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40. 新春の散歩道は寂しくて恋しくて

とりあえず、俺と透子のアイデアとしては、水族館とその周辺の散策、カラオケ、プリクラ撮影ということになった。1日だけだし次の日は月曜だから、あまり多くの予定を詰め込めないだろうけど。


また部屋の中で二人きりだと、俺の理性が持たないかもしれないので、二人で外へ散歩に行くことにした。漣と詩音の意見は、また夜にでもグループメッセで確認するとしよう。


いつもランニングしている河沿いの遊歩道を、手を繋いで並んで歩いた。最近は早朝に走る習慣がついてたから、昼間に歩くのは久し振りな気がする。なんだか景色も違って見える。


「寒くないか?」


「大丈夫。ここ、見晴らしがいいね。」


「俺のランニングコースなんだ。誰かと来るのは初めてだ。」


「えへへ。私が初めてなんだ〜。」


こんな些細なことでも喜んでくれる。俺は何でこんな可愛い女の子を5年も見過ごしていたんだろうな。我ながら阿呆過ぎる。


そのまま歩いていると、犬を連れて散歩している老夫婦に会った。


「こんにちは。」


「おお、こんにちは。久し振りだねえ。」


「はい、最近は早朝にランニングしてまして。」


「そうかそうか、最近見かけなかったから、どうしてるかと思ってたんだよ。なあ、母さん。」


「ええ、そちらは彼女さん?綺麗なお嬢さんだねえ。」


「まあ、そんなとこです。」


「りょーちゃんも隅に置けないねえ。ほら、飴どうぞ。」


「あ、ありがとうございます···」


「ふぁっふぁっ。ところで先生は元気にしておられるかな?」


「はい、昨日も稽古でしごかれました。」


「そうかそうか。あんなことがあったのに、気丈なお方だよ。そろそろ、また墓参りの季節じゃなあ。りょーちゃんもぜひ墓に手向けてやりなされ。彼女さんができたと報告したら、きっと喜ばれるだろうよ。」


「そうですね···」






「ねえ、さっきの話って?」


「ん?ああ、師範の奥さんの命日が近いんだ。俺も小さい頃によくお世話になったから、毎年墓参りしてるんだ。」


「そっか···涼太にとっても大切な人なんだね。」


「うん、まあな。俺は実の祖父母がもういなくて、師範夫婦がその代わりみたいな存在だったんだ。亡くなった時は心にぽっかり穴が空いたような気がしたなあ。」


「···ねえ、お墓参り行くときは、私も誘ってね。」


「うん、ありがとう。一緒に行こう。」


俺達は適当なところで来た道を引き返した。

日が沈んで寒くなる前に透子を送り返したかったが、ずっとこうして一緒に歩いていたいのが本心だった。


夕日がさして景色が紅く染まると、妙な寂寥感に心が苦しくなった。俺が歩を止めると、透子が振り返えった。


俺はその紅く染まった美しい顔に、吸い込まれるようにまた顔を近づけ、無言で唇を重ねた。まるでそこに救いを求めるように。






(涼太が入室しました)

(透子が入室しました)

(漣が入室しました)

(詩音が入室しました)


涼太「おっす、昨日ぶり。漣はよく眠れたか?」


漣「涼太と詩音のおかげでね。さすがに今日は筋肉痛だよ。」


詩音「まだまだ、伸び代があるってことね。」


透子「そんなにハードな稽古だったんだね。」


漣「僕にはね。体力には自信がある方だけど、やっぱり、剣道に必要な筋肉ってあるんだろうね。」


涼太「大丈夫か?ピアノの演奏に影響出たりしないか?」


漣「今日一日ゆっくり休んだから、大丈夫だよ。」


詩音「来週はもっとハードになる予定。」


透子「詩音ちゃん、容赦ない···」


漣「いや、望むところだよ。早く二人に追いつきたいからね。」


涼太「まあでも、無理はするなよ。一朝一夕で身につくものじゃないしな。詩音もほどほどにな。」


詩音「分かってる。」


透子「やっぱり、来週の稽古、見学に行こうかなあ。どんな事してるのか気になるし。私だけ仲間外れなのも嫌だし。」


涼太「来るのはいいんだが、帰りがなあ。途中で家に送ることはできないし、最後まで残ると遅くなるからなあ。」


漣「そうだよねえ。僕は車で迎えに来てもらえるけど、三木谷はあてはあるのかい?」


透子「じゃあ、涼太の家に泊めてもらおうかな?」


詩音「!!!」


涼太「いや、さすがにそれは、ウチの親も許してくれないと思うぞ···」


透子「えへ、やっぱり?」


涼太「分かってて言ったな。」


漣「アハハ、じゃあ、僕なら大丈夫かな?」


詩音「!!!」


透子「!!!」


涼太「安心しろ。漣のジョークだ。」


透子「だから、シャレにならないから···」


詩音「来週の稽古、5割増ね。」


漣「ごめん···」


涼太「そうだ、詩音の家に泊めてもらうってのはどうだ?」


詩音「え!?」


透子「なにそれ、楽しそう!」


漣「なるほど、それなら問題なさそうだね。」


涼太「どうだ、詩音?頼めそうか?」


詩音「えっと、両親に聞いてみないとだけど···ちょっと、待って」



詩音「別にいいって。でも、本気なの?」


透子「うん、次の日に皆でお出かけでしょ?詩音ちゃんのメイクを朝から手伝えるかなあって。」


詩音「!!!」


涼太「なるほどなあ。」


漣「え、詩音がメイクするのかい?」


詩音「何か文句ある?」


漣「文句どころか、凄く楽しみだよ!」


涼太「じゃあ、透子についてはそれで決まりということで。すまんが頼むな、詩音。」


透子「うふふ〜メイク道具いっぱい持って行っちゃお!」


涼太「それで、どこに行くかなんだけど、俺と透子の案としては、水族館とその周辺散策、カラオケ、プリクラ撮影とかどうかと思うんだが。」


漣「どれも行ったことないとこばかりだよ。僕としては一つだけお願いしたいところがあるんだけど···」


涼太「おう、まだアイデアだけだから、一つと言わずどんどん言ってくれ。」


漣「それが意外と思い浮かばなくてね。唯一思いついたのが、剣道の道具を売っているお店なんだけど。」


詩音「武道具店?」


透子「そんなお店があるのね。」


漣「前に涼太に二本目の竹刀を用意するように言われてたから、いいお店を紹介してほしかったんだ。途中で寄れるところはあるかな?」


涼太「それなら、水族館の最寄り駅の近くにあったな。」


詩音「村田武道具店ね。あそこは昔からあるけど、品揃えもいい。」


漣「三木谷には付き合わてしまう形になるけど、いいかな?」


透子「うん、私もどんなとこか興味ある!」


涼太「詩音はどこか行きたいとこないのか?」


詩音「特にないけど、カラオケはできれば却下。」


涼太「漣の歌声を聴けるかもよ?」


詩音「ぐぬぬ···」


透子「漣はカラオケ大丈夫なの?」


漣「歌うのはいいけど、流行りの歌は知らないよ?」


涼太「あ、じゃあ、例のアニメの歌とかどうだ?」


詩音「アニメソング??」


漣「ああ、例のアレか。それなら大丈夫だよ!」


透子「と、漣は言ってるけど、詩音ちゃんはどう?別に無理して歌わなくても、その場にいるだけでも楽しいと思うよ?休憩にもなるし。」


詩音「分かった···」


涼太「まあ、時間が足りなかったらカラオケは無しでもいいし。プリクラは透子の希望だから、これだけは入れさせてくれ。」


透子「ごめんね。皆で撮りたいんだ。」


詩音「それくらいなら。」


漣「うん、僕もみんなと写真撮りたい。」


透子「ありがとう!」


涼太「じゃあ、来週の予定はそんなとこで。時間や待ち合わせ場所はまた後で連絡するよ。」


透子「お出かけもお泊りも楽しみ〜!」


漣「今週一週間は楽しみで頑張れそうだよ。」


透子「ふう、来週の稽古はほどほどにしとかないとね。」




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