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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第99話 レベリアの取引完了

(*´ω`*)シェラザード回終わりです。彼は一夫多妻制に懐疑的で現代人ぽい感覚の持ち主ですね。

 つい今さっき、ギルド職員の男性が建物から出て来て此方を見たが、一瞥しただけで引っ込んでしまった。冒険者同士の私闘や刃傷沙汰は御法度だが、二人が居るのは訓練場代りの広場である。大怪我をしてる訳でないなら問題無い。訓練と称した冒険者同士の喧嘩等日常茶飯時だからだ。


(此れでギルドの介入は無くなったな)

「ギルドに期待しても無理だよ。俺も其奴もソロなんだ。ケツモチが居ないからね。チンピラ同士の喧嘩みたいなもんさ」


 明確な法が有る訳ではないが、レベリアがシェラザードのパーティーメンバーだった場合、クートとの決闘に割り込める事も出来た。クートの方もちゃんとしたパーティーに所属していれば、其のパーティーリーダーと話を付ける事が出来た。今回は其れが出来ない。クートも無所属のソロ、ソロ冒険者同士の揉め事だ。ギルドの介入は期待出来ない。刃傷沙汰にでも成らなければギルドは介入しない。


「其れにレベリアは問題児だもんね」

(其れはもう、痛い程に知っている⋯)


 比べてクートは将来有望の優等生だ。魔法士ギルドとの兼ね合いも有る。クートのパーティーリーダーをあの悪食フラッペと仮定する事も出来る。師弟らしいので無理矢理には可能だ。しかし其れをすると、レベリアはクートと云うEランク冒険者ではなく、上級魔法士でありBランク冒険者相当の悪食フラッペと揉めた事に成ってしまう。彼女にとってデメリットでしか無い。


(詰んでいる、か⋯)


 此のままクートの毒牙に掛かるのが一番平和的な結末なのだ。


「⋯⋯⋯済まない、レベリア」

「あ、やっと諦めた?しぶといよねあんたも。でも正しいよ。家族は大事にしなよ。俺も良く解らない謂れの無い女を喰うのは趣味じゃないしね」


 家族を人質に取引を持ち掛けたクート自身がいけしゃあしゃあと宣う。内心シェラザードが諦めてくれた事にホッとしてはいた。無理矢理女を拐かしたなんて風聞をばら撒かれるのは勘弁だった。其れに熱くなっていたが、当初の目的はレベリアのパーティー勧誘だ。仲間にするにはしっかり手綱を握っていたい。クエスト中に突っかかって来る女を解らせられないのは非常にストレスだ。此れからクエストに赴いた後も、ごちゃごちゃ言って来たらボコった上でヤれば大人しく成るだろう。此れで円滑にDランク昇格クエストに挑めると云う物だ。


(シェラザードの横槍は逆に良かったかもな)


 彼との決闘はレベリアの身柄を景品にした形に成っていた。クートはレベリアだけでなく、シェラザードからもレベリアを勝ち取った事に成ったのだ。格下をボコして手籠めにする訳ではない。格上の相手に勝って欲しい女を奪ったのだ。此れは一種の武勇伝に成る。野蛮だし別に誇らしい事でもないが、後ろ指差される事は無くなるだろう。レベリアの貞操を自由にする権利は、シェラザードが担保してくれた様な物だからだ。


「結果オーライだな。戦ってくれて有り難う」


 レベリアを担ぎ直して宿屋へ向かうクートの足をシェラザードがガシリと掴む。彼の父親は年若いメイドに手を出して、孕んだら暇を出したりする極普通の一般的貴族だった。父お気に入りのメイドが実母に辛く当たる所も見た。結局は全員捨てられ、選ばれたのは第二夫人。そんな過去が彼を潔癖にした原因だろう。


(―――――――本当にしつこいな。殺すか?)


 温厚なクートも流石に我慢の限界に来ていた。


「後生だ。頼む⋯。可哀想な娘なんだ。無碍には扱わないで欲しい」

「心配するな。大切に食べるさ」


 奪うスキルは剣術スキル、しかも騎士の剣。武器破壊術は美味しい。簡単に殴り倒せたので甲冑組手は期待出来ないが、待望の剣術だ。正に冒険者の花形である。


(うーん。俺もやっぱり未だ抜け出せないな)


 レベリアに拘るのは、彼女がクートが憧れても憧れても手に入らなかった物を最初から持っていたからだろう。そんな剣術スキル持ちの女を正面から打ち倒して手に入れた。⋯と、喜んでいたら、其の上位互換が邪魔して来たのだ。流石に頭にも来ると云う物だが、お陰で大分スッキリ出来た。


(俺は、戦闘職よりも、強い)


 勿論、正式な剣術勝負ならシェラザードにも、レベリアにも勝てない。だが自分達は騎士ではない。冒険者なのだ。罠を張り、作戦を立て、相手が本気を出す前に不意を突いて一撃で倒す。此れが冒険者だ。其れを否定するならモンスターとも力比べで戦えば良い。オーガと腕相撲して勝てる人間がどれだけ居るだろう?集団で襲って来るゴブリンに卑怯だ、一対一で戦えと訴え掛けるつもりなのだろうか?勝てば良いのだ。生き残れば勝ちなのだ。


「俺にとって有益で有能なら手元に置く。無能な役立たずなら知らん」

「お前⋯」

「そもそも俺達は冒険者だぜ?明日自分が死ぬかも知れないのに、他人の人生に責任なんて持てる訳ねーだろ」

「⋯そうか。解った⋯」


 漸くシェラザードが敗因を悟る。クートはシェラザードとの勝負に全てを賭けた。本当に本気の技だったのだろう。しかし、シェラザードは全て丸く収める為に剣を抜いた。一種の交渉として剣を抜いたのだ。其れは騎士としてなら間違っていない。騎士の剣は剣を持たざる者達を守る剣だ。だが、此の場には全て自己責任の者しかいない。騎士の剣が通じない。


(此の男と敵対しては成らない。本気で敵意を持たれたら、私の家族を奪われる)


 騎士や冒険者として歩んで来た人生の中で、危険な人間とは何人が出会って来た。そんな者達と同じ空気、匂いを感じる。例えばシェラザードがクートの家族を人質に取ったら、クートはシェラザードの家族を殺すだろう。人質交換等はしない筈だ。


(彼とは、関わらない方が良い)


 優しい妻、可愛い娘、大切な妹。全て奪われ、喰い尽くされる。シェラザードは大切な者、守る者が多過ぎる。敢えて言えば其れも敗因であろう。持たざる者が持つ者に勝つ場合も、往々にしてあるのだ。


「あ、此れ治療費です。教会の寄付金ですね。必ず治癒魔法を受けて下さいね」


 其処で小声で話すのを止め、クートが明るく大声でにこやかに話す。満面の笑みを浮かべ、シェラザードの目の前にチャリンと銀貨を落とす。


(師匠の話だと、魔力経路を一時的にだが使い物に出来なくするんだっけ。元々は体外魔力を体内に取り入れて治癒や強化を行う秘術らしいし。其れを相手に無理矢理流し込む事で魔力経路をパンクさせるんだとかなんだとか。後遺症が遺ったとか言われたら嫌だしな)


 アフターケアもバッチリだ。クートは別にシェラザードに勝った事を言いふらす気も無い。誰かに突っ込まれたら、胸を貸して貰った、わざと勝ちを譲って貰ったと言っても良い。クートは冒険者だ。其の評価は同業者をボコる事ではなく、モンスターを殺す事で得るべきだ。


「それじゃ」


 歩み去るクートを、今度こそシェラザードは黙って見送るしかなかった。


「エグいな」


 一連の遣り取りを遠目から見守っていたアーシャが笑う。何を会話したか判らないが、アレでシェラザードは金でレベリアを売った事に成る。


「綺麗事が通じるのは常識の有る世界でだけだ」


 シェラザードは強い。強いが怖さは感じない。しかし、クートは真逆だ。強者と呼ぶには些か足元が覚束ない。とても不安定だ。しかし怖さが有る。

(*´ω`*)思い付きで出したら長くなっちゃった。

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