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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
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ストーカーは宿に引き入れる

あらすじ:食料を奪って、仲良く食べて、一緒に宿に帰ろう!




「たっだいまー!」


「ん」


 森で出会ったペコと手を繋ぎながら宿まで帰還したナツメ。

 シンシアたちも待つ部屋の扉をババーンと開き、高らかに帰還を告げた。


「シンシアよ! 私はあの森から帰ってきたぞ!

 こんなにも可愛いペコちゃんを連れて帰ってきたぞ!

 今日は宴だぁ! クラリアとスペリアも今すぐディナーのよう、い……ってあれ?」


 ナツメが部屋を開け放つと、いつものように私のをお出迎えするシンシア。

 そしてその後ろで同じように頭を下げるクラリアとスペリア。


 ……だけではなく、なんと他に二名の侍女さんも私に頭を下げている?

 そして一人の少女が、シンシアの侍女服にしがみ付いて、後ろに隠れて私をポカンと見つめている。

 なな!? なんか人が増えてぇるぇ!?


「お帰りなさいませ、ご主人様。

 ディナーの準備は済んでおります。

 ですが、その前に私、シンシアからご報告を」


 そう言って一歩前に出るシンシア。

 私と手を繋いでいるペコちゃんをチラリと見るが、すぐに視線を戻し、なにやら私に報告を始めた。


「結果から申し上げますと、ご主人様が私に任せていただいたキタリウス個人の所有する館での奴隷解放の件。

 そちらで捕らえられた奴隷は、ほとんどが死亡、またはそれに近い状態で発見されたため、館ごと燃やして弔いました。

 勝手な事をしてしまいました。申し訳ございません」


 そう言って再び頭を下げるシンシア。


 正直、キタリウスの屋敷なんてどうでもいいが、奴隷の人たちを助けられなかったのは辛い。

 もっと苦しめてやればよかったな、あの野郎(キタリウス)……。


キタリウス(クズ)の館なんて焼いて正解よシンシア。

 ほら頭を上げて、報告を続けて?」


「ありがとうございます。

 キタリウスの館からは奴隷はほとんど助けられませんでしたが、一人の奴隷だけは助けられました。

 心身ともにまだ回復の見込みのある状態でしたので、契約書と共に連れてきました。

 ほら、これから貴女のご主人様になる御方です。

 自分から名前を名乗りなさい」


 シンシアはそう言って、後ろに隠れていた少女に目を向ける。

 ビクリと肩を震わせた少女は恐る恐る私の前に立ち、慣れないお辞儀をした。


「あ、あの……、助けてもらってありがとうごじゃいま――!

 ございます……。ナツメ、さま……。

 わたし、ユルユといいます」


 震えながらもちゃんとお礼と名前を告げてくれた目の前の少女を見る。

 まだ恐怖があるのだろう。

 不慣れな言葉遣いでどうにか私の機嫌を損ねないよう努めているのだろう。

 地獄から助けられたからと言って、助けられたその先が天国とは言えないのだから。


 だから、私はこの子を優しく、

 愛おしい我が子のように接しなければならないのだ!

 ていうか絶対そうする!

 だってこんなにも……。


「か、かわいい! ユルユちゃんかわいいかわいい!

 くぁわいいぃぃぃぃ!」


 目の前の少女、ユルユちゃんをギュッと抱きしめて、抱き上げて、また抱きしめる。


 頬や額にキスを落として私の愛を与えるのだ!

 ちゅっちゅっちゅ!

 うーん、大人しそうな気弱そうな感じが堪らないわ!

 ご飯もあまり食べれてないのか、痩せ気味で今にも倒れちゃいそう……。

 守ってあげなくちゃ! 私が! 全力で!


「ふぇ!?」


 ただただ驚いたように固まるのを良い事に、ちゅっちゅっちゅっちゅ!

 そんなナツメの行動に周りはシンシア以外は唖然としているし、ユルユちゃんはもはや今の状況の意味の分からなさに気絶しそうになっている。

 そんな中、シンシアが冷静に止めに入ってきた。


「ご主人様、まだ報告は終わっておりませんので、今はそれくらいでお許しを……」


「ちゅっちゅっ、え? ああ……、うん、そうね!

 ごめんなさいユルユちゃん?

 あまりの可愛さに抱きついちゃったわ!

 シンシアも報告の続きだったわよね?」


 ユルユちゃんの頭を一撫でしてから、私の腕から開放する。

 何をされたのか分からず、ほぼ棒立ちで放心状態のユルユちゃん……。

 驚いた表情で固まったままで、口が開きっぱなしだ。

 うん、可愛い!


「はい、ありがとうございます。

 ユルユの処遇についてはご主人様がお決めください。

 誓約書は後ほどお渡し致します。

 そして、もう一つの報告ですが……」


 シンシアはそう言うと、後ろで少し緊張気味に立っていた二人の侍女に、

 前に来るように伝えて、彼女らの紹介する。


「キタルダの屋敷で働いていた侍女二名です。

 彼女らをご主人様の屋敷で働かせて欲しいのです。

 怪しいと思われるかもしれませんが、これは私からもお願いでもあります。

 是非雇って頂きたいのですが、どうでしょうか?」


「お願いいたします、ナツメ様」

「一生懸命、働きますので是非雇って下さい、ナツメさま!」


 そう言って、二人の侍女が私の前に立つ。


 というかこの子達って……。


「あの、アイちゃんよね? あとフィリスさん? だったっけ?」


 私の所で働きたいと願ってきたのは、キタルダの屋敷で出会ったアイちゃんとフィリスなんとかさん。

 一体どうしてここへ?


「はい、私はアイです!

 ナツメさまにお会いしたかったのです!」


「わ、私はフィリステリアです!

 アイ共々、ナツメ様の下で働かせていただければ幸いです!」



「うん、シンシアの頼みだし、私は全然構わないよ。

 だけど、なんで私のところへ?」


 私はフィリステリアさんに向けて問いかける。


 シンシアが自分から雇って欲しいと言う侍女たちだ。

 特に問題もないだろうから私は良いとして……。


 フィリステリアさん(この人)……。

 確か私が気絶させて下着姿にしてベッドに放置したのに、よく私の下で働こうと思ったな……。

 もしかしてばれてないのかな?


 そう思いながら彼女の返答を待っていると、答えたのはフィリスさんではなく、隣に居たアイちゃんだった。


「ナツメさま、実は私とシンシアはちょっと前まで同じ屋敷で侍女をしていて、もはや親友だった仲なのです!

 だけど途中から離れ離れになってしまって……。

 それでも手紙のやり取りはしていたのです!

 けど……、いきなり音信不通になっちゃって……」


 そう言って俯くアイちゃん。


 ああ、可哀想に……。

 親友が音信普通になっちゃったら、そりゃあ心配しちゃうわよね。

 ましてやこの世界なんて治安が悪いもの。

 女の子を一人で道を歩かせたくない。なんて何回思ったことか……。

 私の孤児院の子達は朝でも昼でも、絶対一人で出歩かないように言い聞かせているし。


「で、でもしばらくしてシンシアから手紙が来たのです!

 手紙を見たらナツメさまが奴隷として売られてしまったシンシアを助けてくれた事が書いてあったのです。

 だから助けてくれた恩を私からも返したいと思ってナツメさまの下で……。

 それに、やっぱりまたシンシアと一緒に働きたいと思ったのです!」


 な、なんて素敵な話!

 アイちゃんとシンシアの友情と言うやつかしら!

 健気! 可愛いわアイちゃん!

 屋敷でナイフを投げてきた時にヤンデレっ娘とか言ってごめんね!


「ふふ、全然問題ないわ!

 アイちゃん! あなたを私の屋敷で働くことを許可するわ!」


「あ、ありがとうございます、ナツメさま!」


「いいのよアイちゃん。

 これからもシンシアと仲良くしてあげて。

 それでフィリスさんはどうして?」


 まだ話を聞いてなかったフィリスさんに問いかけると、これまたアイちゃんが答えた。


「フィリスさんは私の恋人なのです!

 当然連れて行くのです!」


「ちょっ! アイ!? もうちょっと言葉を選んで!」


 アイちゃんの爆弾発言に私は驚く、けど周りはもう知っている風である。

 どうやら先にカミングアウトしていたのだろう。


「こ、恋人かぁ……。

 うーん、それってどうなのかしらシンシア?」


 どうなのか。

 それは別に同姓同士の付き合いを良く思っていないから言っているのではない。

 むしろ推奨だ! どんどんやって欲しい。

 私が問いかけたのはそういう事ではなく、フィリスさんは信用に足る人物なのかという事である。

 勿論シンシアもそんなことは分かっているようで、笑顔で頷いた。


「フィリステリアさんであれば問題は無いと考えます。

 侍女としての心得もきちんとされておりますし、アイが働きたいと言っているご主人様の屋敷に対して、不利な情報を流すような不届きものにはならないでしょう。

 恋人が働いている職場を潰すなんて事はないでしょうし」


 そうかー。

 まぁシンシアがそう言うのなら何も問題ないわね!

 ただ、少女とお付き合いしているなんて羨ましいわ!

 夜になったらあんなことやこんな事をしているのかしら?

 うわー、いいなー。


 よし、屋敷に帰ったらこの子達の部屋は私の隣に決定ね。

 夜な夜なにゃんにゃん声が聞こえてきちゃったら……。

 ふふふ、やたら興奮してきたわ!


「いいわ! フィリスさん、アイちゃん。

 私を裏切るような行為をしない限り、私はあなたたちを歓迎するわ!

 是非私の屋敷の見本(・・)となって頂戴ね!」


 ふっふっふ、アイちゃんとフィリスさんが屋敷内で甘々な百合生活を送ることで、その光景を見て感化された侍女たちが、ゆりぃ関係に!

 それを見てまた他の侍女たちが――。


 そうやって私の屋敷に乱れた百合ブームを引き起こすのよ!

 ふふふ、悪くない……、悪くないわっ!


「見本、ですか?」

「……?」


 二人は私の言葉に首を傾げているが、いちいち説明なんてしない。

 彼女らにはとりあえず同じ部屋に住んでもらわなければいけないわね!

 帰ったら部屋の壁は当然薄くし、小さな覗き穴を開けなければ!

 あー、楽しみ~。


 そんなことを考えて二人をニヤニヤと見ていると、アイちゃんが急にムッと表情を変えて私に詰め寄ってきた。


「ナツメさま!

 雇って頂けるのは感謝しますけど、フィリスは渡しませんよ!」


「え?」


「ナツメさまってば、屋敷に侵入したときに、

 フィリスの服を剥いでベッドに括りつけたとか!

 フィリスの身体を狙っているんでしょう!

 でもフィリスは私のだからダメだよ! 絶対!」


「ちょ、ちょっとアイ!?

 ナツメ様になんて事を!?」


 アイちゃんのいきなりの牽制? というか忠告にフィリスさんは慌てだす。


 うーん、やっぱりベッドに括り付けたのはばれていたかー……。

 でもまぁ、そんなことより(・・・・・)

 どうやらこのカップルを引っ張っているのはアイちゃんのようね。

 幼女攻め……。ああ、なんて甘美な響き……。 

 幼女に乗られて攻められる……。または罵られる?

 積極的に甘やかされる?

 な、なんて素敵な光景なのかしら! どれも良いわ!


「ナ、ナツメさま!? 何をそんなにニヤニヤして……。

 はっ!? まさか本当にフィリスを狙っているのですか!?

 い、いくらナツメさまでも許しませんよ!」


「ア、アイ~! もういいからー!」



 こうして私は、シンシアが館で助けた奴隷幼女、ユルユちゃんとゆりぃカップルの侍女アイちゃんとフィリステリアさんを雇い入れた。

 



次話はたぶん、シンシアの回になるんじゃなかろうか。

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