第91話 魔法使いラビ加入
(*´ω`*)ラビが眼鏡をしてるのは魔眼とかでなくて暗い所で本読み過ぎて目が悪くなったたけです。
「私の冒険者ランクはC。傭兵としてはBクラス。受付嬢はパートだ。なんか最近人手不足なんだってな。割が良い仕事だと思うんだがな。死ぬ危険が無いし」
「Cランク。其れとBクラス傭兵⋯」
(傭兵⋯傭兵か。モンスターより人間を殺す事に特化した仕事。対人戦なら同ランクの冒険者よりも強い筈。Bクラスってどの程度の強さなんだ?冒険者なら高位騎士レベル、レッサードラゴンを倒せるぐらいだから⋯其のぐらいか?)
冒険者ギルド臨時職員アーシャ。少し話しただけのクールビューティー。受付嬢でクートに御執心なのはカヤルであるが、最近クートの面倒を見てるのはトロネだ。しかし二人共に戦闘能力は無い。他の受付嬢も同じくだ。支部長が出て来てくれるとも思えない。彼女しかいないのだ。
(クエストクリアに関する事後調査に時間を使うのは勿体無い。レベリアとラビから信頼を得て、其れを証言として俺のリーダーシップを評価、証明させるのは流石に厳しい。其れなら職員を同行させて俺の能力を直接認めさせる方が早い。此奴ら二人から信頼感は得られずとも、使いようは幾らでも有る。其れでリーダーシップの証としよう)
「傭兵である事と冒険者なのは別にして、戦闘を売りにしてる訳じゃないんだがな」
今のアーシャは非武装だ。だが無手でも其れなりに戦えるだろう。
「そんなに強いのに?」
「強いだけじゃ生き残れない。私より強い奴は幾らでも居た。だが死んだ。油断したり、仲間を助けようとしたり、功を焦ったり、仲間から裏切られたり。生き抜いた者こそ真の強者だ」
「じゃぁアーシャさんも強者じゃん⋯ですよね」
「揚げ足を取るな。其れとアーシャで良いし、中途半端な敬語も止めろ。くすぐったい」
「解った。アーシャ」
アーシャは身の程を弁えている。Bクラス傭兵としての強さは持っているが、過信はしない。クートにも簡単に勝てるとは思っていない。剣の勝負なら勝つだろうが、報告書で見たクートの戦い方はトリッキー過ぎる。模擬戦なら兎も角、殺し合いなら解らない。彼女が生き残れているのは其の警戒心の高さと慎重さだ。ベテランの傭兵だって新兵に負ける。ベテラン冒険者だってゴブリンに殺される。
(モンスターを単騎で殺しまくってる阿呆なんざ、傭兵なら直ぐに死んでいる。だがこいつは死んでない。スキルの有無に関係無い所の強さだろう)
一方のクートは、アーシャの正体を知り驚くと云うか納得していた。
「傭兵なんだね。どうりで冒険者とは違う気配がすると思った。アーシャは凄く人を見てるよね」
傭兵はモンスター討伐もするが、基本的には戦争に参加する。人間を殺す仕事だ。何処か人間を殺せるか殺せないかで判断してしまう。逆に相手が自分より強いか弱いかも見てしまう。其の判断を間違えば死ぬからだ。モンスターは種族として画一的で、突然変異でもないと強さに其処までのブレは無い。
「人間が一番怖いからな」
だが個体によってスライムやゴブリン以下の存在と、ドラゴンすら仕留める存在が同じ種族の範疇に居るのは人間だけだ。人間こそ最も非常識で危険な存在だと言えるだろう。
「いい加減答えを返そう。Dランク昇格クエスト同行の件だが、まぁ良いだろう。付き合ってやる。暇だし。受付嬢飽きたし」
「飽きたんだ」
「支部長に頼まれてやってるだけだしな」
アーシャは一応承諾する。クートに少し興味を持って来たのもあるが、暇で退屈だったのは大きい。金払いは良いが仕事内容が退屈だ。ずっと事務処理をしてると剣を振りたく成って来る。
「但し、此の問題児二人を仲間に出来たらだ。此の三人でのパーティー結成失敗なら話は無しだ」
「へぇ、言質取ったからね?」
「やってみろ」
冒険者としても受付嬢としてもレベリアとラビの事は知っている。実力は無い事も無いが、問題は其のコミュ障と云うか、コミュニケーションを取る気が無い事だ。冒険者と云うか人間として破綻している。此の二人を仲間に出来たなら少しはクートを見直してやっても良い。
「もぐもぐもぐ⋯ごくん。⋯ふん。話は解った。私がリーダーをやるなら考えてやらん事も無い」
優雅な手付きでナイフフォークを使い魚を召し上がっているレベリアが言い放つ。黙って聞いてたのは食べるのに集中してたからだ。クートが当然の様に突っ込む。
「其れじゃ俺の試験に成らないじゃん」
「黙れ。そんな事は知らん」
「本を、読ませて⋯お願いします⋯」
ラビは奥の手として、クートの手に固有スキルを流していた。しかしクートは離さない。やや痺れるが耐えられない程ではない。弱まる握力を筋力上昇で強引に抑え込んでいる。ラビも余り出力を上げると本にダメージが行くのが解っているのだろう。其処まで強く仕掛けては来ない。いざと成れば防御結界魔法も有る。何も問題は無い。
「俺は魔力耐性が有る。其の程度じゃ本は離さないぜ?」
「ぐぬぬ」
ラビは放置でレベリアとの話を進める。
「俺が君より強ければ良い?」
「はっ!お前が?私より強いだと?もぐもぐ」
大皿サラダにもフォークを突き刺し豪快に食べ始める。
(サラダ⋯大皿にしたのは俺も食べようと思ったんだけどな)
レベリアは良く食べる。仲間にしたら食費が嵩みそうな女である。
「私の固有スキルは剣術だ」
ナプキンで口元を拭きながらレベリアが言う。剣を所持してるのでまぁそうだろう。穿った見方をすれば固有スキルの開示は嘘の可能性も有るが、今嘘を吐く理由も無い。
「食材鑑定だ」
「馬鹿めっ!そんな最弱スキルで私に挑むだとっ!?はははっ!笑止千万だなっ!」
真っ向からクートの固有スキルを馬鹿にするレベリア。
「⋯怒らないのか?」
其のクートの反応を不思議がるアーシャ。レベリアもラビもアーシャも、攻撃に特化した戦闘系スキルだ。境遇的にクートは劣等感を刺激されそうなのだが。報告書にも自身の固有スキルへのコンプレックスを示唆する記述が有った。固有スキル食材鑑定への劣等感。戦闘職へのコンプレックス。其れが合わさり無謀な単騎討伐を繰り返す生き急ぎ野郎。そんな印象を抱いていたのだが⋯
(やはり情報は情報でしかないな。此奴はいったい何だ?)
魔法士ギルドにも所属し悪食フラッペの弟子となった。フラッペがクートの才能を開花させたと考えていたが、逆かも知れない。クートの異常性にフラッペが食い付いたのかも知れない。
「いやぁ、何か新鮮で」
「ふーん?」
己を卑下し、劣等感に苛まれていたクート。しかし実際、こんなに真正面から否定されるのは実は初めてであった。
(皆気を遣ってくれてたのかな?)
こんな風に馬鹿にされたのは初めてだ。最初のプリメリア達もクートを馬鹿にしていたが、アレはスキルがどうのとかでなく平民に対する貴族のデフォな態度だ。少し違う。
「あ、此の本俺に直ぐ返すなら読んで良いよ。仲間に成ってくれる?」
「成るっ!仲間っ!成るからーーー!」
「はい、ラビは仲間にしたよ」
「えぇ⋯仕方無いな。戦闘を見たかったんだが⋯」
アーシャの目論見が一つ外れる。だがもう一つは叶いそうである。其れに⋯
(ラビは固有スキルを使用していた。どっちも本気じゃないだろうが、其れを完封するとはな。魔力操作が上手い。魔法士になるだけは有る)
魔法使いラビが仲間に加わった。
(*´ω`*)ラビ加入。




