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3-5

 菓子を食べ終えたアカザたちは観光の続きをすることにしたが、日皇が有難迷惑で「余の町を案内してやろうぞ!」とのこと。

 だがどちらかと言うと、付添人の解説にトゥルーと同じく聞き耳を立てて居たりする日皇。


 トゥルーと日皇が先導して歩き、その後に続くアカザを監視するようにして付いてくる付添人が声を掛けて来る。

「一つ伺いたいのですが、貴方は日皇様をどう考えておりますか?」

「生意気なガキ」

 率直な感想を何も考えず言ってしまうアカザ。侮辱したので怒るかと思ったが、予想に反して付添人の顔は変化しなかった。


「そうです。そして、殆どの重鎮もそのように考え侮っております。そして、日皇様は政治には関われない」

「まぁ、知識や経験のない奴に政治を仕切ることはできないわな」

 カリスマや血統だけで人は纏められるものではない。そして、政治家や首相の仕事は国民から集めた税金を、どのように使うか決めるのが主な仕事。経済学や法律などを勉強しなければまず、国を回らせることができない。


「代行だけならまだいいです。しかし、最近では内部で不正行為や独裁体制ができつつあります」

「お家騒動はごめんだね」

「先程の同盟の話を無理やり進める輩どもです。条約締結されてからでは遅いのです。ですから―――」

「あのさ、結局俺になにしろと?」

 回りくどい言い回しが嫌いなアカザは、要点だけ理解したいので話をさっさと進める。


「同盟を結ばないように力を貸してほしい」

「ヤダ」

「……このまま放置しておけば民が苦しむのにですか?」

「いやさ、そんなチマチマしたことせず、どうせなら同盟国潰せよ」

 あまりな考えに付添人はしばし絶句し、何とか頭の思考を取り戻す。


「冗談でしょう」

「まぁ、冗談だけど」

「笑えませんよ。その冗談」

 本当に笑えなかったようで、顔が固まっている付添人。


 流石にアカザと言えど都市を破壊しようとすると準備が必要、逆に言えば準備さえ完了してしまえば破壊できるのである。


 上位より上の階級魔法。賢級、儀級のスキルを使ってしまえば、まず何かしらの防御壁がない都市は終わる。例え防御壁があったとしても、古級、極級を使えばいいだけの話。

 賢級、儀級、古級、極級の【魔法】スキルの多さは、スキルを節操なく追加していった運営側の苦肉の策。また、中には在る条件を満たせば伝承級のレイドボスの【生命力】を半分消し飛ばすような物も含まれる。


 インフレ化待ったなしだが、総じて【スタンバイタイム】が長いのが弱点。なので、都市と戦うにしても時間が必要。

 詠唱中に攻撃されれば中断され放てない。高速で動き回ったり、広範囲攻撃を持つモンスターならばまず使う隙がない。1対1のPVPなら即妨害しに来る。アカザだってそうする。長い【スタンバイタイム】で無防備になっている使い奴が馬鹿。


 アカザが【エチゴ】で使った【ケラノウス・ボルティジ】も、ナオトラと言う前衛が居てできたことで、前衛が居なければアカザだって怖くて使えない。


「同盟を組ませないと言っても具体的な方法なんてあるのか? と言うか、なんで同盟を組んじゃいけない?」

「貴方は突然現れて、何を考えているか分からない人を信用できますか?」

「それ、俺も含まれてないか?」

 彼女にしてみればアカザも、突然現れて、何考えているか分からない人である。


「ナオトラ殿の紹介状のおかげです」

 どういう内容を書いたのか、げんなりするアカザ。

 持ち上げられても困る。ひっそり定年退職した老後生活を送りたいとは思はないが、ちょっとしたことで騒がれる政治家生活も嫌だ。


「で、どうすんのさ」

「協力するのですか?」

「話を聞いてから」

「あれです」

 そうして付添人が示したのは、いつぞや【エチゴ】でも見た事がある。宣教師が台座の上に立ち同じような演説をしていた。


「【ドメラシナ】からの宣教師ですが、全員が間諜(スパイ)です」

「おい、まずあいつが誘拐されるんじゃないのか?」

「それが狙いです」

「は?」

「捕まえて犯罪人になるのであれば、民の信用は失われるでしょう」

 つまり、日皇が囮という事にならないか。


「お前も屑じゃね?」

「……若に許可は取っています」

 言葉巧みに騙したのではないのだろうかと疑ったが、アカザには関係がない。


 しかし、日皇の隣に居たトゥルーにも被害が及んだ。

「きゃっ! むぐっ」

「は、はなっ! むがごご」

 年齢が近い所為か、精神的にまだ子供だった所為か、近くに居たトゥルーも一緒に、路地裏から出て来た男に引きづり込まれ、誘拐される。


「エサは日皇だろ? なんでトゥルーも誘拐されているんだ?」

「……あ」

 付添人の反応に沈黙。すぐさまアカザはトゥルーの元へと駆け出す。


 アカザも付添人もスキル【追跡】を発動し、誘拐犯を追う。

 しかし、複数いて、2つの同じ亜麻袋の中に1人づつ隠して別々の方向へと逃げ出す。【ドメラシナ】の工作員たちはどちらを追うかと迷わせるために、何も関係のないトゥルーも誘拐したのだ。


 一瞬、アカザはどちらを追うべきか迷ってしまう。それを隙と感じた足止めの工作員は、懐から短剣を持ち出し、アカザの腹を刺そうとした。


 だが、遅すぎる。

 工作員の動きは普通の冒険者ならば、短剣は喉に突き刺さるだろう。


「邪魔だ!」

 しかし、生憎と普通ではない冒険者のアカザは、短剣の攻撃を無視して工作員の男の腹を殴る。短剣はアカザの皮膚に弾かれてしまう。逆に拳は工作員の腹を易々と貫通した。


 風船玉を針で刺したように吹き飛んで死んだ工作員。その光景を見ても他の工作員たちに一瞬の動揺が走りる。恐怖の思考からかアカザを近づかせないようにして、遠距離から仕掛けることにした。


 工作員たちが取り出したのは【縛魔効矢】と名付けられた矢、それを放つための弓。

 【魔法】スキルである【バインド】系スキルの能力を高める矢であり、拘束時間が長くなる効力がある矢。その矢を弓に構えアカザに突き刺そうとする。


「ちっ!」

 アカザは即座にスキル【縮地】を使い、一気に妨害してくる工作員たちを通り抜けた。


 正面からまともに相手をする気はアカザにはない。


 アイテム効力に対する【耐性】スキルはない。毒や麻痺などのバッドステータスに対する【耐性】を持つアカザなら、【バインド】の持続時間はかなり短くなる。だが、【縛魔効矢】によって持続時間が長くなれば追加された時間分、拘束されてしまう。


 【縛魔効矢】が何度も当たりアイテム効力が重複してしまえば、日皇、トゥルーの追跡は不可能となる。

 妨害してくる工作員たちを通り抜け、【追跡】を使われていない方の亜麻袋を持った工作員を追跡する。【追跡】1体しかできない。


 ランク100のスキル【追跡】ならば一度ターゲットすれば世界の果てだろうが、【地図】上に※の表示が浮かぶ。

 故にまだ目視できる誘拐犯を逃さないように、アカザは移動スキルを多用し凄まじい速度で追跡する。


 【風纏い】で行動を高速化し、【ブーストドライブ】で地面を猛進、相手が屋根に上がれば【ジャンプ】で家を飛び越え、【エアフライ】によって空中で背中に嵐を受けたような加速を得て、押し出されるようにして驀進する。


 誘拐犯は追いつかれるのを察してか亜麻袋を放り投げ、戦闘態勢に移るがもう遅い。


 突進する勢いを弱めず、誘拐犯に迫り拳を繰り出す。

 凄まじい筋力によって放たれる拳は、先程の工作員のように易々と誘拐犯の【生命力】を0にして、白い灰にする。


 そのまま、放り投げられた亜麻袋を空中でキャッチして、地面をザザザと滑り止まる。

 中を確認してアカザは舌打ちした。

「あっちか」

 中には日皇が、何かしらのくするでも使われたのか眠らされている。


 つまりアカザにとっては外れ。

 直ぐに【地図】を確認して、トゥルーを取り戻そうとしたが【追跡】しているはずの※が【地図】上に浮かばない。

「は?」


 【地図】を拡大し【キョウノミヤコ】全域を映してみる。だが、どこにも※は浮かばない。

 【スキルウィンドウ】で【追跡】の効果が消えていないことを確認し、アイテムやスキルを使いどこかの大陸や都市に一瞬で移動したことも考えて、【地図】を世界地図のよう広げる。


 だが、それでも【追跡】の効果は表示されず、トゥルーが連れ去られた。

 その事実を頭が認識してしばらく呆けてしまう。

 しかし、アカザを危険だと判断した工作員たちが追ってきて、呆けているアカザにスキルを使い攻撃をした。


 火属性の【魔法】スキルを使ったのか、アカザに爆炎が降り注ぐ。

 だが、その攻撃を認識したアカザはゆっくりと振り返る。


 幽鬼のように表情がない顔を見た日皇は震えあがり、危うく悲鳴を上げそうであった。

 感情のこもっていない目で、こちらに向かって来る工作員を捉え、反撃。


 スキル群【付与術】、【チェーンバインズ】を発動。

 工作員たちの地面から、【マナ】で作られた半透明の鎖が伸びて絡まる。

 ランク100のスキルによる拘束の中で、もがく工作員たちだが一向にびくともしなかった。


 そして、アビリティスキル【手加減】を発動。

 今のアカザは彼らを攻撃しても殺せない、殺さない状態となる。

 そこから彼らに攻撃を加える。素手の一撃ですら致命傷になる彼らは、死なない、死ねない。


 ともかくアカザは拘束した彼らを滅多切り、殴り、蹴りを繰り返すがそれでは収まらない激情。続けて火炙り、感電させ、雑巾のように彼らの体をねじり、ともかく憂さ晴らしを開始した。


 そんな相手の心を挫くかのような攻撃を続け、相手が悲鳴も上げられないほどグロッキーになった状態でやっとアカザの暴虐が止まった。


「でさ、あんた等どこに日皇を連れて行こうとした? 【追跡】のスキル効果がなくなったのはなんでだ?」

 アカザは地面に転がっている工作員に、単調な声で問いかける。


 先程の【チェーンバインド】は、一定時間で拘束している鎖はなくなってしまうので、替わりに持っていたアイテム【粘着ネット】を代用している。べったりとした接着剤の液体と、蜘蛛の巣状の形をした物でぐるぐると巻かれており身動きが取れない工作員たち。

 

 キキョウたちを送迎している途中、アカザでも対処できないモンスターが現れた時、時間稼ぎに使い逃げるために用意していたものだ。どんなモンスターにも効く訳ではないが、用心のために持っていた物。

 本来は拘束して身動きが取れない相手にダメージを与えるもので、攻撃さえしなければ10分近く拘束状態にできる。その攻撃も10回までは解けることはない。


 地面に転がっている、その内の1人を適当に頭を掴み乱暴に持ち上げる。

 アカザの強力な圧力に顔を顰めている工作員。先程から一言も喋らず、質問に沈黙し、口を固く閉ざしている工作員。

「…………」

「あっそ」


 と、工作員の頭を掴み、握り潰す。

「ごぅおぅあうぅあ!?」

 グジャッと気持ち悪い音が出て、うえぇと声を出したアカザ。


 だが、白い灰にはならない。

 未だにスキル【手加減】の効力は発動している。

 捕獲クエストなど、相手を殺さないように加減したいときに使うスキルだが、尋問《拷問》の行き過ぎ防止やサウンドバックにも利用可能である。あとは苛め、挑発などに使う。


 アカザは今すぐ暴れて目の前の工作員を殺したいのを我慢して、このスキルを発動した。殺して誘拐に関する記憶がなくなってしまえばアウト。失わずとも復活地点まで復活した奴を持ち帰るのも面倒。


「た、例え……」

「ん?」

 瀕死の工作員が息を絶え絶えにして、眼光を射抜かんばかりで睨む。


「貴様が……どれ程の力の持ち主だろうと、我々の勝ちだっ」

「勝とか負けとかじゃねぇよ。俺は機嫌が悪いんだ」

 上級【魔法】スキル【カバード・フレイム】を工作員に掛ける。


 一瞬にして火達磨となった工作員。

 緋色の炎が包み込み、皮膚の表面燃やす。

 それでも、火力が高い所為か鼻の穴や口から炎が入り込み、内部を焦がす。眼球の水分は一瞬にして蒸発し、男の口から絶叫が我慢できず漏れ出す。


 猛火の中でも【粘着ネット】は燃えることがなく、まだまだ許容範囲で男を拘束し続ける。

「ぐがあああああああ!」

「うるさい」

 【魔法】スキル、【サイレント】を男に掛ける。


「――――ッ!」

 強制的に声を出せなくなった工作員は、のた打ち回ってまるで火で炙られる芋虫が必死にもがき苦しむようなダンスをアカザや日皇、付添人に見せる。


 本来【サイレント】は相手に【沈黙】のバッドステータスを与え、【魔法】や【付与術】などの詠唱を阻害するスキル。だが、文字通り言葉を発することができなくなるので、悲鳴を発することができなくなってしまった。


「そ、そちよ。やり過ぎではないのか」

 見ているこっちが耐えられなくなったのか、日皇が口を出すがアカザにとって序の口である。


「昔さ、アニメで拷問シーンとか在ったんだよ。でだ、爪剥がしたり、歯を強制的に抜いたり、目を潰したり、指を切り落としたりするんだけど、こっちじゃ【手加減】すれば死ぬことはないし、【回復術】で【生命力】を回復させればどんな怪我でも治るから、相手が死ぬよりマシじゃね?」


 拷問の一番の問題はやり過ぎで殺してしまい、情報が聞き出せないことである。精神的に苛め、心を弱ませ、仲間を裏切らせる。


 一番いいのは縛り、暗い部屋に強烈な光を顔に当てる、水を額に定期的に滴らせる、という拷問の方が神経が衰弱し効果的だと言う。だが、アカザは拷問で情報を引き出そうとするよりも、相手にイライラをぶつけて怒りを発散しているように思えてならない。


「もうそこまででいいでしょう」

 付添人も見ていられなくなってきたのか、口を出しアカザの行為を止めようとする。

「ああ? てめぇは黙ってろ」

「玉座に連行し、これだけ実行犯が居れば言い逃れできません。そこで―――」

「聞こえなかったか? 黙れって言ってるんだよ」


 思い通りに行かないことに、味方であるはずの付添人を威圧し出したアカザ。

 ただ、最近までニートだった彼が睨んでもあまり迫力はない。しかし、それが底知れぬ不気味さを醸し出す。


「お前らの御家騒動に巻き込まれているんだ。全く関係がない俺らがだ。ハッキリ言って俺の重要なのはトゥルーであって、あんた等も【キョウノミヤコ】なんてどうでもいい。それに八つ当たりをして何が悪い?」


 かなりの暴言だが、その行為を止められる者はここにはいない。

 しかし、その言葉は裏を返せばトゥルーが心配で仕方がないとも聞こえる。

 そこを突こうと、工作員が口を開いた。


「あの少女も今頃、があがあががが!?」

「てめぇは俺の聞かれたことに答えりゃいいんだよ」

 無駄な口を開いた奴にアカザは手の平から電流を放ち、死にそうな激痛に襲われた工作員は、侮辱の言葉すら吐くことができない。


 今度はアカザが適当に目を付けた者に対して激痛を与える。今度は【ハート・クラッシュ】と言う呪属性の【魔法】スキルを使用し、対象の心臓を文字通りに破壊した。


 対象となった工作員は口から血をゲロのように吐き出し、


 【フォークロア】には属性が下位、上位の枠組みがある。その中で上位属性になる呪属性は、文字通り呪いをモチーフにした能力を持つ。

 その呪いは特殊なバッドステータスとして、ゲームで表現される。

 例えば【ハート・クラッシュ】は【自然回復】や【高速回復】、【治癒術】の回復量を減らすバッドステータスを与える。だが、日本語に直訳すると【心臓が壊れる】という意味になる。


 その状態で生きると言うのは、途轍もない生理的恐怖と不快感が与えられる。

 心臓が壊された痛みも凄まじい物だが、鼓動がなくなると言うのは自身がゾンビになったという絶望感を工作員に与える。

「なん、ぶふぇ、でぇ、うぇ、でえででで!?」 

「黙っているから同罪だ。さっさと答えろ」


 彼らに人権などないと思っているので、もはやただの八つ当たり。まるでイライラしたので道端に落ちている石ころを蹴り上げた、そんな認識でアカザは工作員たちを尋問する。


 【魔法】スキル、呪属性【ツイスト・ライト】

 哀れな生贄の1人の体が捻れる。

 首が180度曲がり、背中と腹が逆の位置になり、手足、指の骨も在り得ない方向に曲がり出す。バキバキと嫌な音が連続して鳴る。

「あがっ―――。ぎっ―――」


 最早悲鳴ですらない。虫が潰れた時の音が【ツイスト・ライト】の対象となった人物の声から出る。

 いっその事、死んだ方がましな状況である。

 だが、アカザは【回復術】を使い傷をいやすようなことはしない。

 【マナ】がなくなって来たという訳ではなく、単純に一々痛みを消す理由もないだけ。


「さて、いい加減教えてほしいんだけど」

「し、知らない。本当だ! 我々は―――」

「あっそ」

 知らないとその言葉を聞いた瞬間、スキル【手加減】を解除して腰に差していた刀を抜き放ち、首を一閃。続く言葉はいきなり視界が変わったことに疑問に思ったのか、「ふぇ?」と間抜けなつぶやきを漏らす。


 ポーンと跳んだ頭はコロコロと地面を転がった後、白い灰となって消えた。

 あまりに呆気ないでき事に、その場に居た全員が言葉を発することができない。

 その反応を見て、嘘は吐いていないだろうと推測。


 仮に出鱈目で、トゥルーの居場所を知っているならば、言葉の限りを尽くして誤魔化そうとするか、もしくは固く口を閉ざす。だが、彼らは驚いた顔をした。


 驚いた理由は続く言葉を、情報をやっと聞き出せたのに、自分で台無しにしたことだ。誰だって必死に探している物を、探している物を破壊すれば誰だって「何やってるんだこいつ」と思うだろう。


 つまり、トゥルーの居場所については嘘を吐いていない。

 そして、推測ではあるが【追跡】の効力が消えたのには見当がついている。

「【ディススペル】で【追跡】の効果を消したか?」

「し、知っていてやったのか!?」

 工作員の1人が耐えられず、アカザを非難する。


 しかし、その言葉で推測は確信に変わった。

 【付与術】のスキル、【ディススペル】。

 スキルで付加された効果を取り除く【付与術】。


 それで【追跡】の効力を振り切るモンスターなど居らず、システム上できないために、その可能性を考えることなく【追跡スキル】を使用していない方を追ってしまった。

 まんまと騙されたことにいら立ちを募るアカザだが、じっとはしていられない。


「後はご勝手に」

 そう言った後、アカザは残った工作員を付添人や、付添人の仲間と思われる人物たちに預け、【キョウノミヤコ】を探索する。

 先程までの旅行とは違う。

 鬼気迫る顔でその場を駆けだした。

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