↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
62/86

ストーカーの食料確保方法

あらすじ:幼女ちゃんはお腹が減って死にそう……。なんとか食べるものを見つけなければ! あっ! あんなところに食料が! いってきまーす!





「貴方達、止まりなさいな?」


 ナツメは食糧確保の標的を確認した後、

 飢えて瀕死状態の幼女を安全そうな場所に寝かせてから、ラヴに変身する。


 そして紅い長髪を揺らして草むらを飛び出して、

 再び森林調査隊の前に立ちはだかった。


 ハンターたちは、荷車を引いて歩いていたハンターたちは、

 まさか再び(ラヴ)に出会うとは思っていなかったのだろう。

 誰もがピタリと身体を硬直させて、驚きで目が見開いている。


 あらら、揃いも揃ってハンターさんたちが固まっていらっしゃる……。

 まぁ、まさか二度も現れるとは思うまい。

 だが、事態は一刻を争う。

 お腹が空いて動けないかわいいかわいい幼女ちゃんのために、

 優しいハンターさんたちから食べ物を恵んでもらうのだぁ! 


「なっ!?」

「て、てめぇ!?」


 荷車を囲って歩いていた四人ほどのハンターが、

 突然現れた私に対して武器を構えて応戦する姿勢だ。


 一度見逃してやったところ悪いけど、残念ながら今は非常事態。

 荷車にあるありったけの食料を幼女に提供するよう頼みたいところだが、

 ハンターたちは私を親の仇のように睨んできている。


 むぅ、ごついオッサンに睨まれても困るな……。

 どうせ睨まれるならあの子のような……。

 はぁ、はやくあの子の元に戻りたい!

 私の天使! 抱き上げただけでもうっ!

 あー、早く宿に戻って、お風呂に一緒に入って、

 添い寝してあげて、お着替えも手伝ってあげ――。


「何しにきやがった!」

「そうよ! やっぱり気が変わって私たちを殺しにでも来たの?」


 私が夢のような未来に目を輝かせていると、

 オッサンたちから茶々が入る。

 いや綺麗なお姉さんハンターも居るけど、残念。

 今は貴方達に構っている時間はないのだ。


「まぁまぁ、そう構えないで良いわよ。

 ちょっと必要な物があってね。

 というかあなたたちの持っているその荷車に入った食料。

 それ全部戴けないかしら?」


 ちょっとした乙女のお願いである。

 どうせここから街まで数時間あれば帰れるだろうし、

 食べ物なんて重くて運ぶのに苦労するだろう。

 荷車を軽くしてやるのだ。運ぶのが楽になるであろう!

 そして私たちは食べ物を得ることが出来る。

 つまりお互いにwinwinの交渉!

 これは同意せざるを得ない!


 だから早く食料をこちらへ寄こして?

 そう言っているだけである。

 だが、幼女が死に掛けているなんて、

 そんな背景など知る良しもないハンターたちは、

 目の前の上位種(恐怖)に震えながらも対立の姿勢を崩さない。


「ふ、ふざけるな! お前にくれてやる物なんてない!」

「ちょ、相手は上位種だよ? また殺されちゃうよ」

「けど、このまま舐められて帰れるかよ!」


 むむ! もしかして拒否ですか?

 どうやら、さっき私が見逃してやった恩などとっくに忘れているようだ。

 私と戦う戦わないの口論が始まろうとしている。

 だけど私にはこんな言い合いをしている暇なんて無いんですけど?

 今は一刻を争う事態なんですけど?


「ねぇ? くれるの? くれないの? というかさっさと寄こせ」


 さっさと寄こせ。

 私が言いたいのはそれだけである。

 絶世の幼女が死にそうなのにお前らときたら、そんな悠長で良いのか?

 もし死んじゃったり、後遺症が残ったら、君たちどう責任取るつもりなの?

 許さないよ?


「黙れ! お前にやるものなど無い!」

「そうだそうだ!」

「ちょっと! また殺されちゃう――!」


 うむむ、何を言っても食料を渡す気はないらしい。

 むしろ男共はいきり立って剣やら斧やらを構えて、

 いつでも振りまわせる体勢である。

 このハンターたちは、もしかしてまた死にたいのかしら?

 一時間もしないちょっと前の出来事をもう忘れたの?

 学習能力の無いオッサンたちに溜め息が出る。


 仕方ない、こうなったらまた一人か二人犠牲になって貰って――。



「ま、待て! 待ってくれ!

 貴女が上位種の魔物なのか!?」


「はい?」


 私が懐から短剣を取り出し、いざ突撃!

 なんて事をしようとした矢先。


 いきなり荷車の中から、全身鎧の男が出てきて大声を上げる。

 あんまり会いたくなかった勇者様である。


 見当たらないと思ったら荷車の中に居たのか。

 でも、なんか弱っているのかフラフラしてるご様子。

 他のハンターに支えられているので、相当疲労しているっぽい。

 たぶんハンターたちに戦闘で相当扱き使われたのだろう。

 憐れな……。


 さっきの私の食料を寄こせ。という要求を荷車の中で聞いていたらしく、

 その返答をすべく勇者が疲れた体に鞭を打って、

 わざわざ荷車から出てきたらしい。


「食料は全て貴女に譲る!

 だからここは誰も傷つけずに去って欲しい!

 それが僕の願いだ!」


「んなっ!?」

「勇者様!」


 おお、流石は勇者様、その言葉が欲しかった!

 この場でどういった返答が正しいかをちゃんと理解していらっしゃる。

 命知らずの馬鹿ハンターたちとは違うね!


「ありがとうございます、流石は勇者ですね。

 じゃあさっさと食料を出してください」


 勇者の快い返答を聞いたので、思わず笑顔に。

 だが、私の後ろでは幼女ちゃんが今にも死にそうなので

 さっさと食料を出す作業に移ってくれたまえ。


「ああ、皆もいいね?

 今の僕たちでは上位種には勝てないよ。

 それに今までの連戦で心身共に疲労が溜まっているはずだ。

 無理に戦闘すべき場面じゃないよ……」


 そう言ってハンターたちを宥めながらも、

 ふらふらながらも荷車から食料を降ろすように伝える。

 それを聞いて周りのハンターたちも、複雑な顔をしながら、

 あるいは緊張した表情で食料を荷車から降ろした。


「ふぅ……、これで全部だ。

 じゃあ僕たちはもう行ってもいいかな?」


「ええ! 感謝するわ勇者さん。

 私はもうあなたたちの事に関与しないから、

 頑張ってこの森を抜けなさいな。

 それじゃあさっさとこの場から離れてもらえる?」


 ナツメがそういうと、勇者はまた荷車の中に戻っていき、

 ハンターたちは悔しそうな顔をしながら森を出るため、荷車を引いて去っていった。


 ハンターたちが見えなくなると、

 ナツメはすぐに『立体影法師(リアルシャドウ)』を解除する。

 魔力で作られた紅髪の女は雪の上で霧散して消え失せ、

 ナツメ本体に意識が戻ってくる。


「わ」


 ナツメがすくっと立ち上がると、

 隣で安静にしていた幼女ちゃんがビクッと身体を揺らす。

 驚かせてしまったらしいが、まだ大丈夫そうな様子なので安心した。


「あら、ビックリさせちゃってごめんなさい。

 でも食べ物をたくさんゲットしたわ!

 たぶんあまり美味しくないけど、我慢してね?」


「うん」


 ナツメはそう言うと、目の前の少女を優しく抱えて再び走る。

 置かれた食料はすぐ近くにあるのだが、魔物が寄ってくる前に回収したい。

 早く行くに越したことは無いのだ。



「じゃーん! ほらこれだけ取れたの!

 好きなだけ食べていいのよ!」


「おお」


 たぶん、十人分以上あるであろう食料たち。

 食料を目にすると幼女の目が輝きだし、

 早くあそこに降ろしてくれと手足をばたばたさせる。かわいい。

 ナツメは食料の近くにつくと、愛しの幼女を腕から降ろし……。


 なんてことはせず、膝の上にちょこんと乗せて、

 後ろから抱きつくようにして、少女の腕を封印する。

 今すぐにでも食べたそうな幼女ちゃんは不満気な様子だが、

 自分で食べる行為を一切認めない!

 なにが何でもナツメが手ずから食べさせる体勢だ。


 そのままこの子を離してしまえば、

 食べ物をパクパクかっ込んで胃袋をビックリさせちゃう。

 それは体によくないぞ!

 ゆっくり時間を掛けて食べさせるのが良いのだ!


 ……という建前を説明してあげて、私が食べさせることを了承させた。

 そして今から私の待ちに待った幼女との濃密な触れ合いが始まるのである!


「待っててね~。んー、よし食べやすいのからにしようね~」


 一口サイズのパンなのかクッキーなのか、非常に判別に困る物体。

 まずは味見としてナツメが食べてみる。

 うん、全然味しない! 美味しくない!


「大丈夫かしら? 全然おいしくないわ」


「大丈夫」


 問いかけると、可愛らしく答えてくれる。

 ちゃんと我慢して食べてくれるらしい。

 ナツメは小さなお口まで持っていく。


「はい、あーん」


「ん」


 ハムスターの様に頬をいっぱいに膨らませて、モクモクと食べる幼女。

 それを見てギュッと抱擁を強める。


「はぁぁぁん! かっわぃぃいい!

 やっぱり久しぶりの幼女は最高ね!

 はい、次はこれね、あーん」


「ん」


 弱っていたわりには結構スイスイと食べていき、

 ナツメにどんどん食べさせられているうちに、

 どうやら調子が戻ってきたのか、元気になった様である。

 良かった、良かった!


 与えられた食べ物を一生懸命に頬張っては、

 もっと寄こせと上目遣いで要求してくる。

 手ずから与えられるこの状況にも満更ではない様に見える。


 あひゃっぁあぁああ! 犯罪級に可愛いぃぃいいい!

 もう思わず頬擦りしちゃう!

 あふぅ、幼女の香りがする! 少し汗ばんだ素敵な香りだゎああ!

 お風呂に入れる前にこれは堪能しておかなきゃ!

 ああもう! この子は絶対に離さないんだから!


 はふぅ、これはもうお持ち帰り確定ね~。ハスハス。

 この子――。


 目の前の綺麗な黒髪に顔を埋めながら、神聖な空気(幼女の香り)を楽しんでいると、

 そういえばまだ名前を聞いていないことに気付いた。


 名前を聞いていないなんて、私としたことが……!?

 うーん、でもまぁ出会い頭に二回も殺されたり、

 命が掛かってたり色々あったんだから仕方ないわね。


 それでも、今回は実に焦ってた気がするわ……。

 交渉がスムーズにいかないからって、

 ハンターさんを簡単に殺そうとしたのはちょっと反省ね……。

 ああ、私の健全だった道徳心はもう無いのかしらね。

 完全に異世界に染まってしまったわ。

 って、あーあー、ダメダメ。

 今は幼女ちゃんが居るんだから、物騒なことは考えないでおきましょう。


 異世界に来てからやたら物騒な方向に変わってしまった自分に怖さを覚えながらも、

 そういった思考をすぐに止めて、目の前の幼女に意識を移す。

 自分と同じ黒い髪を梳くように撫でなると、気持ち良さそうに金色の眼を細める。


 愛らしい。

 お人形さんのように抱えられたまま大人しいこの子とは絶対に離れたくない。




 この子、食べ物で釣られてくれないかしら……?



 未だに一生懸命にお口をモグモグさせているこの絶世の美幼女を、

 どう誑かしてお持ち帰りしようか。

 ナツメはいつの間にか、そんな考えを巡らせるのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓悪くないなと思ったらクリックどうぞ
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。