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怪(壊)の音に気付いた日

試験4日前!まだまだ筆は進む!

勉強ね、やればやるほど諦めがついていくんですよ...

ジリジリと目覚まし時計が頭の上でなっている。右耳元ではスマホのアラームが大音量で流れ、左耳元ではまた別の電子目覚まし時計が鳴っている。


「...秘儀『目覚まし三刀流』...」

何言ってんだろオレ。と寝起きで回らない頭を起動させながらオレは朝の準備を始める。

洗顔、朝食、歯磨き、髭剃り、伸びるのが少し早いのが面倒だ、髪を整え、着替え、出発準備、そして...


「んじゃ、今日も行ってきます!」

玄関から見える親父と母さんの仏壇に声をかける。

.........

五十嵐赫弥、登校

後、遅刻

.........

「はぁぁぁー...」

「今朝の緊急任務きつかったねぇ...」

「さすがに4種の魔物の群れの乱闘に割って入るのは聞いてないって...」

「ずいぶんなご苦労だったようね?にしても右目大丈夫?」

朝のHR終了後、オレ達は次の授業の準備をしていた。

今日も今日とて朝から任務。遅刻しなかっただけましだがさすがに内容がひどすぎる...


「眼帯は念のためって感じ。一応見えてはいる。」

とオレは言及された右目について答える。この後検査はあるが大した問題はないだろう。


「ならよかったわ。」

「それより次の授業なんだったか?魔法史?」

「えぇと確か...」


()()()()()()()魔法史の授業ですよ。」

後ろから聞きなれた声がかかる。


「あ、つむぎ...」

「赫弥さん!何ですかその右目!ほんとに大丈夫なんですよね!?」

猫耳を生やした少女がぐいぐい顔を近づけて、傷がないか確かめてくる。


彼女の名前は白峰つむぎ。

明るい茶色の長い髪に、ぴょこんと跳ねる猫耳。淡い緑色の瞳が不安そうに揺れていて、その視線はずっとオレから離れない。見た目は整ってるのに、仕草はやけに無邪気で純粋だ。


「問題ないって言ってるだろ?そんな顔すんなって。」

「本当なんですよねぇー?」


いつも距離近いから困るなー。いやではないけども、とか考えていると

「こーら。白峰さーん。男どもにこんな近づき方するもんじゃなーいーの。」

と紅月が白峰をオレから引っぺがす。


「とか言いながらめっちゃ頭撫でまくる君もどうなんだよ()()。」

「そーだそーだー」

そう。紅月、口ではあんなこと言ってる割には、正直白峰との距離の取り方がおかしいのだ。ペットの猫へのそれと言うか...


「はいはい、うるさいのー」

と言って紅月が舌を出してこちらを馬鹿にしてくる。負けじとこちらも冷めた目で睨み返す。


「?」

当の本人は、いまいち分かってなさそう。


「...君らも飽きないよねぇ...」

後方では、セセラギが肩をすくめていた。

.........

......

地下資料室。いわば一種の巨大な図書館のようなものだ。Skillsphere教員もしくは隊員は使用目的を申請すれば、この空間の「仮支配権」が与えられる。今みたいに、本棚を壁代わりにして教室を作ることもできる。

と、そろそろ授業が始まるようだ。

「では始めるぞ。まず確認しておくが、今から約〇十年前『大厄災』と呼称される現象が発生した。この出来事を境に、我々の世界はそれ以前とは...」


始まったはいいが正直退屈だ。正直勉強は苦手だが、魔法史は得意分野だ。この資料室の本も、だいたい読み尽くしてる。だが、それ故に授業の内容も大抵わかりきったことばかり。先生が次何を言うかも...

「「魔力と、それを基盤とするスキル。これらはすべて、同一事象に起因していると考えられているが、未だその根源的因果関係は解明されていない。」」

ほらこの通り。


今はこんな授業のことより、昨日のダンジョンでの出来事のほうが重要だ。

昨日オレが戦ったダンジョンボスの「世界樹」。正式名称「侵蝕樹(ヴァル=グラム)」。「大厄災」発生後初めて現れた世界樹だった。発見当初から今に至るまで言語をしゃべった、そんな情報、一度も見たことも聞いたこともない。


「発生初期において、人類は極めて劣勢だった。既存の火器、兵器体系は魔物に対して決定打を持たず、各国の防衛線は次々と...」


魔物たちが進化を始めている?いや奴らはダンジョンの濃い魔力の中から()()しているだけ。よっぽど世界全体の魔力の質が変わらない限りこんなことないはず。


「ある一部の人間がダンジョン内から悪魔を連れ出し、それらの召喚陣を完成させ、その地域一帯を血の海に変えるという事件も発生。今は召喚陣の書き出しですらも違法だ。一応テストにはだすからな?また...」

とそこでチャイムが鳴る。「この続きは明後日だ。皆予習しておくように。」という先生の声掛けの後号令をし、オレ達は資料室を出た。


直後

「ずいぶん考え事してたみたいですけど...大丈夫ですか?」

とつむぎがこちらの顔を心配そうにのぞき込んでくる。傷の件もあるのだろう。どうにも今日の彼女は心配性だ。


「ダイジョブダイジョブ!大した話じゃないよ。」

「なら...まあ、いいですけど...」


オレは校長に用があるため一度クラスメイトから離れ校長室に向かう。

(言語をしゃべった、そんな情報、一度も見たことも聞いたこともない。)

(濃い魔力の中から()()しているだけ。)


「...進化、ねぇ...」

もし本当に魔物たち(奴ら)が進化を始めたのなら、この話かなりゲキヤバな案件かもしれないな...

考えを巡らしているうちに校長室の巨大な扉の目の前まで来た。


一瞬だけ息を整える。


「失礼します!」

......

...

この瞬間オレは直感していたのだろう。これから今でさえ「異常」な日常が、更に崩れていくことを。

つ「ようやく私の出番ですか...ヒロインなのに...」

黒「...遅くってごめんにぇ......」

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