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授業終了

これでも一週間ぶり。

「対話、ねぇ...」

隣では(りん)が装甲を展開し、低く唸るように息を吐いていた。

「悪いが俺は、頭いい話は苦手なんだよ」

「問題ないさ。外野は黙っていればいいのだよ竜人のなりそこない。」

「テメェッ!」


「あ、おい、バカ待て!」

燐が叫び声(フィア)をあげると同時に勝手に飛び出す。

そう簡単に挑発に乗るなよッ...

だが「ドラゴフィア」自体は直撃。土煙が上がる。木々が大きく揺れ、森が悲鳴を上げる。よければ撃退、最悪でも森外へ吹っ飛ばす程度のことはできただr

「そこまでやわではないのですよ?」


...いつから居た?

声の主はさっき燐が攻撃を当てた例の男。

オレのすぐ背後に陣を取り直立している。移動なんて軽いものじゃない。まるで最初から、ずっと背後に立たれていたような違和感。何ならしれっと端末も奪われ壊されている。


「ッ!?そこどきやがれ!」

燐が咆哮混じりに叫ぶ。

装甲が軋み、音波が漏れ出す。

「貴様こそ動かない方が身のためだ。それに彼を殺されたくはないだろう?」

「燐、一応従っとけ~...」


どんな手、使いやがった...風音も残像も一切聞こえないし見えなかった。よっぽどの熟練かスキルの効果か...まあ、それよりも今はこの首元に当てられた死神の手をなんとかしねぇと...

服の下、背筋を嫌な汗が伝い、無意識に唾をのむ。


「二人っきりで楽しそうだね?」

その瞬間、辺り一帯が紫電色の霧に包まれる。そして少しばかりオレの足が重くなるのを感じた。誰かに首根っこを掴まれる。景色が一気に流れる。木々を何本も飛び越え、霧を抜けたところでようやく放り投げられた。


「っぶねぇ...!」


受け身を取りながら顔を上げると、隣には燐の顔。

そして前方には、メガネを押し上げながら立つセセラギの姿。


「まったく...誰アレ?」

「オレも知らん、とりあえず助かったセセラギ!」

「燐も久々。少し太った?さっき重かったんだけど?」

「うるせぇ!装甲分だ!」


「次から次に面倒な...にしても広範囲のデバフですか...陰湿です事。」

霧の中から先ほどの敵の影がぬっとあらわれる。

「面倒はこっちのセリフだ!一体全体、何なんだお前!」

「自己紹介が遅れました(主に外野どものせいですが)。ワタクシは...」

その男は、右足を引き、片手を胸元へ。

そしてもう片方の腕を、舞台役者のように滑らかに広げた、いわゆる貴族の礼儀作法をして名を放った。


「ヴェルグ。偉大なる我が王の直属『五骸(ごがい)』が1柱(ひとり)。主に参謀、執事とやらを務める立場でございます。」

「「王?」」

「その王とオレに何の関係があるってんだ?おかげさまでこの数日ひどい目に合ってるんだが?」

「それはあなたが選ばれたから、というだけの話。まあ細かくはあの憎き篝谷(かがりや)に聞けばいいですよ。」

「校長?」


「さて話はここまでです。お三方には今ここで口を閉じさせていただきましょう。」

途端、蜂の羽音にも似た不快な音が響き始めた。そしてヴェルグの姿が2人、3人と増えていく。

ってかどこまで増えんだ?!

周りを円状に囲み、木々の隙間からオレたちを除くように大量のヴェルグが出現した。パッと目を向けただけども40人はいるんじゃないか?


「俺来たけどこれピンチ奪回できる...?」

「さすがに無理があるんじゃ...もう一人ってやつは?」

「今日は起きそうもない...」

「まず生きて帰れるかどうか...」

「「授業で死にたかぁねぇよ!」」


「安心してください。」

ヴェルグは微笑む。

「これはもう、()()ではありませんので。」


ホントにどうすればいい...端末は使えないし助けは呼べない...もう一手、この場を乱す何かが...


紅血華(ブルーム)!」

疾風旋風(はやてつむじ)!」

「キャハハッ、二人とも強ーい!」


右側からの、ほのかに香る鉄の香りと、それを運ぶ風の音とともに紅月と白峰が飛び出した。

もうテストが間近...ヒエッ...

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