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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
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侍女たちの舞闘

あらすじ:今から目撃者全員ブッコロします。






 殺しの覚悟を決めた彼女たち。

 廊下を進んでいくと、スペリアが廊下の奥に気配を感じたらしく報告する。


「侍女長、この曲がり角の先。

 廊下に三名ほどの気配がします!」


「私が捕まえた見張りは七名くらいだったから、まだ部屋にいるのかもね!」


 どこか嬉しそうなアイが見張りの人数を答える。


 逃げられているのに何が嬉しいのか……。まぁいいでしょう。

 廊下の三名は私がやるとして、部屋の中の見張りはアイとスペリアに任せましょう。


「そうですか。ではスペリア、アイ!

 私は廊下に出ている見張りたちを相手にします!

 貴女たちはその間に部屋の中に突撃して一気に一掃!」


「はい!」

「わかった!」



 シンシアがチラリと、曲がり角を覗くと、最初に見えたのは開いた扉の前で警戒している四名の兵士。

 一人はこちらの方向を向いており、兜の面を上げて顔を晒している。髭面の男だ。

 その男に狙いを定めたシンシアは、廊下の角から飛び出すとナイフを一つ投擲する。

 そのナイフは狙った男の顔面に直撃、それを見た他三人の兵士がこちらを向き声を荒げた。


「侵入者だ!

 侍女の姿をしている、きっとあの子供の仲間だ!」


 兵士の一人がそう言って剣を抜き構える。


 あの子供(・・・・)というのはアイのことでしょう。

 彼らは全員一度アイに捕まっていますしね……。


「チッ、他の方はフルフェイスですか……」


 シンシアはその兵士たちが全身鎧に身を纏った、ナイフの刺し所が無い面倒な装備だ。と舌打ちする。

 後ろの二名の兵士も同様であった。


 先ほどの男のように顔を晒してくれればいくらか楽なのですが……。

 面倒ですね……。とりあえず兜が邪魔ですし溶かしてみますか。


「『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』」


 そう思いシンシアの手の平から放たれた拳サイズの火球は、先頭で剣を構えている兵士の顔面に向かって一直線に飛ぶ。



 ――ベチャッ!



 先頭の兵士は咄嗟に剣でガード、火球はその剣にベッタリとへばり付いた。


「おっと!? ってなんじゃこら!」


 ゆっくりと滑り落ちる粘り気のある火球が剣の表面を焦がす。

 気味が悪そうに剣を振り回して落とそうとするが、中々離れるものではない。


 状況の判断が悪いですね。

 剣に何かがへばり付いただけで何を慌てているのか……。

 せめて、仲間の後ろに下がればいいものの。

 周りの方たちも、身を挺して守ることもせず棒立ちだなんて数の利を生かせていませんね。

 全身鎧装備でも、所詮は見張りレベルですか……。


「『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』」


 敵のレベルが知れて興味を失ったシンシアはもう一度魔法を放つ。

 その火球は無様に剣を振り回す兵士の兜に見事火球が付着した。


「うお!? あちぃ! あちぃー!?」


 正面から火球を受けた兵士は仰け反って、倒れてそのまま地面を転がるが、どう暴れても兜にへばり付いた火球は取れることは無い。

 高温で焼かれた塊はうっすらと煙を放ち、兜の中に侵入する。

 兵士はその熱に耐えられず、兜を脱ぎ顔を晒した。


「てめぇ! 妙な魔法使いやがって!

 おい! 反撃する――ッガ!?」


「簡単に脱いでくれましたね。

 これでナイフが刺さってくれます」


 鎧を脱いで床に転がる兵士の顔をナイフで射抜き、他二名の兵士に目をやる。

 少し怯んでいるのか後退りしている。

 そんなに立派な鎧をしていて逃げるのですか?


「逃がしませんよ?」


「あ……、だ、誰が逃げるだぁぁぁああ!?」


 シンシアの言葉でやっと現状を理解したのか、兵士たちは激高してすぐに剣を振り上げこちらに向かって襲い掛かる。

 そんな中、シンシアは背後の二人に声を掛けた。


「スペリア、アイ。残りの見張りは、そこの扉が開いている部屋ですね?

 早く行きなさい!」


「はい!」

「おっけー!」


 スペリアとアイは兵士たちが襲い掛かる前に、他の見張りがいるであろう部屋へ飛び込む!




*************




 部屋に入ると、まず目に入ったのは、まだ縛られている見張りを助けている二名。

 そしてようやく縄が解けたらしく、立ち上がろうとしている二名。

 計四名の兵士がいた。


「隙だらけです。


 ――おらぁ!」



 アイは部屋に入るなり、いつの間にか装着していた赤色のナックルで、兵士の後頭部を兜越しにぶん殴る。


「アぎゃ!?」


 殴られた兵士はそのまま床に顔面を打ち付けてそのまま動かない。

 どうやら気絶ないし、死亡したと思われる。


「ひっ!? お前はさっきの暴力侍女!?

 まだ居たのか!」


 兵士たちが動揺しているところを見ると、やはりアイが捕らえていたのだと分かる。


「ふふ、覚えていたんだね!

 閉じ込めておいたのに、逃げるなんて悪い子にはもう一度同じ目に会わせてあげるんだから!

 スペリアちゃん! 一人はお願いね!」


 そう言って右腕を振りかぶりながら突進。

 慌てふためく兵士の顔面を打ち抜く!


 うわ……。

 フルフェイス越しから殴って、殴られた痕が。

 それに床に顔が埋ってるし、凄い力……。

 って、見とれてる場合じゃない! 私もやらなければ!


「許さねぇからな! 侵入者め!」


 スペリアが相対する兵士の一人を見ると、やはり全身が鎧であり、何処にも攻撃を受けてくれそうな箇所は無い。

 すでに剣を抜いて臨戦態勢だし、接近されたら困る。

 仕方ないが、私の得意な水魔法でどうにかしよう……。

 引っかかってくれるといいんだけど……。


「『静かな胎内に溺れて(バブル・ラップ)』!」


 スペリアがそう唱えると、体を包み込めるほどの大きな水の球が出現。

 強力な魔法かと体を強張らせる兵士だったが、予想に反してゆっくりとした速度で兵士のほうへやってきた。

 思わぬ遅さに拍子抜けした兵士は目の前の水球に向かって剣を振る。


「ああ? なんだこりゃあ? こんなので俺を倒せると思うなよ!」


 兵士は簡単に両断。辺りに飛び散る水でずぶ濡れになったが、それだけである。


「しねぇ! 『力任せの魔術斬撃(パワー・スラッシュ)』!」


 兵士の剣が淡い青を纏いスペリアに襲い掛かる。


「馬鹿だ……。普通、得体の知れない魔法は避けるべき」


 スペリアはそれだけ言うとヒョイと剣を避けて、距離をとる。

 斬撃が空振りに終わり、床に剣が刺さると小さな凹地ができ、周りに破片が飛び散った。

 その一部がスペリアの頬を薄く裂いた。


「くっ!」


「はん! あのでかいだけの水の球なんて斬っても何も無かったじゃねぇか!

 ハッタリかましやがって! てめぇは他の奴らと違って弱いな!

 てめぇなら倒せそうだぜ!」


「ああ、確かに他の二人に比べたらダメ。

 あれはたぶん人間じゃない、私には不可能。貴方を倒すので精一杯……」


「ぬかせ! お前は俺を倒せねぇんだよ!」


 そう言って兵士は再び斬り掛かろうとした。


 もう遅いとも知らず……。


「んあっ!? なんだこの水は!」


 兵士の足元、徐々に周囲から水が纏わりつき、膝にまで到達していた。

 スペリアに斬り掛かろうとした兵士は、その水に足をとられて転倒。体を水に預けてしまう。


「いや、普通気付くでしょ。どんだけ鈍いの?」


 さっきから足元を侵食していたのに気付かない兵士に呆れる。


「それから逃れるのは簡単だけど……。

 水に浮いたら終わり。残念だけど、もう溺れるしかない」


 『静かな胎内に溺れて(バブル・ラップ)』は触れた相手を包み込む性質を持つ水の球。

 避けてしまえば終わりだが、当たったら大変という感じだ。

 水の中では息も出来ないし、鎧なら余計身動きが取れない。

 もうすでに目の前には大きな水の球体が形成されており、兵士さんは地に足も着かない。

 少しすれば水に包まれて中で苦しむ事だろう。


 球体の状態にまでなってしまえば中でどう暴れても意味が無い。

 中から何か強力な魔法を放つか、もしくは外から誰かが助けたら出られるけど……。


 そう思いまわりを見渡すけど、もうすでに立っている兵士は居ない。

 アイさんの周りには、床や壁に顔面を打ち付けてビクともしていない兵士が三名。


 やっぱり凄い……。

 まだ小さいのに、何処からあんなパワーが……。

 それは魔法だよね? 魔法なんだよね!?



「スペリアちゃん、終わったね!」


「あ、は、はい」


「それじゃあ戻ろうか!」


 そう言って二人は部屋の外を出る。

 一応、部屋の中の兵士たちは完全に死んでなければいけないので首筋を裂いておいた。




「二人ともお疲れ様です」


 部屋から出ると、私たちを待っていたのだろう侍女長は……。


 怪しげに笑みを浮かべて謎のフラスコを持って立っていた……。

 さっき止めて欲しいといったのに、きっと自分の作った薬を使って人体実験でもしていたのだろう。怖い……。


 床には、なにやら兵士の四肢の方向がオカシイ状態で転がっているが気にしない……。

 彼らの口から濁った虹色の液体が洩れているが、気にしない!

 どういう実験をしていたのかなんてまるで聞く気は無い!


 彼らから目を逸らして、侍女長に話しかける。


「侍女長……、い、いきましょうか……?」


「ええ、そうですね向かいましょう」



 そうして、見張りの方々を全滅させた侍女三名は地下室へ向かう。




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