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27. 冬の告白は茜色の空の下で

詩音と三木谷の距離は随分縮まったようだが、友達と言うより姉と妹のようだ。まあ、その方がお互い接しやすいのなら、無理に友達として肩を並べる必要もないだろう。後で漣にも、そう報告しておこう。


っていうか、ここに俺がいる意味はあるのだろうか?

女子二人のガールズトークの終わりが見えない。


「このリストアップしたメイク道具を揃えれば、基本は押さえられると思うよ。値段もそう高くないものばかりだし。」


「はい、ありがとうございます。怪我が完治したら早速ショップに行きます。」


お、やっと、終わりそうだな。


「じゃあ、記念に写メ撮ろう!涼太も入って入って!」


「いや、俺が撮るよ。ほら、二人並んで。ポーズ。」


カシャ


おお、我ながらいい感じに撮れた。

つか、被写体がいいんだな。


「さあ、三木谷、そろそろ帰ろうぜ。すまんな、詩音。すっかり長居して。」


「うん、詩音ちゃん、またねー。今度はお茶しに行こうねー。」


「はい、また色々教えてください。」



外に出ると、空は夕暮れの茜色に染まっていた。

俺は三木谷を自宅まで送る。また手を繋いで。


来た時とは違って、三木谷の機嫌が良い···と思ったのだが、俺と二人切りになると、また何となく緊張しているような。

俺は途中の公園に三木谷を誘って、周りに誰もいないのを確認してから言った。


「今日はありがとうな。」


「え、何が?」


「いや、お見舞いに付き合ってくれて。詩音も喜んでたし、俺1人じゃすぐに追い返されてたよ。」


「私の方こそだよ。たくさんお喋りできて、楽しかったし。」


「なあ、やっぱり気になるから、聞いてもいいか?どうして、この前から落ち込んでたんだ?」


「···言わないとダメ?」


「ダメじゃないけど、言ってくれないと俺がスッキリしない。」


「そうだよね···ごめんね。情けないけど、嫉妬したんだと思う。」


「嫉妬?誰に?」


「···漣に」


「アイツの何に嫉妬するんだ?まあ、才能ありまくりのイケメンだから、嫉妬する要素には事欠かないけど。」


「漣と涼太が仲いいのに嫉妬してた···」


「あのなあ···前に詩音にも言われたけど、俺と漣はそんな腐女子が喜ぶような仲じゃないぞ。」


「うん、分かってる···男同士だからとか関係なくて、二人の間に入ったらいけないような気がして···」


「そうか、じゃあ。」


俺は三木谷の手を離し、頭を下げた。


「ごめん、透子を不安にさせて。」


「涼太···そんな、涼太が悪いんじゃない。私が勝手に···」


「そうだとしても、俺の態度が透子を不安にさせたんなら、やっぱり俺が悪い。もっと、気を使うべきだった。すまん。」


「違うよ···私が自分の気持ちをハッキリ言わないから···ちゃんと素直になれないから···」


「透子の気持ち?」


「うん···あーどうしよ、言わないとダメなの?絶対?」


「そうだな、もし黙っていても透子の機嫌が直るなら言わなくていい。そうじゃないなら、話してほしい。俺にできることなら、ちゃんと話聞くからさ。」


「そういうとこだよ···ずるいよ···私一人バカみたいでホント嫌になる」


「透子はバカじゃない。不器用なのは知ってるけどな。」


「むう〜、笑わないでよ!笑ったら怒るから!」


「ちゃんと聞くって。」


透子は俺から目を逸らしながら、ゴニョゴニョと呟くように言った。


「好きなの···涼太のこと···」


一瞬、固まる俺。


「ごめん、もう一回言ってもらってもいいか?」


「ああ、もう!好きだって言ったの!涼太のこと、ずっと前から好きだったの!もーやだ、恥ずかしすぎる!」


三木谷はしゃがみこんで顔を隠してしまった。

俺のことを好き?三木谷が?


そこで俺は三木谷の今までの俺に対する態度の記憶を、走馬灯が流れるがごとく思い出した。


今まで姉みたいな態度で俺に接し続けてきた三木谷

音楽祭の日に、妙にはしゃいでいた三木谷

手を繋ぐことを求めたり、腕に抱きついてきたりした三木谷


俺のことが好き、という言葉でやっと全部理解できた。

俺もその場にしゃがみこんで頭を抱えてしまった。


「涼太···?」


「ああ〜···すまんな、透子。バカなのは俺の方だった。」


「どういうこと···?」


「いや、言われてやっと気付いた···お前はずっと俺のことを···すまん、本当に。」


「私の方こそ···なんか、ごめん。」


「俺達って不器用だよなあ。そっか、ありがとうな。」


俺は透子の手を取って立たせた。


「俺は剣道くらいしか取り柄のない男だぞ?そんな男でいいのか?」


「う···もう、何度も言わせないでよ。小学校の時に助けてくれたでしょ。あの時からずっとなんだから、仕方ないじゃない。」


「そっか、じゃあ、俺も透子のこと好きだって認める。」


「え?な、なによ、認めるって」


「分からなかったんだよ、今の今まで、自分の気持ちが。でも、透子が俺のこと好きだって言ってくれて本当に嬉しかったから、俺も透子のことが好きなんだって、今になって分かったんだよ。」


「···ホントに?ウソじゃない?合わせてくれてるだけじゃないの?」


「ウソじゃない。俺は透子のことが好きだ。」


三木谷の目から、また大粒の涙が流れ始めた。

俺はまた三木谷がどこかへ走り去らないように、しっかり抱きしめた。


人目のない場所で本当によかった、としみじみ思いながら。


こんな青春をしたかった···という願望で書きました。

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