落ちた影
お久しぶりです!四日ぶりかしら?
赫弥と燐の大敵の約一分後...
(遮蔽物が多いからな...森は苦手なんだが...)
天闇はそんなことを考えながら森の中を走っていた。
周りではすでにかなりの数の音が起こっている。
爆発音、金属音、打撃音、木々を破壊する音...
だが特に左後方が騒がしい。爆発音や衝撃音に混じって、竜の咆哮にも似た轟音が断続的に天闇の鼓膜を震わせている。おおよそ燐が赫弥と戦っているのだろう。一度そう結論づけると、天闇は興味を示すことなく前を向いた。
あの二人なら放っておいても問題ない。むしろ近づく方が危険だ。
そのまま走りながら、彼は道中の木々へ指先を触れさせていく。
一本。また一本。
進路から少し外れてまで触れるその行動には、確かな意図があった。
途端、
「篝影『噛』」
地面に伸びた木の影が不自然に膨れ上がる。
次の瞬間、その影は獣の顎のような形へと変貌し、天闇の足首へ食らいついた。
「おっと!」
天闇は軽く身をひねり、その牙を紙一重でかわした。
「このスキルは...夜坂君か!」
「...久しぶり...灯夜クン...ハハハ...」
少し離れた木の後ろから一人の男が出てくる。
「元気そうだな!」
「そうでもないよ...今年もあんまり友達出来てないし...」
「あぁ...うん...なんかすまん!」
夜坂真黒。
クラスで話したことのある人数より、読んだ本の冊数の方が多い男である。
「去年は君が話しかけてくれたからよかったけど...」
「そうだったか?」
「そうだよ...」
「覚えてないな!」
「覚えてないのか...」
しばらくの取り留めのない会話の後、ようやく...
「さて、このままじゃ自習中に喋るありきたり不真面目ボーイになってしまうぞ?」
「それもそうだね...じゃ、始めるとしよう...」
先ほどまでの緩い空気が霧散する。
森を揺らしていた風さえ止まったような静寂。互いに一歩も動いていない。
「...」
「...」
「篝影『斬』!」
途端、天闇の周りに落ちている陰という陰から刃のようなものが飛んでくる。
だが彼は、よけるどころか腰を低く構え、腕を交差させる。
「スキル発動『星の暗がり』」
刃が彼の肌に触れようとしたその瞬間、その刃のすべてが周りの木々に落ちた。
「俺のスキルは知ってるだろう?この技は悪手なんじゃないか?」
「いやここまで強くなってるとか思わないし...篝影『打』!」
「絡禅 一式 《潜》」
陰の拳と天闇の打突が交差する。途端陰の拳は地面にたたきつけられ、さらに...
「墜杭」
起き上がろうとした影の腕が、唐突に沈んだ。
地面へ縫い付けられたように、
黒い拳がびくりとも動かない。
「なっ...」
「最初の訓練の日、覚えてるか?」
天闇は語り始め、踏み込む。
「あの時もこうやって二人で戦った。んで君はずっとおんなじ戦法だ。」
夜坂が天闇の拳を間一髪でよける。
「ッ!アブナッ 覚えてる。んでそんときも今も考えてるのことは同じ...
篝影『噛』を天闇の足元に複数個重複して展開する。
天闇はすべての『噛』に触れ、微力な魔力をそれぞれに流す。
「相性最悪ぅ...」
「だよな!共墜!」
今まで触れてきた木々に『噛』の上あごと下あごがそれぞれ落ちあい、バリバリと音を立てながら割ける。そして天闇は夜坂の腕をつかみ、
「我流 絡禅改 絡!」
夜坂の膝が唐突に砕けたように折れ、
次の瞬間、全身が見えない手に押し潰されたように地面へ叩き伏せられた。
「...|《絡》《らく》ってこんな技だったっけ?」
「俺のオリジナルだ!『星の暗がり』で掛けきれない重圧を補ったんだよ。」
「...クククッ、相変わらず強いなぁ...」
「まだやるかい?」
すると夜坂は首を振り、
「ムリムリ、こーさん...」
降参を宣言した。
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どっちでご覧になっても構いませんぜ!
(読むなら...代表作を...まあ、従う必要もないですけど...)




