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28. 冬の帰路もドキドキは止まらない

お互い好きと告白したからと言って、じゃあ何をどうするのか、まだ中学生に過ぎない俺達に分かるはずもなく。


三木谷が落ち着くのを待ってから、俺達は再び手を繋いで歩き出した。来た時より沈黙が長いのは、言いたいことを言ったら他に何を言えばいいのか分からないからかもしれない。


まあでも、透子の顔が嬉しそうなのは俺も嬉しいから、自分の気持ちにウソはないのだと分かって安心する。言い切ったものの、ちょっと不安はあったのだ。


今まで女子に淡い好意を抱いたことはあったけど、ちゃんと恋だと意識したことなかったもんな。ちなみに、三木谷にも初めて会った頃にちょっと好意を抱いていた。善意として捉えられているが、虐めから助けたのも気に入られたかったという思惑はあった。まさか、功を奏してたとは知らなかったけど。


あの頃の気持ちを思い出すと、三木谷がとても魅力的に見えてきたから不思議だ。美人なのは分かっていたことだけど、俺のカノジョと言えるようになるなんて思ってもみなかったし、ましてや俺のことずっと想っていてくれたなんて···


「どうしたの?」


やべえ、今更ながらドキドキしてきた···

なんか、めっちゃ可愛く見える。


「あ〜、何て言うか···俺のカノジョめっちゃ可愛いなって」


思ったこと、そのまま口に出してしまった。

脇腹に肘が刺さった。

手加減はされてるが、不意打ちは痛い···


しかし、カレカノの仲になったからと言って、何をどうすればいいんだろうなあ。一緒に遊ぶにも、お金はお小遣いしかないし、それも花束やらマフラーのお返しやらで、結構使ってしまったし。あと、周りにはどう説明したもんかな。


などと考えていたら、三木谷の家に着いてしまった。

さっきから一言も喋ってないな···


「着いたな」


「うん、そだね···」


気まずい沈黙

繋いだ手を離すのがなんだか惜しくて、先に離すのをお互いに譲り合っている気がする。


「じゃあ、俺帰るし」


手にギュッと力を込めて握られる。

どうしたら、いいんだ。

誰か教えてくれ、頼む。


「面倒くさいなって思ってない···?」


「思ってないけど、困ってる。」


「何に困ってるの?」


「こういう場合、どうすればお互いに寂しく感じることなく、俺は帰れるのかなって。」


「寂しい?ここで分かれるの」


「それは、そうだよ。」


「よかった···同じで」


三木谷はパッと手を離した。


「ありがとう、涼太。またね。」


「うん、またな。」


三木谷が家に入るのを見届けて、俺は家路についた。

今日の思いがけない展開に、ちょっとウキウキしつつ。




家の中に入った透子は家族の呼びかけにも応じず、部屋に入り鍵をかけた。母親は、最近もこんな事あったなと既視感を感じた。透子は服も着替えずベッドに身を投げ出し、クッションを抱き抱えて一人悶えた。


嬉しい

だけど、感情の整理ができない

誰かに言うべき?

いや、恥ずかしくて死ぬ、間違いなく

どうしたらいい?こうなることをずっと望んでたのに

分からない、分からないけど

とにかく、嬉しい

やっぱり、ダメ···

今日はもう何もできない··

でも、これだけはやっておこう


透子はスマホを取り出して、涼太にメッセを送った。


『大好き』


送信してから、再び悶絶した。





ブブッ


涼太のスマホに通知が来た。

三木谷からのメッセだ。

ぶはっ!

えーっと、透子さん?俺を殺す気ですか···

何か返さないとマズイよなあ。既読ついちゃってるし。

そうか、カレカノになると、こういうやり取りも発生するんだな。

面倒だと思わずに、マメに相手しないとな。


『俺もだ。ありがとな。』


これでいいんだろうか?

送信したら、秒でまた何か送ってきそうな気がする。

悪い気はしないが、あまり頻繁にスマホ弄ってたら周りからおかしな目で見られそうだしな。


『おやすみ、また明日な。』


これなら、三木谷も分かってくれるかな?

送信、ポチ


ブブッ


『うん、おやすみ』


セーーーフ!

色々、心臓に悪い。

明日からどうなるんだろ、俺

恋愛偏差値が高いヤツに相談できればいいが

いないよなあ···そんなやつ


漣はモテモテだと思うが、俺以上に恋愛には鈍感な気がする。学校の級友に言えばからかわれるか、針の筵に座らされるかのどちらかだ。相手が三木谷だしなあ···

詩音は···うん、無理だ。


はあ〜、もう考えるだけ無駄だ。

なるようになるしかない。

三木谷は悪いヤツじゃない。

2人で話し合いながら、2人で決めていけばいいか。


俺の頭の中が剣道以外のことでいっぱいになったのは、いつ以来だろうなあ···

とりあえず、帰ったら竹刀を振ろう。

身体を動かさないと、また色々考えてしまいそうだ。




仕事帰りの路上で、よく塾帰りの学生さんを見かけますが、時々手を握って歩いてるカップルがいます。

無言ですれ違ってますが、心の中で応援してます。

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