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超・短期決戦/荒んだ正常者

遅くなった!

右側からの、ほのかに香る鉄の香りと、それを運ぶ風の音とともに紅月と白峰が飛び出した。

......

抉れた大地の中央。彼女たちが宙を舞うその真横で、赫弥、セセラギ、燐、そしてヴェルグの4人が殺意を交差させていた。

......

...

二つの舞台が交錯する。


「燐!一旦休戦!先生呼んできて!」

オレはすぐさま飛び出してきた紅月と目を合わせる。

アイツの相手は高速近接、こっちはおそらく広範囲制圧。任せるべき相手は、お互い...

「分かってるな?」

「言われずとも!」


(制限解除、『10倍速』!)

13倍に比べれば負荷は軽い。それでも動ける時間は1.8秒。まあ、移動用だ。

紅月は、展開していた『紅血華(ブルーム)』をオレ達の周りにいるヴェルグに向けて放つ。無数の血晶の花びらが迫るなか、何事もないようにヴェルグ達はそれらを叩き落とす。

が、その隙だけでも十分ッ!


紅月の『紅血華』が戦場を埋め尽くし、つむぎの『疾風旋風』がその弾幕に道を穿つ。

その間を縫い、道化少女の腹めがけて短剣を突き立てた。

「えぇーガキぃ?吸血鬼ちゃんと遊びたかったのにぃ...」

「いやガキに言われたくねぇよ!」


オレは少女を吹っ飛ばし目の前の木に叩きつける。

突き刺さったと思っていたオレの短剣には、血は一滴もついておらず少女は二振りの刀を交差させた状態で木にめり込んでいた。確かに腹は捉えたんだが...

「赫弥さん!」

「体の状態、敵の詳細、その他もろもろ教えてもらってもいい?」


「それには及ばないよ♡」

道化少女はくるりと前転し地に足をつける。そして西洋風のお辞儀をこちらにしてきた。

「私はリゼット!みんなのことが大好きな、ただの道化師(ピエロ)さ♡」


「私は無傷です!リゼットさんが使う武器は多数で、全部達人級です!」

「めんどくさいピエロさんですこと...」

「ちょーっと、そこ無視しない!」

そんなカワイイ怒りの声とともに飛んできたのは、とてもカワイイとは言えない速度のトランプ数十枚。


「そっちに合わせる!」

「『山谷風(さんこくふう)』!」

つむぎのスキルによって吹き上げられた風で、すべてのトランプの軌道がそれる。

その一瞬を見てつむぎが飛び出し、猫の爪が幾筋もの風を裂き、蹴りが追撃する。

だがリゼットとやらも行動不能になるか否かを即座に判断し、最小限の動きで攻撃をいなし続ける。んでその隙をつくのがオレの仕事ってわけ!


つむぎの連撃が途切れるその一瞬、そこを的確にリゼットは突いてくる。空いた胴に刀が振り下ろされる。だがオレはそれを短剣で弾き飛ばし、蹴りを撃ち込む。

まあ、この程度じゃ不意の内にも入らない。彼女はその場で身体を一回転させながら、つむぎとオレの相手をした。

「さて...短期で仕留めるとしようか?」

.........

......

一方変わって、こちらはヴェルグ 対 紅月、ナナト

「「これでも体術は弱いほうなのですが...」」

「嘘こいてないで、一(・)対(・)一(・)で来なさいよ!」

「そーだそーだ!」

複数人のヴェルグとナナトたちが紫電の霧の中で戦闘を繰り広げていた。

霧に付与されたデバフは「盲目」と「鈍足」。セ(・)セ(・)ラ(・)ギ(・)ナ(・)ナ(・)ト(・)は自身と紅月の周りの霧を操作しながら、彼女の攻撃の隙を見てヴェルグに不意打ちを仕掛けていた。


「にしても、セセラギ君でしたか?もったいないですね...」

「何がだ?」

ヴェルグの視認できない霧の中からセセラギの拳が飛び出す。体をずらされ躱される。


「この霧、デバフ効果のみではないでしょう?そちらを使えば幾分か戦いやすいのでは?」

「フィールドだけでも魔力は食う、そうポンポン使ってられないんでね!」

紅月の飛ばす血晶の間を縫い飛び出す、が...

「「私相手に燃費の心配ですか?」」


もう一人のヴェルグの掌底がセセラギの脇腹へ沈む。

「ッ!?」

衝撃は表面ではなく、身体の内側から爆ぜる

セセラギの体が数メートル吹き飛び、木へ叩きつけられた。


「チィッ!」

すぐさま着地し戦闘態勢をとるが、セセラギの思考には悩みと混濁が生じている。

(今まで戦ってきた分身はすべて実態あり、多分本体の切り替えもできるだろうな...)

『私相手に燃費の心配ですか?』

(雑に攻めて倒せる相手じゃない。そう簡単に...)


「...言い訳、か。」

目の前では紅月がヴェルグの攻撃に応戦している。

『それともなんだぁ?オレにさらに後れを取るのがそんなに怖いのかぁ?』

(怖ぇよ)

『さっさと忘れろよ。辛いのはお前だけなんだぜ...』

(忘れたくもねぇ...あんな記憶をもう二度と増やしたくもねぇ!)


「...全力だ...」


途端、霧に含まれる魔力が一気に立ち上がる。

そして、おどろおどろしい光を放つ腕が数十本、無作為に生え無数のヴェルグを紅月のそばから弾き飛ばす。

「おや、ようやくですか?」

「あぁ、遅くなった...」

セセラギはメガネを外し、長く伸び切った髪を再び結びなおす。だがそこには確かな彼の意思が宿っていた。


「短期で仕留めるとしよう。」

文字数が実質1989...少ねぇ!

☆この作品になると極端に少ない...

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