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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第92話 不殺技

(*´ω`*)ルールが有る戦いならクートは負けます。

「良かろう!暫し待て、身の程を解らせてやるっ!もぐもぐっ!もぐんっ!」


 レベリアは食後に頼んだデザートを召し上がっている。


「見下してる平民如きに施しをされてる時点で色々負けてる気がするんだけど」


 クートは紅茶を運んで来たウェイトレスにチップ込みの支払いをする。


「人間性と強さは別だからな」

「ごく、ごくっ⋯」


 アーシャも突っ込むが響いていない。紅茶を優雅に飲むレベリア。場所が冒険者が屯す場末の酒場で、彼女が鎧姿でなければ絵に成ったろう。


「⋯まぁ人間性は兎も角、此奴は強いぞ?個人の強さならDは有るだろう。冒険者としても、傭兵としても」

「私は騎士だっ!」


 レベリアは自慢の剣をガチャリと掴んで立ち上がる。


「Dランク冒険者なら下位騎士レベル相当の強さだっけ?」

「うむ。馳走に成った。一飯の恩代わりに騎士の剣を魅せてやろう」

「それは嬉しいね」


 食べ終わったレベリアを先頭に、クート、ラビ、アーシャの四人が外に出る。本に夢中に成っているラビも一応クートに配慮してるのか付いて来る。本当は自室に引き篭もってゆっくり読書に耽りたいが、クートから此の本は借り物だと聞いている。自分勝手でコミュ障だが、最低限の常識が―――有る訳では無かった。


(上巻だけって事は無いよね。絶対中巻下巻も持ってるよね)


 あわよくば続きも読みたいと云う、完全な打算である。読みたい本を読む為にはクートの御機嫌を取っておいた方が良いとの判断だ。


「此方に行こっか」

「うむ!」

「結局此処しかないか」

「おほーーーーっ!改変前の台詞と誤字脱字発見っ!此の言い回しこそ原点!検閲修正等邪道っ!」


 酒場の周りには特に戦える場所も無いので冒険者ギルドまで戻る事に成る。何時もの広場である。今日は剣術スキル持ちの男性教官が数名の男女の面倒を見ている。皆クートの同期だ。名前は知らない。興味も無い。彼等でもパーティーを組む事は可能だが、レベリアやラビと比べると旨味が無い。


(誰でも良いとは思うけど、最低限のメリットは欲しいしね)


 クート達は後から来たので広場の隅の方へ行く。レベリアは騎士剣を、クートはチョッパーを構える。


「ふん、異形の剣か。邪道だな。まぁ良い。何処でも好きに打ち込んで来い」

「じゃぁ遠慮無く」


 クートは徐に近寄り両手で握ったチョッパーを振り下ろす。


「せいっ!」


 レベリアがガキンとチョッパーを弾く。


「おお?流石剣術スキル。細腕に見えて剛腕だな」


 筋肉量はクートの方が有る筈だが、チョッパーを握る手がビリビリと痺れる。思わず片手を離してしまう。離さなかった方の手でチョッパーをくるくると回し、衝撃を逃がして体まで引っ張られるのを防ぐ。


「む?へし折るつもりで斬ったのだが?」


 レベリアが訝しむ。クートの固有スキル食材鑑定を下に見てはいるが、非戦闘職相手に本気を出すのも大人気無いとは思っていた。下心は有ったろうが、何だか解らない内に色々と御馳走に成っている。穏便に実力差を解らせてやるつもりだったのだが。


「ふむ」


 クートはチョッパーを背負い直し、腰のウルミを構える。そして鞭の様に撓らせ斬撃を見舞う。レベリアは落ち着いた動作でウルミも打ち払う。


「また下手物を⋯」

「ふむふむ」


 レベリアが少し苛つく。試してやるつもりが試されているのが解る。そして今のウルミにも違和感を感じる。


(何故だ?何故斬れない?)


 騎士の剣は傭兵の殺す剣とは違う、真逆の思想が有る。武器破壊と云う技術だ。拡張スキルとして昇華してる者も居るが、レベリアの武器破壊術は其処までではない。だが戦闘職でもない者の持つ色物武器ぐらい簡単に破壊出来る筈である。


「魔力防御?」


 アーシャが呟く。感知系スキルは持っていないが、勘だ。クートからは魔法職独特の溜を感じる。


「ううん、違う。もっと上」


 其処に本から目を離さずにラビが解説を入れる。


「防御結界魔法ですねアレ。何処で覚えたのか知りませんけど」

「当たり」


 クートはチョッパーやウルミを肉体の一部と誤認させる事で防御結界魔法を纏わせていた。


「色物かも知れないが、一応此れでも俺の大事な商売道具なんでね」


 クートの武器は鍛冶屋の親方が気紛れで作った一点物ばかり。替えが利く物が少ない。


「良くそいつの狙いが解ったな。騎士の剣を知っていたのか?」

「んー何となく?」


 騎士は甲冑組手や武器破壊術等、相手を無力化して制圧する技巧が有る。レベリアがFランクながら対人戦で強いのは其の所為だ。生意気なFランクを凹ませてやろうとした先輩冒険者達を、レベリアは丁寧に畳んで来た。だがそう云う通過儀礼をぶち壊して来たが為に、彼女は今ぼっちなのだが。貴族、元貴族の冒険者は一定数居るが、敢えて素性を明かさずに活動している。平民を見下し、成り上がり返り咲く事を夢見て豪語するレベリアはとても絡み難いのである。


「此のっ!私を侮辱する気かっ!?本気で来いっ!」


 レベリアはクートを一喝する。胸を貸すつもりが試されている。だが攻めに転ずるのはプライドが許さない。レベリアは足を動かさず、不動の構えにてクートを迎え撃つ。しかし―――


「え?良いの?じゃぁ、本気で行くよー」

「何?」

「ほぉ?」


 クートが武器を仕舞い無手に成り、指を蠢かす。いや、無手ではない。光る筋が見える。細く長い、鋼で出来た糸である。


「きゃっ!」

「悲鳴は可愛いね」


 肩幅に開いていた筈のレベリアの足が急に揃う。そして倒れ掛けた為に慌てて剣を地面に突き刺して支える。


「何だアレは?」


 アーシャも目を瞠る。レベリアの鋼の鎧の脚部に巻き付く細い糸。


「鋼の、糸?」

「時間を稼ぎながらゆっくり輪を狭めてたんだよ」

(何時仕掛けた?移動中?あの異形剣を振るった時⋯まさか、最初から?)

 

 アーシャが目を細める。クートの一挙手一投足に注目していたが、罠を仕掛けた素振りも無かった。其れに此の広場は誰でも出入り自由だ。壊れた的や練習用の武器も落ちていたりする。何かを仕掛けておくには都合が良いだろう。


「こんな物、直ぐに切って⋯ぎゃっ!?」


 両足を無理矢理揃えられてしまい踏ん張りが利かないレベリアの胸をクートが蹴り飛ばす。剣は杖代わりにしていた為に対応出来なかった。無様に転がされたレベリアの胸に足を乗せ、クートがチョッパーを首筋に突き付ける。


「はい、終わり」

「嘘だろ⋯」


 教え子達への指導も忘れ剣術教官が呟く。あの問題児レベリアがあっさり負けたからだ。冒険者として問題は有るが、レベリアが強い事に間違いは無い。負けはしないだろうが、自分ではああも簡単に勝てる気はしない。


「卑怯者っ!」


 レベリアはクートを睨んで吠える。


「此れが俺の本気なんだけどな」

「剣で正々堂々と勝負しろっ!」

「勝ったから良いじゃん」

「私は剣術スキルだぞっ!」

「其れ言い出したら俺は料理対決でしか戦えなくなるやん。無意味な事言ってないで、負けを認めなさいよ」

「認めんっ!」

「解った解った。じゃぁ、俺が勝ったらレベリアの事好きにして良い?」

「良いだろうっ!正々堂々勝負しろっ!負けたら貴様の女にでも何でも成ってやるっ!」


 レベリアが地面に転がったまま吠える。レベリアは貴族だけあって美しい。気性が激しく性格も面倒臭いが美しいのだ。今のクートの様な条件で挑んで来る者達は偶に居たが、全て返り討ちにして来た。

(*´ω`*)クートが本気の本気なら、そもそもレベリアが食べてる料理に毒混ぜてますね。

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