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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
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ストーカーと森林調査隊

あらすじ:勇者がザンコクマを狩りに出る。その間森林調査隊はどうやって身を守るのでしょうか?


この話は一度2017/05/13(土)22時半頃に一度投稿されたものであり、大きな間違いに気付き一時間ほど後に削除したものですが、内容が多少変更されているため、見た人ももう一度見ることをお勧めします。




「ほお、本当に勇者殿は凄いな……」


 森林調査隊のハンターたちとキタリウスは出来るだけ遠くに距離を置いて、

 ザンコクマとの戦いにて、先手を決めた勇者を見た。


「おい、もう一体目のザンコクマをやりやがったぜ……」

「一撃かよ……すげぇな」


 先ほどまで勇者と共に戦っていたはずの彼らも、ザンコクマとの戦いを見て、一同唖然としている。

 自分たちとはレベルが違いすぎるのだと……。

 これがA級以上の実力を持つ、我が国が認めた勇者なのだと。


 その戦いにキタリウスも思わず見入っていたが、戦闘前にユウシから周囲を警戒するように言われたのを思い出す。


 おっと、勇者殿からは周囲を警戒するように言われていたな……。

 こんな森林の奥地に生息するような強い魔物に襲われたら困る。特に今は油断は禁物だろう。


「諸君! 勇者殿の戦いに見入るのも仕方ないが、周囲の警戒を怠ってはならないぞ!

 この場所とて安全ではないのだ!」


「あ、ああ、すまねえキタリウス様」


「も、申し訳ありません! キタリウス様!」


 キタリウスが注意を促すと、ハンターたちは少しだけ勇者の方を気にしながらも雇い主であるキタリウスの言葉に素直に謝罪した。なんてことは無い、軽い余所見のようなものだ。キタリウスもそれを受け入れる。


「うむ、勇者殿であれば、あのような凶暴な魔物も一瞬だ! すぐに帰ってくるだろう。

 だが油断は禁物である、勇者殿が帰ってくるまでこの陣形を維持するぞ!」


「「はい!」」


 キタリウスに激を飛ばされて、ハンターたちは自分たちが如何に危険な森の中にいるかを思い出したようだ。時折ユウシの戦闘に気を取られながらも、落ち着いて周囲の警戒に当たる。


 魔物の襲撃に備えて、ハンターたちは近接系の武器を扱う者は、輪のような陣形になり四方からの襲撃を防ぐ。

 その輪の中心に魔法が得意な者と魔術に長けたキタリウスが、前衛のハンターに守られながら魔法を撃ち戦闘を支援する陣形を保つ。


 こうして、彼ら森林調査隊は万全の体制で、魔物の襲撃に備えた。

 勇者が離れている時間はそう長くはないだろうが、その間彼らは少しの油断もしてはならないのだ。

 頼れる強い存在が離れた時こそ彼らは、彼らを狙う者の絶好の的になってしまうのだから。




 そして、ユウシがザンコクマを狩りに調査隊から離れ、ものの数分も立たぬうちにそれは訪れる。

 まるでこの時を待っていたかのように……。


「こんにちわ~。皆さん少しよろしいでしょうかー?」


 万全の警戒に臨んでいた森林調査隊に、一人の女性の声が投げかけられた。


 森林調査隊は気の抜けた挨拶をする女性に対して大きく警戒をした。

 なんといってもここはもう魔物の巣ともいえるケーテ森林奥地。

 少し歩けばザンコクマなどの獰猛な魔物が多くうろついているような危険な場所。

 唯の女性一人で歩けるような優しい所ではない。つまり女性は只者ではないという事を意味する。


 現れた女性は、全身を真っ白の服装に身を包み、出来るだけ肌が見えないような格好。

 秀麗な顔つきだけは見えており、不気味な笑顔でこちらに歩を進める度に、烈火の如き紅の長髪が揺れている。


 街中であれば自ら進んでお近づきになりたい程の美女だが、今居るのは魔物の住まう極寒の森の中……。

 こんな場所に居るべきではなく完全に怪しさしかない。だが問題は敵であるのか味方であるのか……。


「止まれ! 貴女は何者だ! 何故このようなところにいる!?」


 不用意に近づく女性に、前衛のハンターの一人が武器を構えて対峙した。

 キタリウスが静止の警告をすると、その女性は素直に立ち止まる。

 その様子を見るに、敵対の意思は無いのか? しかし怪しさだけはまるで拭えない。

 何故、私たちに接触したのか……。


「おっと、申し訳ありませんわ。 私はラヴと申しますの。

 何故この森に居るのか? という質問は、まぁ置いおきますね。

 ふふ、少し皆様に悲しいお知らせがありまして~」


「はぁ、そういう悪ふざけは後にしてくれ……。

 皆さん、その女性を拘束して下さい!

 貴女も! 私たちの安全が確保出来次第、話を聞きましょう。

 無駄な抵抗はしないで、大人しくしておい頂きたい。敵でないと分かれば危害は加えない」


 女性を拘束しろ、というキタリウスの命令により前衛のハンターたちは、ラヴと名を語った女性を取り囲む。


「ふぅ、折角、人が親切にお知らせを持ってきたというのに……。

 せっかちなのはダメですよ。ねぇ? 拷問大好きキタリウスさん?」


「なっ!?」


 こいつ何処でその情報を!?

 いや、情報が流れてしまっているとしても誤解だ!

 私は研究のために行っているだけだというのに!


 いや、それより、そのような情報が、この状況においては何の意味を持つ?

 何故、私を煽るようなことを言ったのだ……?

 まさかとは思うが、この人数を相手に戦うつもりか? 無謀であろう!?


 笑顔を絶やさない目の前のラヴという女性は、その笑顔のままキタリウスに向けて言葉を放つ。

 ラヴの言葉に、彼女を捕らえようとしていたハンターたちも立ち止まる。


「ご、拷問……?」

「なんの話だ?」


 ちっ、今そんな物騒な話を持ち上げられては適わん!

 それよりもどういう目的で私に近づいた? 私に危害を加えるため?


 いや……、もしやこの女、昨日の侵入者と何か関係が……?

 なるほど、それだと拙いな……、すぐに捕まえねば!


「おい! 君たち!

 そんな怪しい者の戯言など聞き流したまえ!

 話は捕まえてからじっくり聞いてやる!

 頼むぞハンター諸君!」


 キタリウスがそういうと、ハンターたちは戸惑いながらも謎の女に向き直る。

 その内一人のハンター、ロックが槍を構えて目の前の女性に宥める様に提案する。


「すまねえな、お嬢さん。きっと誰かの仇討ちなんだろうが……、

 こんな人数の居るところに一人で来るたぁ、正気じゃねぇらしい。

 大人しく捕まってくれるなら、怪我はさせねぇんだが……どうだ?」


「んー、あなたは優しい人ですね~?

 でも、別に私と戦いたくなければ、貴方からそうすればいいです。

 私は勝手にそこのキタリウス(クズ)を殺しますので~。

 邪魔したらどうなっても知らないぞ☆」


 しかし、ロックの提案はまるで受け入れられない。

 ラヴはふざけた様に宣戦布告を告げると、いきなりキタリウスに向かって走りだした。

 やはり、私だけを真っ直ぐ殺しに来ると言う事は昨日の侵入者本人か?

 もしくはその仲間、関係者である可能性が高い!


「馬鹿野郎! こんな人数相手に自殺行為じゃねえか! くそっ!」


 ロックは舌打ちをして、こちらに突撃してくる女性と相対する。

 女は片手に短剣を持つだけで突進してきており、そんな相手に対処は簡単だ。

 こちらが持つ槍で一突き。これで終わる。


 命を粗末にしやがって、バカヤロウが……!


 ハンターは目の前の自殺志願者に向けて槍を突き出した――。



「――んな! ガッ!?」


 槍を突き出したと同時に相手の身体に突き刺さったはずの槍。

 ロックの槍はラヴの身体を貫いていたはずなのだが、彼女は何事も無い様子で接近し、ハンターの喉を切り裂いた。

 そのまま倒れそうになるハンターの身体を前方に蹴りだす。


 首を裂かれて倒れるハンターの手から槍が離れると、周囲は騒然。

 実は槍を避けていたなんてことは無く、ラヴの身体には槍が突き刺さったままだった。

 だが、彼女は何事も無いように笑顔のまま、体から槍を引き抜く。


 その場面に誰もが凍りついた。

 目の前の敵は普通の人間ではない。

 それもそうだ、当たり前だ。

 普通の女性がまずこんなところに居るわけがない。

 そして、この目の前で起きている光景。


 槍が胸に刺さっても、気にするそぶりも無い……。

 平気で抜いて胸は穴が開いたまま。

 人間ではない女。

 人型の化け物……?

 いや、人型の魔物、か!?

 それはつまり!


「くっ、貴様! 人間ではなく上位種の魔物だったか!

 ここは一度撤退し――」


「くそ! お前たち! やつの前を固めろ!

 魔術師は後方から支援攻撃!」


「「はい!」」


 ハンターたちはキタリウスの撤退を聞く前に戦闘態勢へ。


 なっ!? こいつら本気(正気)か!?

 何故私の命令も聞かずに、上位種と相対しようとする!?


 目の前に現れたラヴという正体不明の怪物に対してハンターたちは緊張感が一瞬で上昇。

 一人の死体を生み出した危険な"上位種の魔物"として対応する。

 その状況にキタリウスだけは混乱した。


「あらあら、貴方たち、今逃げても私は追わないわよ?

 私が欲しいのはそこの貴族様だけだし?」


 ラヴも止めておいたほうが良いと、ハンターたちに撤退を促す。

 だが怪物の言葉など聞く耳を持たない。


「ま、魔物風情が! 騙されないぞ!」

「そうだ! 上位種はそうやって人を騙すのが常套手段だろ!」

「よくもロックを! 絶対に許さない!」


 くっ、どうやら雇ったハンターたちは、仲間をやられた怒りで状況が見えていないようにも見える。

 だが、相手が"上位種"であれば我々が勝てる可能性は高くない……。

 上位種は最低でもA級の魔物に分類されるからだ。


 A級の魔物なんてのは、その気になれば町や村を潰せるほどだ。かつては街も潰された。

 そんな怪物に勝てるわけが無い。

 いや、ここにはB級のハンターも少なくは無い。

 この人数差ならば勝てる? それとも私だけ逃げるべきか……。


「んー、ハンターさんたちには罪なんて無いから殺すのは躊躇っちゃうのだけど……。

 まあ数が多いから私に勝てると思うのも仕方ないわよね……。

 半分以下になったら考えも変わるかしら?」


 不穏な事を口にする魔物。

 しかし、余裕そうなラヴに、隙ありとばかりに魔術師が魔法を行使した。


「おしゃべりな魔物ね! 隙だらけよ!

 『赤き槍の創術(レッドランス)』!!!」


 魔術師の一人がそう叫ぶと、彼女の周りから4本の炎の槍が出現。

 そのまま魔物を突き刺すために猛スピードで飛んでいった。


 上位種の魔物にそんな中級の魔法が通用するのか……?

 いやしかし、こうなった以上、私も追撃するしかない!


「『剥ぎ取る風車ローリング・ピーラーズ』!」


 キタリウスも隣の魔術師の魔法に続くように魔法を行使。

 高速に回転する風の塊が周囲にいくつも出現して、魔物に襲い掛かる。


 魔法を目の前にしても、魔物はただ笑顔のままその魔法を見ても微動だにせず、炎と風の魔法はいとも簡単に直撃した。

 ドンドンと魔法が着弾する音が鳴り、魔物がいた周囲は炎によって生じた濃い煙と、強い風によって舞い上がった粉雪が立ち込めて視界を塞ぐ。


「「やったか!?」」


 ハンターたちは直撃した炎の槍と高威力な風の魔法を見て、こんなものを受ければ一溜りも無いだろうと、結果を見守る。

 煙の立ち込めて数十秒、何も起こらない事にハンターたちが少しだけ希望を見た。

 魔物を倒したのではないか……。


「おい、もしかして倒したのか……?」


「皆さん! 相手は上位種の魔物です! 油断はしないように!」


 緩みそうな緊張をキタリウスが叱咤して留める。

 油断は禁物なのだ。"上位種の魔物"には……。



 だが、煙が薄くなり景色が晴れると、キタリウスの予想とは裏腹に魔物の姿は消えてなくなっていた。




お昼にもう一つ出します。

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