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第10話 Fランク合同演習クエスト

ブックマーク数も読んでくれる人もさらに増え、作者としてはとても嬉しいです!


どうぞこれからもよろしくお願いします。

「そういえば、ヘル君はお婆さんがやってる薬屋のことを知ってますか?」


 ティリーが俺に薬屋について聞いてきた。

 今、俺たちは今回の目的地である街の東に存在するクライブ平原に向けて歩いていた。

 ちなみに俺とティリーは勿論すでに合流済みだ。

 ……ジェイスにからかわれるのは分かっていたが、エイグとアリナにもからかわれたがな。

 ま、俺も今回はやられっぱなしじゃなく、エイグとアリナの関係をからかってやった。

 そうして少しの間ふざけた後に、俺たちいや俺とエイグたちが自己紹介をまだしていないのを教え、互いに自己紹介をした。

 ティリーがあそこで俺に名前を教えてくれと言ってくれなかったら、そのままするのを忘れてたな。

 それで分かったのが、エイグは種族ヒューマンの剣士で、アリナは種族ビーストマンtypeキャットの剣士で、ガンツは種族ドワーフの重戦士で、ジェイスは種族エルフの風属性魔法使いで、ティリーは種族ヒューマンの光属性魔法使いだった。

 で、自己紹介した後は互いに名前で呼ぶようになり歩きながら会話をしている時に先程の質問をされたのだ。


「ああ、知ってるな。冒険者登録した日にポーションを買ったところだし」


 あの街でお婆さんがやってる薬屋はあそこしかないらしいから間違いがない。


「あ、やっぱりあそこでポーション買っちゃいますよね。あそこのお婆さんはいつもサービスしてくれると有名ですもんね」


「そうなのか?そこまでは知らなかった。ただ泊まってる宿屋から一番近いところを選んだだけだからな」


 そんな話があるなんて本当に知らなかったな。

 俺は宿屋でレナに一番近いところにある薬屋はどこか聞いたら教えてくれたあの薬屋に行ったわけだから。

 それにしても気前がいいお婆さんだとは思ってだが、他の冒険者たちにもしかも毎回サービスしてるなんて店は大丈夫なのだろうか?


「それは運が良かったですね」


「確かにそう言われると運が良かったな。それで、それがどうしたんだ?」


「あ、それはですね。あの薬屋―――」


 ティリーが薬屋について語ろうとしたところで。



「グギャァァ!」



 俺たちの前にゴブリンが現れた。

 ゴブリンは腰布を着けただけの身長130cm程の緑色の皮膚をした小人ような見た目だ。

 その現れたゴブリンの数は3体いる。

 3体とも手には棍棒のような木の棒を持っている。


「ティリー、その話は後で聞かせてくれ!先ずはゴブリンを倒すのが先だ」


「はい、そうですね」


 話の内容は気になったが、先ずは戦闘に集中することにした。

 周りを確認すると、他のメンバーも戦闘態勢に入っているのが分かった。

 そして、前衛3人がゴブリンに向かって駆け出した。

 ちなみにこのパーティでは、前衛がガンツ・エイグ・アリナで後衛がジェイス・ティリー・俺という配置になっている。

 俺が後衛にいる理由は、まだ魔法で戦ったことがなかったと思い今回のクエストは魔法使いとして行動しようと考えたからだ。


「クギャ!クギャァ!」


 前衛が向かっていくのに対して、ゴブリンたちもこちらに叫び声をあげながら向かってきた。

 そして、ガンツが中央にいたゴブリンとエイグとアリナがそれぞれ左右のゴブリンと激突した。


「……ふっ!」


 ガンツはゴブリンの棍棒での攻撃を左手に持っている盾で防ぎ、攻撃を止められ硬直してしまったゴブリンの首を右手に持っている剣ではねた。


「おらぁっ!」


 エイグはガンツのように受け止めるようなことをせず、大剣を両手で持ちゴブリンのことを棍棒ごと両断した。


「やあっ!」


 アリナは2人のように正面からぶつかることはせずに棍棒を体をずらしてかわし、攻撃が空振りして態勢が崩れたゴブリンの首をはねた。


 俺たち後衛の出番が全く必要なくあっさりと戦闘は終わった。

 まあ、ゴブリンは討伐難易度Gランクの最弱の魔物だからFランクのエイグたちがあっさり勝ててもそこまで驚くことではない。

 それよりも俺は、ガンツの声を初めて聞いたことのほうが驚いた。

 自己紹介のときはジェイスが代わりに喋ってそれに頷くだけだったからな。

 そんなことを考えていると、エイグたちがゴブリンから魔石を取って戻ってきた。

 魔物は魔石の他にも大体の魔物なら何かしら使える部位があり剥ぎ取りを行うが、残念ながらゴブリンにはない。


「お前たち、今のはなかなかいい動きだったな。でもな、今はパーティとして行動してるんだから1人でやろうとするんじゃなくて、もっと連携を意識するようにな」


 今の戦いを見ているだけだったバイスが、こちらに近づいてきて前衛3人の動きは褒めたが、パーティメンバーとしての行動としてはダメだと注意した。


「だから、次は連携を意識しながら戦って後衛の奴等にも攻撃させてやれよな。勿論前衛同士でも連携はするんだぞ」


 バイスに動きを褒められてエイグとアリナは嬉しそうな表情をした(ガンツは無表情で表情を読めないから分からなかった)が、すぐに問題点を指摘されて落ち込んでしまう。


「分かった」


「分かったわ」


「…………(こくり)」


 それでもちゃんと3人は指摘されたことを素直に受け入れた。


「まだ完全に理解出来ていないようだが、それでいいんだ。連携ってのは積み重ねが重要だからな。今のお前たちには連携を取ろうとする意思が大切なんだぞ」


 最後にそうバイスはアドバイスをした。


「よし、それじゃあクライブ平原に向けて出発するぞ」


 バイスのその言葉を受けて俺たちは、またクライブ平原に向けて進み始めた。

 この時には、ティリーとの会話の薬屋の話について俺は忘れてしまっていた。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 あれからも何回かゴブリンと遭遇し戦闘になったが、特に苦戦をすることもなくクライブ平原に着くことが出来た。

 勿論、戦闘中は連携を意識しながら戦った。


「ここがクライブ平原か」


 クライブ平原は辺り一面が草原となっている場所であった。


「お前たち聞いてくれ。お前たちの連携はここに来るまでの道中の戦闘で多少はましになってきた。それでだ、今日のFランク合同演習クエストではお前たちに討伐難易度Fランクの魔物を倒してもらう」


 バイスが俺たちに、今回のFランク合同演習クエストの達成条件を告げてきた。

 討伐難易度Fランク、つまり普通のFランク冒険者がパーティで倒す強さの魔物になる。

 なんでバイスが俺たちに連携をとれるようにと言っていたのかが分かった。


「ゴブリンみたいなGランクじゃ物足りなくなってし、Fランクの魔物と戦えるなんてちょうどいいじゃねぇか!」


「あたしもエイグと同意見ね。Gランクの魔物じゃ物足りなかったのよ」


「…………(こくり)」


 前衛3人はFランクと言われてしり込みするどころか、かなりやる気満々みたいだ。

 後衛はというと。


「Fランクの魔物なら僕たちの実力を考えたら余裕だよ」


「え、えっと頑張ります!」


 こちらもやる気十分みたいだ。

 ジェイスは言葉通り余裕だと思っているのか、いつも浮かべている笑みを浮かべたままである。

 ティリーは怖いのだろうけど皆がやるならと勇気を振り絞っている。

 その様子がめっちゃ可愛いです。


「ヘルシャフトお前はどうするんだ?」


 皆が挑戦すると表明してるなか俺だけが何も言っていなかったので、バイスがどうするのかと聞いてくる。


「勿論、俺もやるに決まってる」


「よし、お前たちいい意気込みだ。だが、もし危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。その場合は俺が魔物を倒してやるからな」


 これはやる気満々で無理しそうな前衛3人に言っているのだろう。

 まあ、確かに3人を見てると引き際を誤りそうに感じるのは理解出来る。


「それじゃあ、この平原にいるFランクの魔物をどれでもいいから倒してこい。それが出来たらこのクエストはクリアだ」


 その言葉を受け、俺たちは魔物の索敵を始めるのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 それからしばらくして俺たちは今回の目的であるFランクの魔物を見つけた。

 その魔物はビックボアという猪に似た魔物だが、その大きさは地球の猪の3倍の大きさになる。


「あいつにするか?」


 気づかれる可能性を考えて、小声で俺はビックボアを標的とするのかエイグたちに聞いた。

 それに皆が縦に頷く。


「なら、エンチャントかけるぞ」


 そう言い俺は各個人ごとに一番合うエンチャントをかけた。

 ちなみにエンチャントを使うで分かるが、俺は付加魔法を使う魔法使いとしてやっている。

 俺が攻撃魔法とか絶対にオーバーキルさせちゃうからな。


「“エンチャント:STR”」


 先ずはエイグに。


「“エンチャント:AGI”」


 次にアリナに。


「“エンチャント:DEF”」


 その次にガンツに。


「“エンチャント:INT”」


 ジェイスに。


「“エンチャント:INT”」


 そして、最後にティリーに。


「かけ終わったぞ。じゃ、道中と同じようにしっかりと連携を意識してやるか」


 俺の言葉に皆が頷く。


「それじゃあ先制攻撃は魔法でな!」


 俺が攻撃開始の合図を出すと。


「“エアカッター”」


「“シャイニングレイ”」


 ジェイスとティリーの攻撃魔法がビックボア目掛けて放たれる。



「ブモォォォ!?」



 不意討ちのその魔法にビックボアは反応出来ずに直撃をくらう。

 だが、攻撃をくらったことで俺たちの位置を発見し怒りに任せて猛然と突進を仕掛けてきた。


「目を閉じろ!」


 そのタイミングで俺は指示を出す。

 エイグたちはその指示通りに目を閉じる。


「“フラッシュ”」


 ティリーの魔法によって、ビックボアの目の前で強烈な光が炸裂した。



「ブモォッ!?ブモォォォォ!?」



 言葉など理解出来るはずもないビックボアは、その光を直接くらってしまう。


「今だ!総攻撃だ!」


 ビックボアの視界がやられたのを確認した俺は、皆に攻撃を指示した。

 そして、ジェイスとティリーの攻撃魔法に加わりエイグたち3人も攻撃に参戦した。

 視界をやられてしまったビックボアは必死に迎撃しようとするが、やはり何も見えない状態だとそこまで抵抗できなかった。

 僅かに出来た攻撃も全てガンツが受け止めていた。

 しばらくしてビックボアは叫び声をあげたかと思うと、そのまま地面に倒れた。

 どうやら視力が回復される前に倒しきれたようだ。


 こうして俺たちは、Fランクの魔物ビックボアを倒しFランク合同演習クエストを達成したのだった。

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