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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第18話

(*´ω`*)クート君は友達が居ないんじゃなくて必要無いタイプだと思う。協調性が無い訳じゃないんだけどね。

「⋯色んな武器が有りますね」

「お前の武器はナイフと手斧だったな?ナイフの数を増やすか?手斧をもっと上等な物にすっか?」


 鍛冶屋の親方が煤まみれの顔を布で擦りながらクートに訊ねる。まだ成長期で体の出来てないクートに剣や槍は向いてないとの判断だ。クートともその見解は一致している。


「いえ、手数を増やしたいんです。もっと違う武器を」

「弓でも使うか」

「いえ、適性の低い物は止めておきます」


 ルカの顔がチラつく。劣等感が刺激される。ルカは先日クートに弓術を見せてくれた。あの技の冴えを見て弓を使う気は起きない。口約束だがルカとはその内パーティーを組む可能性が有る。もっと違う武器の方が良いだろう。

 笑顔で褒めて欲しそうにしてるルカの頭を撫でたら顔を赤らめていた。見ていたリコの顔がプクーッと膨らんで面白かった。日常の楽しい一幕だ。しかし何の役にも立たない。平和な日常に癒やしを求めるなら、わざわざ暖かい実家を飛び出して冒険者に等ならない。


「俺の武器、俺の武器⋯」

「まぁ好きなだけ選びな」


 クートは内省をキチンとしている。正攻法では戦闘職には敵わない。剣や槍、ナイフや手斧では本職には敵わない。


(奇策や色物でも構わない。俺がもっと戦える様な武器は無いか?)


 クートがそうして目を付けたのは―――


(もっとたくさん殺せる武器が―――要る)

「⋯⋯⋯珍しいですね。鎖じゃぁないんですか」


 武器を纏めて縛ってある、とある物だった。明らかに武器ではない。故郷では見た事が無い、町でも見慣れない品だ。


「おう、軽くて頑丈で便利だからな」

「此れ下さい」


 何か上手い活用法が天才的に閃いた訳ではない。だがクートの直感が囁く。此れだ、と⋯


「ああん?そいつは別に売り物じゃねーんだがな。依頼で作った余り物だしよ」

「下さい」

「解った解った。女みてぇな顔して頑固なガキだな」


 クートはそれを強く指差し購入した。

 そうして新装備を持って訪れたサハギン退治。奴等の棲息地の水場では面白い様に魚が釣れた。お昼ご飯には十分だろう。そして魚以外の本命も釣れた。


(来たな)


 サハギンに水中に引き摺り込まれたクートが武器を構える。

 ナイフではない。手斧でもない。勿論剣や槍でも無い。

 鋼糸。

 先程まで釣り竿に使用していた物だ。釣り竿からは勿論すでに外してある。


「ギョギャッ!?」


 サハギンが狼狽える。

 首に引っ掛かった釣り糸を外そうとしているのだろう。しかし外せない。それは素手では切断困難な鋼鉄製の糸だから。


(先ずは一匹)


 クートが鋼糸を引っ張るとサハギンが苦しみ出す。窒息まではしてないが息苦しく、違和感が凄いのだろう。クートを放って首を掻き毟っている。


(やっぱ無理か)


 鋼糸だけで殺し切るのはやはり無理そうだ。今のクートにサハギンの首を切断したりへし折ったりする程の膂力も無いし、鋼糸も其処まで頑丈ではないだろう。

 だがしかし、自分のフィールドで追い詰められパニックになったサハギン等、恐るるに足らない。


(魚の捌き方と同じかな?)


 パクパクと動く鰓にナイフを突き刺し掻っ捌く。

水中に血が広がる。


(まだ行ける)

「ぷぅーーーーっ!はぁぁぁぁぁぁっ!」


 血塗れの水面に口だけ出して息をする。

 直ぐにもう一度潜る。


(居た)


 仲間の死体を見て戸惑うサハギンに鋼糸を叩き付ける。普通の糸だと思って断ち切ろうとしたサハギンが二匹絡まる。間抜け過ぎる。


(討伐数⋯二、三)


 クートは冷静に鰓にナイフを突き刺し、サハギンを計三体葬った。


「お昼ご飯にしようか」


 一仕事終えたクートは休憩する事にした。

 そんな彼を見守る者達が居る。


「ふむ。少し手こずったか」


 ハーニャの背後の声が少し柔らかくなる。ハーニャの視線の先ではクートがサハギンを引き摺って岸へ上がって来ていた。どうやっているのか、複数のサハギンを引っ張っている。


(仕留めた?水中戦でサハギンを三匹も?)


 普通は水場から誘き出したり、罠で嵌め殺したりするものだ。わざわざ相手の土俵で殺し合う理由が解らない。ハーニャには理解出来ない。

 此の時点でもうクートはE、いやDランククラスの実力者だ。勿論ランクアップには只強さだけが求められる訳ではない。チームワークを発揮出来る協調性や、複雑で繊細なクエストをそつなくこなす対応力も必要だ。モンスターを殺せれば良い訳ではない。だがそれでもやはり求められるのは戦闘力だ。

 冒険者の上澄み中の上澄み、Sランク超えの冒険者はソロが多い。

 何故なら同じレベルの仲間が揃わないから。

 他者を必要とせず、他者からの評価も気にしない。

 本物の強者達。


(嘘でしょ?)


 クートがSランクへ至る逸材かは兎も角、異常な存在なのは間違い無い。

 どうやったのかはハーニャには理解出来ない。したくもない。到底無理な狩り方だ。

 クートは明らかに自分を囮に、餌に、釣り餌にしてサハギンを釣り上げた。


(危険過ぎる)


 低ランク冒険者を餌にする悪辣な冒険者も居る。彼等は安全圏を確保して事に臨む。それとは意味合いが違って来る。

 クートの行為は違反行為ではない。しかし自らを囮にすると云う事は、他者にもナチュラルに自己犠牲を要求するかも知れない。

 単純な善し悪しでは測れないが、ハーニャには手に余る。取り返しのつかない事態になる前にパーティーを組ませた方が良いだろう。


(私は御免だけど⋯)


 クート自身も危険だが、背後に居る何者かの得体が知れなさ過ぎる。そもそも此のまま生きて帰れるのだろうか?

 ハーニャは一言も発さずに成り行きに任せるしかなかった。


「ふふ、愉しそうじゃの」


 背後の気配が笑う。穏やかで優しい声音だ。其れがまた怖い。

 彼女達の視線の先では、クートが黙々とサハギンを解体していた。魔石を取り出すのだろう。

 サハギンも低レアモンスターだが、面倒な相手なのでゴブリンやオークより高値で買い取られる。水属性の魔石と云う付加価値も有る。


「お、そうじゃそうじゃ。お主まだ居ったのか?小僧の後をコソコソ嗅ぎ回りおって」


 思い出した様に話し掛けて来た。生唾を飲み込む。


「害するつもりならどうにかしてくれようかと思うたのじゃが。まぁ良いわ」


 明らかに機嫌が良さ気だ。クートが元気に殺しをしているからだろう。


「お主は雑魚じゃ。儂にとってはあの半魚人共と大差無いわ」


 侮蔑の言葉だが受け入れるしかない。むしろ其れが良い。変に警戒されれば此のまま⋯


「見逃してやろう」

「!?」


 希望の言葉に内心喜ぶが心を落ち着かせる。助けると見せかけて実は⋯と云う事も有り得る。

 生きた心地がしない。ダラダラと脂汗が滴り落ち続ける。


「そら、喰らわれて来い」

「ぎゃっ!?」


 そしてハーニャは背中に衝撃を受けた。

(*´ω`*)鋼糸の技能が高まれば指先一つで敵を輪切りにしたり出来る、かも、知れない。

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