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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
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スペリアとシンシアの共同任務

あらすじ:無事宿へと戻ったナツメ。そこにはなんと侍女二名+奴隷ちゃんがいた!

何でそんな事になったのか! シンシア侍女長、任務開始します!






 ナツメがケーテ森林にてキタリウス暗殺を遂行しているのと同刻。


 まだ日が真上に昇ったばかりの街中を抜けて、住宅街から少し離れた場所。

 シンシアとスペリアはキタリウスが所有している館へと到着した。


「目的地に到着、スペリア目撃者は?」


 館の門を目の前に、シンシアは傍のスペリアに小声で確認する。

 それを聞いて、スペリアは少し周囲に気を集中させた。



 …………。



 うん、特に周囲からの視線は感じない。

 やはりシンシア侍女長仕込みの【隠密】行動は侮れないです。

 まぁ、シンシア侍女長は主様に仕込まれたそうだけど。


「数名に発見されましたが、怪しまれてないかと。

 追跡もされておりません」


 二人は体をすっぽりと隠すほどの外套を身に纏い、

 【隠密】のスキルを常時発動してここまでやってきた。


 今回、宿にはクラリアを残して、

 侍女長のシンシアと二人での任務となっている。

 職場の上司との、潜入という侍女の仕事の範疇を超えた任務だが、

 スペリアは当然、任務の内容を把握していた。


 "貴族の館に侵入して奴隷を解放する。"


 それがどれだけ難しい事なのか、

 潜入任務が未経験なスペリアも多少は分かっているつもりだ。

 しかしスペリアは不可能とは考えては居なかった。

 傍には屋敷の侍女たちから完全無欠と恐れられる侍女長が居てくれるからだ。


 そんなシンシアがスペリアを連れてきた理由は、彼女(スペリア)の高い感知能力にある。


 現在、こうして外套を羽織っているように、今回の任務は目撃者が居てはならない。

 移動中、二人は【隠密】スキルでなるべく気配は消しているが、

 ナツメ程レベルが高くないため、気付く者はいるのだ。

 気付くだけならいいが、怪しいと付き纏われるのは困る。

 ばれたら任務に支障が出てしまうためだ。


 そういった追跡者の有無を確認するために、

 スペリアの感知系スキル【視線感知LV37】は、侍女たちの中でもずば抜けて高い。

 彼女がいる限り、ナツメ程の高い【隠密】系スキルを持っていなければ、

 ほとんどの追跡行為は気付かれてしまうのだろう。

 それゆえにスペリアの言葉は信用できるといっていいだろう。


「それなら問題ないわね。では館に入るわ。

 内通者がいるから侵入は容易なはず」


「え? は、はい」


 シンシアはそう言って館の門に近づく。

 "内通者"という言葉に少し困惑したスペリアも、

 今からすぐに侵入するため、目の前の事に集中する。


 何の躊躇も無く門に近づく二人に、一人ポツンと立っていた門番が気付いた。


「お前たち! ここはキタリウス様の私有地である。

 速やかに離れなさい!」


「申し訳ありません、少々尋ねたいことがあるのですが」


 離れろと言いながら腰の剣に手を掛ける門番に、

 敵意が無い事を伝えるため両手を軽く挙げながら近づいていく。


「待て! 話は聞いてやるから、そこで止まれ」


 その言葉にシンシアはピタッと立ち止まり、頭を下げる。


「ありがとうございます兵士様。

 少々尋ねたいのですが、この館には小さな……、

 これくらいの侍女は来ましたでしょうか?」


 シンシアはそう言って、自分の胸の高さ程まで手の平を水平に、

 探している侍女の身長の高さを表して、

 そういった侍女が来ていないのかと問いかける。


「ん、ああ、そうだな。

 確か、朝頃に来ていた気がするが……。

 それがどうかしたの――ガッ!?」


「情報ありがとうございます。

 安らかにお眠りくださいませ……」



「――えっ!?」


 そう声を上げたのはスペリア。

 一瞬過ぎて何が起きたのか彼女には理解できなかった。

 ただ、シンシアの胸元からチラリとナイフが見えた時には、

 兵士の兜の間を縫って、眉間にそのナイフが深々と刺さっていたのだ。


 そしてシンシアはいつの間にか、兵士に傍に居て、

 目立たないように、兵士が倒れる前に支えて、

 脱力している兵士の体を無理やり立たせている。

 何をするつもりなのか知らないが、

 顔に刺さっていたはずのナイフは、もうすでに抜かれていた。


「『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』、『岩石の模倣コンソリデイト・アート』」


 兵士を支えながらシンシアが二つの呪文を唱える。

 すると、支えなければすぐにでも崩れ落ちそうな兵士が、

 立ったままの姿で硬直しているように見えた。


「ふむ、初めて使いましたが……、

 どうですかスペリア?

 門番は生きているように見えますか?」


 いきなりそう問いかけられても何を言っているのか?

 驚きで状況が掴めてないが、シンシアの言葉を懸命に理解して、

 とりあえず、門番のほうを見てみる。

 すると、その門番は顔は険しいし、眉間に穴が開いているが、

 少し遠ざかれば、ただ突っ立っているだけに見えなくもない。


「は、はい!

 間近で見なければ、ただ立っているだけのように見えます!」


「そうですか。ならば成功ですね。

 ではこの門番はここに置いて、先へ行きましょう」


 そう言ってシンシアは門を開き中に入っていく。


「え? ま、待ってください!」


 すぐに行ってしまったシンシアを追いかけて、

 スペリアも門の中に入っていった。


 門の外に残ったのはただ硬直している門番のみ、

 遠目から見ればいつもと変わらない光景だと思うことだろう。





「シンシア侍女長? さきほどの魔法は?」


 門に入った二人の侵入者。

 彼女たちは門から館までの道のりを、

 見回りの兵士に見つからないように移動する。

 見回りと言っても見る限りそこそこの数しか居らず、

 側の茂みと通っていけば大体ばれそうにないが……。


 そんな移動の最中、スペリアはシンシアに先ほどの魔法について問いかけた。


「スペリア、任務中はあまり言葉を交わすべきではありません。

 ですが……まぁ、今はいいでしょう。

 先ほどのは『岩石に似た芸術品コンソリデイト・アート』という物体を固める魔法です」


「物体を固める? 人間にも使えるのですか?」


「いえ、生物には使えませんが、あの通り死体には使用できましたね。

 顔をナイフ刺された程度では、なんと効かなかったので、

 『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』で背中から鎧を溶かして、

 顔にさしたナイフを背中から心臓に刺し直しておきました。


 ふふ、人というのは脳を刺しただけでは死体とはならないのですね。

 逆に心臓を刺した後ならばそれは完全な死体である。

 生き死にの境界線がちょっと分からなくなりますね。

 今度試してみましょうか?」


 シンシアは優しい表情で語り、私にそう問いかけてくる。


 そんな事、私に聞くなよ!

 というか使った魔法については私は聞いたけど、

 その後の"完全な死体"は何処からなのかなどという哲学的な話はまるで聞いてないです。


「絶対に止めてください」


 侍女長……、実験好きなのはいいけど、

 いつか人体実験にでも手を出しそうな発言は止めてほしい。

 そして人体実験だけは手を出させないようにしなければ。

 もしそうなったら流石に主様に報告するけど……。

 ……って、残念そうな顔をしないで欲しい。


 シンシア侍女長が屋敷で個人に与えられた部屋で、

 趣味の実験を行っていることは、主様以外の侍女は周知に事実だ。

 この前は魔物の身体を使って『元気になるポーション』なんてものを作っていた。

 あれは完全に毒だろうけど……。

 まったく、実験音痴なんだから、そろそろ止めて欲しいです。

 たまに異臭がして困るし、周りの迷惑も考えて――。


「スペリア? 何を考えているの、ねぇ?」


 ヒッ!?


「あ、いえ……、特に何も……」


 顔が怖いです侍女長様。

 なんで笑顔なのにそれだけの殺気が!?


「まあいいでしょう。

 それよりこれから館に潜入するから、無駄話は終わりです」


 話が終わると、いつの間にか館のすぐ近くの茂みまで移動していた二人。

 侵入経路は、入ってくださいとばかりに開いている二階の窓。

 屋敷の暗殺者訓練施設、SASUKEE(サスケェ)

 "反り立ち過ぎた壁"を日常的に登る私たちには造作もない高さだ。


「館の内部に侵入したら一度内通者と会うからそれだけは覚えておいて。

 さっきも言った通り小さな少女よ」


 さっきも言った?

 あれ? 私聞いてない……。


 あ、さっきの門の前で門番に話していた、探していた侍女の事かな?

 確か身長は侍女長の胸元くらいまでしかないらしい子供?

 子供が内通者? よく分からないけど、会ったら分かるだろう。


「では、先行するからついてきなさい。

 決して離れない事。分かりましたか?」


「はい、侍女長」


 こうして、二人の侍女はキタリウスの館へ侵入する。




久しぶりにスキル関係の話の出した気がする……。

ってくらいスキルの影が薄いなこの物語!? って思いました。


ちなみにレベルについて補足すると、

スキルレベル30越えが一人前というかプロフェッショナルって感じですかね。

レベル50だとほぼ極めていると思われるレベルかな。

ってそんな感じで私は決めてます。


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