第11話 祝勝会とパーティ加入
すいません遅れました!
「案外楽勝だったな!」
「ええ、もっと倒すのに苦労するかと思ったわ」
「…………(こくこく)」
「それもこれもヘルシャフトがいてくれたからだね。あの指示だしとエンチャントのお陰で戦いが楽に進めることが出来たよ」
「はい、その通りヘル君のお陰だと思います!エンチャントのお陰で魔法の威力もいつもより上がっていて、ビックボアにかなりダメージを与えることが出来ました!フラッシュの魔法も普通だとあそこまでの威力は出ないので、いつも通りだったら途中で視力を回復されて危なかったです」
ビックボアとの戦闘が終わると各々がそれぞれ今回の戦闘の感想を語った。
「確かにいつもよりパワーが出てた気がするな。それに指示を聞くだけでよかったからいつもより攻撃に集中も出来たしな」
「あたしもいつもよりも早く動けたわ。指示についてもあたしも助かったわ」
「…………(こくり)…………(こくり)」
戦闘前に俺がかけたエンチャントについても、しっかりと効果を実感していたようである。
俺が攻撃に参加せずに指示だしをしていたのもけっこうエイグたちには評価されている。
俺としては攻撃に参加しなくて申し訳なかったんだが。
「本当ヘルシャフトがいてくれて助かったよね。僕たちだけだったら討伐難易度Fランクの魔物であるビックボア相手だと、こんなに簡単にいかなくてかなり苦戦してたと思うからね」
ジェイスがそう言うが、俺はそうは思わない。
「でもエンチャントかけても使いこなせなかったら意味がないから、結局皆が凄いんだよ。それと指示だしもあれくらいなら誰でも出来るだろ。その指示通りに動けるエイグたちがいてくれたから今回は上手くいったんだ。それにエイグたちなら俺の力がなくても、ビックボア相手でもそこまで苦戦することはないと思うんだがな」
そうエイグたちは、エンチャントをしっかりと使いこなし指示にも的確に動いていた。
だからこそ俺の作戦は上手くいった。
その辺りの実力も鑑みて、エイグたちなら5人で十分にビックボアくらい倒せる実力を持っていると思う。
「う~ん、そんなことはないと思うんだけどね」
「ま、そのことについては後で話せばいいだろ。今はビックボアを回収してバイスのところに戻ろう」
これ以上ここで話し込んでると、他の魔物が寄ってくる可能性があるからな。
「うん、そうだね。先ずはそっちのほうを優先したほうがいいね」
「じゃあ俺が回収するから、ジェイスはあっちを頼むわ」
ビックボアは俺が回収することにして、ジェイスにはエイグたちのことを頼んだ。
なんでかというと―――。
「まあ俺の実力はすげえのは当たり前じゃねえか!」
「あたしがあんなのに苦戦するわけないわよね!」
「…………(ふっ)」
「えへへ♪ヘル君に褒められちゃいました!」
どうやら今まで実力を認めてもらえる機会がなかったみたいで、さっきの俺の言葉に舞い上がってしまったのだ。
ちょっとめんどくさいことになっているのだ。
でも、その気持ちは分からなくもない。
俺も初めて何かを認めてもらえたときはかなり嬉しかったのを覚えている。
地球にいた時の話だがな。
4人の顔には笑顔や笑みがひろがっている。
……って!ガンツが笑っているだと!?
まさかこんなことでガンツの無表情を崩すことが出来るなんて。
あとティリーは喜んでるところが違うだろ。
「分かったよ。僕がなんとかするよ」
「頼んだ」
その俺の言葉を受け、ジェイスはエイグたちのほうに向かった。
それを確認して、俺のほうもさっさと終わらせることにする。
まあ、ビックボアを《空間収納》に収納するだけなんだがな。
「“収納”」
さっさとビックボアを回収し終えた俺は、ジェイスの様子を確認した。
確認したところ、ジェイスたちがこっちに向かってきていた。
どうやらもうあの興奮状態を納めたみたいだ。
仕事が早くて助かる。
「そっちも終わったみたいだね」
「まあ、回収するだけだからな」
本当に俺はビックボアを回収するだけだったからな。
そう考えると、あっという間にエイグたちをどうにかしたジェイスはマジで凄い。
「じゃあ、エイグたちも来たしバイスのところに戻るか」
取りあえず俺たちはバイスのところに戻ることにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お前たちよくやった!これだけ早くクリアする奴等はなかなかいないぞ!」
戻ってきた俺たちをバイスは上機嫌に迎えてくれた。
一応遠くから俺たちを監視していたバイスは、ビックボアを倒したことを知っているのだ。
「俺としてもギルドとしても将来有望な冒険者が誕生してくれるのは嬉しいことだ」
そうバイスは本当に嬉しそうに語る。
こういうのってけっこう嫉妬されるとかの展開かと思ったけど、どうやら違ったようだ。
バイスがいい人で良かった。
「じゃあ、お前たちがFランクの魔物を倒せたことだし街に帰るぞ」
その言葉に従い、俺たちはクライブ平原をあとにして街に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「「「「「かんぱーい!」」」」」
今、今回のFランク合同演奏クエストの祝勝会が開始された。
あの後、行きと違い襲撃されることもなく街に帰ってきた俺たちは早速ギルドに戻り、Fランク合同演奏クエストをクリアしたことをバイスと一緒に報告して正式に達成となった。
その流れで、祝勝会をしようということになり酒場に直行して今に至る。
この世界では、成人は15歳からなので俺たちが飲酒しても何も問題がないのである。
ダンッ!
「ついにEランクになったぜ!」
エイグが乾杯をして、一気に飲み干したジョッキをテーブルに叩きつけながら叫んだ。
その声は怒っているのではなく、喜色に溢れている。
それもそうだろう。
俺以外のエイグたち5人はFランクの規定ポイントが貯まっていたから、今回Fランク合同演習クエストを達成したことによってEランク冒険者になったのだから。
「でも、Eランクなんかで満足なんてしないわ!あたしたちはもっと上を目指すのよ!目指せSランク冒険者よ!」
「…………(こくこく)」
エイグの言葉を聞き、アリナは今後の目標を叫んでいる。
ガンツもそれに同意見なのか頷いている。
「当ったり前じゃねえか!」
エイグも同意見のようだ。
その後も、あーだこーだと3人は語り始めた。
ガンツは頷いてるだけだから実質喋っているのは、エイグとアリナの2人だが。
「賑やかだねえ」
俺の隣に座り騒がずに酒を飲んでいたジェイスが呟く。
「ジェイスもなんか目標でも叫んでみたらどうだ?」
それを聞いて、ちょっとからかうつもりでジェイスに提案する。
「僕はいいよ。そういうのはエイグとアリナに任せておけばいいんだよ」
ジェイスからは予想通りの返事が返ってきた。
「ま、そうだな」
俺としてもどうせやらないと思ったけど、もしかしたらやってくれるかなくらいの期待を持って提案しただけだからあっさり引き下がった。
「そういえば、あの件は考えてくれたかい?」
ここでジェイスが、俺にあの件の返事を聞いてくる。
あの件とは、街に帰る途中にエイグたちのパーティに誘われたことだ。
誘われたときに少し考えさせてくれと答えたから、こうして時間が経った今聞いたのだろう。
「私はヘル君と一緒に冒険者がしたいです!」
そこまで俺の横で話を聞いてるだけだったティリーが、意見を主張してきた。
その声は思ったよりも大きく、目標を3人で語っていたエイグたちにも聞こえたようであった。
「あの件について話してるなら、俺としてもお前が加わってくれたほうが助かるぜ」
「あたしも同意見ね」
「…………(こくり)」
ティリーの言葉で何を話してたのか理解したエイグたちも、俺のパーティ加入を肯定してくる。
「僕も勿論パーティに入ってほしいな」
ジェイスもそう発言する。
「……ありがとな、こうやって必要だと言われると嬉しいな。じゃあ、言わせてもらう。俺をパーティに入れてくれ!」
こうして俺はエイグたちとパーティを組むことになった。
「よっしゃあ、新メンバー加入分も飲むぞー!」
そうエイグが声をあげた。
そして、さっきまで以上の盛り上がりで祝勝会は続いていった。
「ヘル君、これからもよろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそよろしくなティリー」




