vs紅月
咳がつらいですね。風邪ひいてました。
放課後、オレは地下5階の訓練場兼体育館に来ていた。だだっ広い訓練場には射撃場、柔道場、などなどの様々な施設がそろっている。生徒は使用内容と使用時間さえ言えば貸し出してくれるシステムとなっている。
「あいつら結局昼飯は別で食ったみてぇだな。まあ、それとは別でこのカツサンドはどうしても食べたいと...食い意地!」
なんて独り言をつぶやいていると例の二人+天闇が到着した。
「...いやなんでお前いるの?そっちの二人しかオレ呼んでないけど?」
「いやなに。君と一戦交えることができると聞いてな!俺も混ぜろ!」
セセラギとも紅月とも、模擬戦をすることが少ないこともあって今回はこんな当てつけをしたのだが...まあこの際天闇の力量も図ってみるか。
「...よし!三人とも相手してやらぁ!」
............
.........
「前回ほど簡単には負けたりしてやらないんだから!」
一回戦目は紅月だ。前回はオレにぼろ負けして大分悔しかったようだ。どんな成長を見せてくれるのか楽しみだ。
「言ったね?期待してるよ。」
「生意気!」
そういうと彼女はオレに血液でできたハルバードを叩きつけてきた。
「へぇ...確かに振り上げ時の無駄な動きが解消されてるね。」
「そんなこと言ってる暇ある?長剣なんて相性最悪よ?」
気づけば長剣をからめとられて身動きが取れなくなっている。そのまま武器を奪われてしまった。さすがとしか言えない見事な技だった。正直だいぶなめてかかっていた。めっちゃ強くなってる。
「ワオ」
「さっきの威勢は何処に行ったのよッ!」
なんだかんで結構押され気味だ。この短期間でずいぶんと強くなったな...などと考えていると気づけば少しずつペースをつかまれてきてしまっている。このままだと敗色濃厚...
「あんま見せたくなかったんだけどなぁコレ」
「使いたくないなら使わなければいいだけのこと。でもこのままだと負けるわよ?」
それもそうだ。手を抜いていたら負けてしまったなんて、バカらしいの一言だ。でも、その加減の取り方がわからない奴は二流だ。自分が押し返せるぎりぎりまで耐えて相手の手の内をすべてさらさせる...これが対人の正解だ。
とまあ、これ以上は収穫ナシっぽいし遠慮なく使わせてもらうか。
「それじゃあ遠慮なく...【零の双刃】...!」
............
..................
............
異能力者たちが獲得できるスキルにはスキル発現時に獲得できる「固有スキル」と、自己研鑽によって得ることのできる「エクストラスキル」の二つがある。
【零の双刃】
五十嵐赫弥を暗殺者たらしめているのは、せいぜい希少ランクの短剣を召喚するだけの、このスキルである。
............
.........
「成長速度は相変わらず早いもんだんだね。戦闘中にも相手の技術を見て盗む...いい心がけだと思うよ。」
「お世辞は嫌いよ。それにそんなこと抜かしてる暇なんか上げないんだから!」
それはそう。これはそこそこ奥の手よりの技だ。こんな短時間で使わされるとは思ってなかった。強くなったねぇ。セセラギと例の勇者クンには届かないけど。これは負けらんないや!
「じゃあ...こっからが本番だ...!」
.............
.........
「赫弥の【零の双刃】には魔力の起こりがないんだな...」
「感覚としてはただポケットから財布出してるだけなんだよね多分」
僕と天闇はそんな会話をしていた。目の前では現在進行形で赫弥と紅月が切りあっている。ただ先ほどよりも明らかに赫弥の動きにキレがかかっている。
「...ほかにもあるだろう?バフ系統の効果とかさぁ...」
「...?」
「本当にないのか?動きが先刻とは大違いだぞ?」
これに関しては本当によくわからない。一言で言ってしまうなら、赫弥が気分屋であるということだ。
あいつはもともと漫画が大好きで、とくに短剣を扱うキャラが大のお気に入りなのだ。前々からあこがれてようやく手に入れたスキルだ。きっと使えて気が高ぶってしまうのだろう。
...つまりは根性論に近い。果たしてこれは解説になるのだろうか?こんなこと言ったって天闇は納得しないだろう。一番根性論好きそうだが...
「...まあ、気分なんだよきっと。」
「そうか。気分か...それでいいや...」
聞いているか赫弥よ。あきれられてるぞ...
............
.........
「へっぶしっヵっぶねぇ!? 誰?俺の噂してるやつ?」
「こンの〇△◇?~!(ピー)」
「「お嬢様の口調がそんなんでいいんか?」」
ハルバードを振り下ろしかけている紅月に足払いを食らわせたが交わされてしまった。だが無理な体制からよけようとしたせいでペースを落としている。
もちろん好機を逃すようなことはしない。
オレは右手で突きをお見舞いした。先刻からハルバードのつかの部位だけを狙って攻撃し続けたおかげでついにひびが入り始めた。
そして続けざまにオレは左手でひびのど真ん中に短剣を突き刺した。するとガラスが割れるような音とともにハルバードが粉々になった。
「なっ?!」
「はいオレの勝ちぃ!」
そういって彼女の首筋に刃を当てた。
............
.........
短いけど早く出したかった。




