放題のむさ苦しい男だった。年齢不詳だが声は其処まで年老いていない。見た目よりも若いのだろう。


「カモミール氏。起きたか」

「フラッペ氏。お早うお久し何時以来だろうね」


 良く云えば流れる様に、悪く云えば矢継ぎ早に喋る男だった。しかし喋ってる事はキチンと聞き取れる。其れがカモミール上級魔法士の第一印象である。


「さて少年、モンスターの話だったかな?」

「クートです。宜しくお願いします」

「私はカモミールだ宜しく頼むよクート氏」


 何かフラッペが増えた様な印象だ。外見も年齢も性別も違うが同じ匂いを感じる。


「此の二人ぃ〜同じ師の元で学んだ同門なんですよぉ〜」

「成る程」


 フラッペはモンスターを食べる事に執着し、カモミールはモンスターの生態その物に興味を抱いて研究しているらしい。お互い知り得た情報を交換するギブアンドテイクの関係の様だ。ちなみにカモミール上級魔法士はバツイチで子持ちらしい。しかし今も別れた奥さんと同居していると云う。少し複雑そうな御家庭である。


「私の家庭の事等どうでも宜しい」


 自分で勝手に身の上話を始めたと思ったら唐突にぶった切って来た。フラッペもそうだが自分の話したい事を話すタイプなのは間違い無い。


(あ、此の人の方が離婚原因だ。でもって奥さんは其れでも放って置けない世話焼き女房と見た⋯)


 少し喋っただけだがカモミールの人隣は解ってしまった。


「一つは地上のフィールドのモンスターを捕獲、又は捕食し、同一存在をコピーしていると云う説」

「はい」


 クートは頷く。其れはクートも考えた。


「もう一つは逆に、モンスターは全てダンジョン発祥であり、フィールドモンスターはダンジョンモンスターが野生化した物であると云う説だね」

「そうか⋯逆転の発想ですね」

「うんうん。面白いだろう?只そうすると、どちらかで絶滅したモンスターが居たり、長期間の進化に依るズレが発生する筈だ。だがどちらにも其れが無い。ダンジョンに出るモンスターの方がやや機械的だが、姿や能力、習性は同じだ。なので私は第三の仮説、ダンジョンが其の都度モンスターを捕獲し調査し、複製していると仮定する。仮説一、二の複合かな?ダンジョンも生きているならそう成るだろうね。身体の新陳代謝の様にモンスターも入れ替わっているのだろう」

「成る程」


 クートが感じる違和感を言語化してくれている。只そうすると新たな疑問や矛盾点も出て来るので、其処で解決とはならないだろう。


「まぁ待ち給えよ。其の仮説には穴が有る。ダンジョンの目的が不透明だ。何故此のダンジョンは人間を試し、鍛える様な構造なのか?魔法士達は対話を試みているが一向にレスポンスは無いぞ?其処に意思は有るのか?システム化された構造であっても其れで生物的と捉えるのは無理が有る。生きたダンジョンと呼ぶのは便宜上の事だ。山や海は生きている、とかと同義だぞ?」

「フラッペ氏の提唱する説の方が無理が有るぞ。古代人が構築した牧場だったか?確かに太古の人類はモンスター食を行っていた形跡は有るが、其処からダンジョンを家畜牧場とするのは飛躍し過ぎだ。リサイクルシステムと矛盾する。人間を効率良く鍛える修練場と云った方がまだ理解出来る」


 喧々囂々とフラッペとカモミールが良く解らない内容で語り合い始めた。


「キュート君〜具合はどう〜?」

「モンスター食べたんだって?無茶するわね⋯」

「僕?嫌な事はちゃんと嫌って言わなきゃ駄目よ?」

「平気です。もう吐き気も目眩も無いですよ」


 フラッペとカモミールに関しては放置が正解なのだろう。ショコラ、ドリー、ライザは二人を放って置いてクートを構って来る。


「軽く仮眠を取ります」


 予定通りなら次は階層ボスとの戦闘だ。食事は⋯普通の食事と特殊な食事も⋯済ませてある。少し眠っておきたい。


「良いですよぉ〜私の膝が空いてますよぉ〜」

「有り難う御座います」


 クートは礼を言ってショコラの膝に頭を乗せる。


「わわわっ!?ほ、本当に膝枕してくれたぁ〜!」


 ショコラ的には気難しそうな野良猫を呼んだら膝に乗ってくれた様な感覚だ。クートは社交的で親しみ易いが、何処か壁が有るからだ。


(⋯少し身の危険を感じるけど⋯枕にするならショコラさん一択だよな)


 フラッペはちんちくり⋯小柄で華奢だ。ドリーやライザは会ったばかりで良く解らない。ショコラも会ったばかりではあるが、先程おんぶされた仲だし、何より肉が柔らかそうである。


(そんな風に思ったらショコラさんの事を言えないな⋯)


 ショコラの逞しく太い太腿に頭を乗せ目を瞑る。頭だけでなく肩とかお尻とか撫でられた。手が何本も有ったのでライザやドリーだろう。転寝中に撫で回されると云う正に猫の様な扱いを受けるクートであった。


「さて、では行こうかね?」

「ああ」


 ショコラの膝で一眠りした後準備を整えた。いざ階層ボス戦である。


「指名クエスト契約時に話したが、クート氏の拘束時間は最長一週間」

「一週間⋯」


 ダンジョン内は時間感覚が曖昧になるが、町から出発してそろそろ丸一日と云った所だろうか?


(無事に階層ボスを倒したとして、帰還の時間も考えれば第二層⋯クリアは難しいか?)


 緊急避難転送魔法を帰還には使えない。基本的には階段での昇り降りを推奨している。キャンプ地常駐の魔法士達は、緊急避難転送魔法とは別の魔術式が刻まれた魔道具が付与されているらしい。ダンジョンから出る時は其れで簡単に出られるそうな。但し、階層を移動する際は、リポップしてれば階層ボスを倒さないといけないらしい。


「第一層クリア後はクート氏の体調を考慮する。まぁ今回で終わりと云う訳ではない。気軽に構え給えよ」

「有り難う」


 クートは感謝する。お膳立てはしてくれた。応えなければ男ではない。冒険者ではない。


「気を付け給えよ」

「行ってらっしゃーい」

「帰りも寄ってってねー」


 魔法士三人が見送ってくれる。ライザかドリーの何方かが仮眠のシフトだろうに。有り難い事である。


「じゃぁ、殺ろうか」


 クートの意識がスイッチする。


「うむ」


 フラッペがボス部屋の扉に手を掛け、押し開いた。

(*´ω`*)へくしょーい

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