↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
50/86

ストーカーと潜入任務

あらすじ:宿から勇者を追い出した。憐れなり勇者……。




 勇者を宿から追い出してからナツメは食事を終えて、宿の借りた部屋へ向かった。

 部屋に入ると、すぐさま備え付けの柔らかなベッドに倒れこむように横になる。


「はぁ~、まったく……。

 あの勇者(アホ)ってば、なぁんでこの街にいるのかしら……」


 先ほどまで勇者に対して、常識の無さやら何やらを突きつけて、

 結果的に宿から追い出すという、嫌がらせをしたナツメは、

 そもそもなんで勇者がこの街にいるのか疑問に思う。

 そんなナツメの疑問にシンシアは自身の予測した考えを述べた。


「はい、おそらくこの街で起きている魔物の大量発生。

 それを食い止めるためじゃないかと……。

 勇者の最近の仕事は各地を回り魔物の駆除をすることらしいですので」


 シンシアはそう言いながら、不恰好にベッドに寝転がったナツメを、

 軽々と抱き上げると、背を優しく支えてベッドに座らせる。

 そして手早くナツメの服を脱がせて動きやすい服と交換してくれる。


 ナツメの着替えを手伝うのは、他の誰にも許されないシンシアだけの仕事なため、

 他二名の侍女、クラリアとスペリアは着替えを手伝う事などはせず、

 粛々と紅茶の準備など、自身のすべき仕事をこなしている。


 場所が自分の屋敷ではなく宿というだけで、

 いつもと変わらない日常的な光景だ。

 着替えさせられたナツメも当たり前だという顔で、お礼だけを述べる。


「ありがとね。

 それにしても勇者と行き先が被るとか、ほんと無いわー。

 この顔も見られちゃったし……。

 絶対後で詮索してくるよね~」


「はい、あの勇者は強い仲間を探しております。

 それだけでなくどうやら女性にも興味があるようです。

 食堂に入ってからあらゆる女性にばかり目が移りがちでした。

 多くはクラリアに、いなくなるとご主人様の胸元にばかり目線がいっていたようですが……」


 シンシアは「勇者ともあろう者が不埒ですね」と吐き捨てているけど、

 まぁ私もそれは気付いていた。

 私のさっきまで来てた服、ドレスだし胸元ぱっくりだったし。

 思春期真っ盛りだろう勇者(エロガキ)なら見てしまうだろう。

 クラリアの胸なんて私でも見ちゃうわ!


「うん、まぁそれは勇者もまだ思春期だろうし仕方ないわ」


 憤るシンシアを宥めながら、今後の行動について考える。


 勇者がこの街に居るのであれば、こんな街に長居は無用。

 さっさと仕事を終わらせて帰ったほうがいいわね。


 んー、今は丁度おやつの時間過ぎたくらいかー……。よし!

 だったらサクッと仕事して、夕食までに帰ってこれるようにしましょう。


「ねぇ、シンシア。

 着替えさせてくれたとこ悪いんだけど。

 私これからサクッと仕事してくる事にしたわ。

 仕事用の服装に替えてくれないかしら」


「今からですか?

 まだ街に着いたばかりですが……?

 旅の疲れもあると思いますので、

 あまり急ぐのはよろしくはないかと……」


「いやー、だってこの街、勇者(アホ)いるし……。

 厄介事に巻き込まれる前に帰りたいなぁ。

 孤児院の皆とももう2週間も会ってないし!」


 正直、もう辛いのよね……。

 だって、こちとら2週間も幼女不足!

 一応、幼女体型のスペリアちゃんも居るけど、所詮は偽物……。

 スペリアちゃんには悪いけど、私には本物の幼女! もしくはショタ!

 子供たちの温もりが圧倒的に足りないのよ!

 つまり早よ、家帰りたいとです、私は!


「仕方ありません。

 ご主人様がそう仰るのであれば、私たちは従うまでです。

 とは言っても、私たちに出来ることは余りありませんが……。

 一応、対象の情報を集めておくことにしましょう」


「うん、ありがとう!

 私はさっさとやってササッと帰ってくるから、

 シンシアたちは情報を集めるのもいいけど、

 私のためにおいしーい夕食を作って待っていて欲しいわ!」


 そう言って、シンシアにお願いをすると、かしこまりました。とお辞儀をして、

 いつの間に用意していたのか、手に持っていた暗殺用の衣装に着替えさせられるのであった。




*************




 ナツメは宿に侍女たちを残して、キタルダ領の主。

 キタルダ伯爵の屋敷前に来ていた。

 少し宿からは遠い場所にあったものの、目立つためすぐに見つかった。

 だが日はもう大分傾いており、一時間ほどで夕日が見えるのでは?

 というくらいになった頃合である。


「へぇ、ここが伯爵様のお屋敷かぁ。

 やっぱり広いわね」


 ナツメが建物の影から目の前の高い塀に囲まれた敷地を確認する。

 手入れされたはずの庭が雪に覆われて一面に広がり、門から屋敷までの距離も相当ある。

 走って屋敷まで行ったとしても、雪に足を取られるのを計算に入れて、5分は掛かるだろう。

 それだけ屋敷までが遠い。

 単純に、行き来が疲れそうだ。と思ってしまう。


「んー、どうしようかしら?

 まあとりあえず、侵入してみてから考えましょう」


 門や高い塀の付近には、だいたい100m間隔で塀に見張りがいるが、

 ナツメの【隠密】によりばれることは無い。

 ナツメはとりあえず見張りが近くに居ない場所に行き、普通に塀に手を掛ける。

 高い塀とは言っても、3メートルと少しくらいの高さなので難なく登る。


「おお? 一応中にもいるのかー。

 防御堅いなぁ……」


 ナツメが塀をラクラク登りきって、降りる場所を見ると、

 内側にもそれなりに見張りが立っていた。

 やる気の無さそうに立っていたり、談笑しているのを横目に人が居ない箇所を探す。

 その間、平然と塀を上を歩いて探しているが、誰も気付く様子は無い。

 一応、今日の潜入衣装は外の雪に合わせて真っ白にしてみた。

 真っ白忍者である。

 これで雪の白に隠れて、外ならまず気付かれないと高を括っている。


「おっ、ここなら降りれるな」


 ほぼ等間隔に配置されていたはずの見張りだが、

 明らかに居ない場所があった(たぶんどっかでサボっている)ので、しめしめとそこに着地する。

 足が雪に埋まり、転げそうになるのを踏み留まり、周囲を確認。

 特に気付かれた様子もない。


「よしよし、では屋敷までゆっくり行きますかー」


 庭に入ってしまえばこっちのもの。

 外から見た様子では広大な庭には、(まば)らにしか見張りが見えなかった。

 屋敷までの道は雪道だが、今の真っ白な格好であれば、ばれることは無い!

 ザクザクと雪を踏み歩き、別段コソコソ歩く訳でもなくそのまま進む。


「うーん、それにしても本当に寒いわー……」


 身を縮ませて体を震わせる。

 ここはキタルダ領。帝国北部で最も寒い地域なのである。

 季節で言うなら今は秋なのだが、ここでは季節などあまり関係がないのか?

 今は太陽が出ていることが幸いして、凄く寒い程度で済んでいる。


「はぁ~。カルちゃんが恋しい……。

 この寒さをケモモフで乗り切るのも中々悪くないと思うのだけど。

 一緒に寝たら一日中起きられない程だしね……。

 あ、そうだ、コタツとか作ろうかしら?

 ニシルダ領(わたしたちのとこ)もまぁまぁ寒いし、いい考えね!

 後でシンシアにお願いしちゃおう!」


 寒い中、幼い子たちと肩を寄せ合うのも良い。

 コタツの中でロリショタと汗ばみながら戯れるのも悪くない!

 普通にミカンを剥いてあげて、あーん、って食べさせてあげるのも良き!

 まぁ、この世界にミカンなど無いのだけど……。

 果物は高級品だが、孤児院に畑を作り育てているから他の果物で代用しよう。


 暗殺依頼遂行中ではあるが、ナツメの頭にはもう屋敷に帰る事しか頭に無い。

 奴隷屋敷を4件も潰したナツメにとっては、今回の任務も同じようなものだと考えている。

 むしろ、奴隷を引き連れて帰る。という手間が無い分とてもスムーズに遂行できそうだ。



 コタツの事を考えて歩いていると、すぐに大きな屋敷の前まで到着する。

 当然、目の前には見張り複数がいた。

 そして、誰かが訪ねてきているのか、屋敷の前には一台の馬車が停まっている。


「あら? 玄関前に馬車が止まってる。お客さんかな?」


 他人事のように口にする。

 別にこの屋敷に訪れる客など興味も無い。


 ナツメは比較的見張りの少ない屋敷の裏手に回る。

 周囲を確認してから壁に触れ、少しの凹凸を掴んだ。

 そのまま3階ある屋敷の外壁をスイスイ登りきり、雪の積もった屋根に立つ。

 屋根には1メートルほどの雪が積もっており、

 適当に落としたら下の見張りの兵士の頭上に落ちて大怪我だろう。


「うわー。めっちゃ雪積もってるじゃん!

 ちゃんと雪かきしとけよなー。

 屋根が抜け落ちてもしらんぞー?」


 ぶつぶつ文句を言いながら、適当に屋根の中央付近の雪を掘って座れる場所を作る。

 ある程度出来上がると、外からは分からないように回りを雪で囲って座る。


「つめたっ!?

 あー、お尻が濡れちゃうよこれぇ……。

 さっさとやって、さっさと帰ろ……。

 『立体影法師(リアルシャドウ)』!」


 気分が駄々下がりながらも魔法を唱える。

 すぐにナツメの分身が現れて、意識がその分身に移った。

 問題なく分身を動かせることを確認した後は、

 屋敷に侵入するため屋根に向かって魔法を放つ。


「『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』」


 屋根に放たれた炎がドロリと纏わりつき、

 屋根を焼き溶かし、人一人入れるだけの穴を開けた。


 ある程度穴が開くと、中を確認。

 穴を覗くとそこは暗い空洞で、俗に言う屋根裏であると分かる。

 音が立たないように屋根裏にゆっくりと足を下ろした。


「『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』」


 もう一度『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』を使い、今度は巧く屋根裏に小さな穴を開ける。


 穴から中を覗き込むと、どうやら部屋らしくベッドやらタンスがある。

 しかし、パッと見でも判るほど、誰かが使っていた気配が無い。

 あまり物が置かれてないことや、ベッドにシーツが敷かれていない事などから、

 この部屋は来客用の客室であるだろうと予想。

 大きな屋敷ではよくある部屋だ。


 人がいないので再び『粘質なる炎熱(ドロリフレム)』を使い、通れるほどの穴を開けて侵入。

 天井に空いた穴は塞ぐのも面倒なので放置。

 というか塞ぐ方法など現時点では無い。


「とりあえずここは3階よね……。

 はぁ、部屋が多いと困るわぁ」


 大きな屋敷には当然、部屋数が多い。

 いちいち扉を一つずつ開けて、暗殺対象を探すのは手間だろうと、

 これからの苦労を考え、愚痴を吐きながら扉を開いた。



 と、目の前に侍女の姿が……。


「あら、こんにちは」


「ひっ!? ばけも――」



 叫び声を上げようとした目の前の侍女の口を塞いで部屋に引き込み、

 すぐに首を絞めて気絶させる。

 そして、すぐに部屋の外を見て、廊下に誰もいないことを確認。

 ホッと息を吐く。


「ふぅ、危ないわー。

 見られちゃったけど、まぁ特に問題はナッシングね!」



 ナツメは白い衣装を全身に纏い、目元のみを外に出しているが、

 そもそも中身もすでに変身魔法で別人に変身している。

 まあ変身しているのは別人(・・)というか魔物になのだが……。


 今の私は目元のみに変身魔法を行使しており、

 目は『ベリーラビット』というウサギの魔物の目(青い宝石のような大きな目)を参考にしている。

 人型で暗殺者の衣装、唯一見える目元がそんな魔物の目であれば、

 この気絶させた侍女さんが言い掛けた、"化け物"という表現は間違いではないのだ。

 なのでナツメは目撃されてしまっても、人間には見えないので何も問題は無い。


「一応この侍女さんは縛っとかないとね~」


 こういう時のために、紐と猿轡(さるぐつわ)用の布を持参しているので、それで縛る。

 隣にベッドがあったので、ついでに遊び半分でベッドに縛り付けておいた。


 そして何となく侍女服は剥ぎ取ってみたら、あら大変。

 下着姿の女性がベッドで縛られている構図が完成。

 声も出せないようにされて凄い犯罪臭!

 そして初めてやったけど人を縛るのって割と楽しい!

 なんだか気分が高揚しちゃうけど、落ち着こう私!

 今は潜入中なので、帰ってからにしよう。


 ふふ、帰ったら誰にやってあげようかなー。

 縛って好き勝手に弄り倒すのだー!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓悪くないなと思ったらクリックどうぞ
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。