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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
3章 私ストーカーだけどもう普通に暗殺とか依頼されちゃいます
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ストーカーとトドメ

あらすじ:攫われていたのは、なんと正統派女の子パーティ!?




「なっ、貴様!?」


 リサ、リュカ、マウラ、ユリエル。

 彼女たちが囚われていた穴倉から出て初めに見た光景は地面に転がる芋虫二匹(人攫い)だった。その姿に見覚えのある四名は驚きの表情を見せて、特にリュカは全身の鎧を鳴らして警戒を強める。剣の鞘に手を添えいつでも抜けるよう戦闘準備。リュカの声を聞いたほか三名も武器を抜き目の前の芋虫を警戒する。


「私たちを売ろうとした人攫いか? 縛り上げられてますがこれはユリーグルさんが?」


 平然と地面に転がされた人攫いを見ているユリーグル。

 その態度を見れば、目の前の芋虫姿にして転がしたのが彼女であることは明白である。


「ええ、そうよ。彼らにこの場所を案内してもらったの。それで貴女たちはコレをどうしたい?」


「え?」


 私は転がる人攫いの近くまで歩み、"コレ"が何を指すのかを明確にする。勿論この犯罪者の事であるが、それでもリュカは私の問いかけに疑問を浮かべているようだ。他の三人も何を言っているの? と口に出しそうな顔をしている。おそらく私の少し質問の仕方が悪かったのだろう。確かに突然言われても確かにハテナだよね、もう一度告げよう。


「貴女たちはこの人攫いを煮るなり焼くなり好きにしてもいい、その権利を私は貴女たちに与えるわ。だから気の済むまでどうぞ♪」


「おい、話が違うぞ! お前の質問に答えたら命は助けるって話だったろう!」


 私が犯罪者にやり返す機会を彼女たちに与えようとしたら、下で私の話に突っかかる様に小蝿が騒いでいる。何をそんな当たり前な事を……。


「五月蝿いぞ。お前は人攫いのくせに本気であの約束を守ってくれると思っていたの? 頭の中がお花畑とはこの事かしら」


「くそったれ! この悪魔め、フゴッ!?」


 口の減らない羽虫は踏み潰すに限る。顔面を踏みつけると汚らしい血を噴出した。


「お前に言われる筋合いは無い。他人を陥れるしか能の無いクズには、相応の罰を受ける必要があるの、そしてそれは当事者たちによって与えられるのがベストだわ。復讐という言葉は少し後ろ向きに感じるけど、やられた事はやり返されるのは当たり前だと思わない?」


 地べたを這いずる芋虫に私は説教と足蹴を数回食らわせる。顔中から血を流し止めてくれと言いたそうな様子は余計に頭にくる。レルとカルの受けた痛みはこんなもんじゃないのに。


「ユ、ユリーグルさん、その辺で止めてあげてください!」


「そうだぞ! 私たちはもう大丈夫だから。そいつは憲兵に突き出せばいいんだから」


 何度も何度も蹴りを繰り出す私を見かねたのか、私を止めようとリサとリュカに二人掛かりで腕や身体を掴みずるずると引き離された。他の二人は私の突然の急変に唖然としているようだった。十分に人攫いから引き離された私は、少し荒れた呼吸を落ち着かせるように数回深呼吸。すーはーすーはー。私を拘束している二人に落ち着いたことを伝える。腕を離してもらい、彼女たちに引き続き告げた。


「ふぅ、ちょこっと取り乱したわごめんなさい。でもまぁこういう感じでこの人攫いどもに対するあれやこれやをぶつけると良いと思うよ」


「ああ、いえ、私たちは助かったのであの男に対しては……、街まで連れ帰って後は憲兵に任せましょう」


「あら、そう?」


 リサの言葉は、先ほどのリュカのものと同じく憲兵に突き出してどうのこうのと。後ろで唖然としていたマウラとユリエルちゃんも我に返ってその言葉に頷いて同意しているようだ。

 悪人には罰を。ただし与えるのは自分たちではなく憲兵や国の法律であると、そう言いたいのだろう。それはそれで正しいよね、ハンターのパーティにしては稀に見るお利口さん達だ。



「そんなんじゃあ甘い……」


 でもダメ。


 こいつを許さないと思っている人たちは、貴女たちが想像しているよりも遥かに多い。この世界にこんな紙くずよりも価値の無い犯罪者が生きているだけで、その恐怖に苦しむ人たちが居る事を考えて心を痛めたことが無いのだろうか。それを少しでも減らせるのならこいつを殺すのに何の躊躇いも無い。


「貴女たちが何もしないというのであれば仕方ないわね。後でやり返すチャンスを取られたなんて言っても遅いわよ?」


「待て、ユリーグル殿!?」

「ユリーグルさん待ってください、何をするつもりですか!」


 不穏な言葉と共に再び人攫いの下へ歩み寄るユリーグル。今の彼女の言葉を聞いて、この後目の前に転がる人攫いに暴力が襲い掛かるだろうことは想像に難くない。急いでユリーグルの腕を掴み止める。



「なっ!?」

「えっ!」



 しかし掴み止めたと思われた彼女らの手は空を掴み、ユリーグルを捕らえ損ねた。確かに掴んだと思われたユリーグルはいつの間にか数歩前、人攫いの近くに居り、腕を高らかと天に掲げ手には短剣を握っていた。すぐにでも足元に転がる人攫いへ振り下ろさんとしている。


「ユリーグルさんダメです!」


 急いで駆け寄ろうとするリサ。

 出会ったのは僅か十数分前なのだが、それでも私たちを助け、優しく接してくれた彼女に人を殺すなんてことはさせたくない。どうかその振り下ろした手を止めて欲しい。


 そんな感情が湧き上がるリサだったが、思い虚しくユリーグルからの答えは、近付くリサに降り掛かる大量の血飛沫であった。


「あ、そ、そんなっ……」


 私の私刑を止めようとしたリサは血を浴びる。そしてショックだったのか立ったまま固まって動かない。まだ人を殺す殺されるの光景にまだ慣れていないのかな? まぁいいか、邪魔されないうちにもう一人。


「えいっ」


 ――っ!?


 人攫いの弟さんのほうも喉を掻っ切り処理完了。弟さんの方は重傷で気絶していたので、反応はほとんどなかった。痛みなく安らかに死ぬってのはちょっと人攫いにしては贅沢だよねぇ……。だけど今回は仕方ない。とりあえずこの死体はこのままにしておいて帰ったらギルドに報告すれば良いかな。



「さて後一人……人攫いの女は捕まえられたかな」


 シンシアには人攫いに居た筈のもう一人の女性メンバー、確かイヅチとか呼んでいたけど。その人を追ってもらっている。実は最初に私が人攫い四人と相対したときには、何を感じ取ったのか、イヅチって女はすぐに逃走を選択していた。その追跡をシンシアが任せてくれと言って引き下がらず、危ないけどしぶしぶ了承した。あの子ただの侍女だけど大丈夫かなぁ。




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