勇者と領主と到着
あらすじ:いざキタルダ領に出発だぁ!
リュード帝国認定勇者、ユウシ・ハヤブサ。
彼は現在、リュード帝国西部の領主ニシルダ伯爵の屋敷に赴いていた。
「ユウシ殿、いきなり呼びつけて申し訳ないな」
そう言うのはリュード帝国の西部、ニシルダ領を統べる領家。
ダルーシニ・ニシルダ現当主である。
領主でありながら筋骨隆々な身体、勇者を前に余裕の表情で白い口髭を触る仕草が元A級ハンターであるという事を感じさせる。
「いえいえ。それでお話とはなんでしょうか、ダルーシニさん」
互いに机を挟み向かい合うように腰を下ろす。
部屋には様々な調度品や魔物の剥製が飾られており、その中で異彩を放つあのザンコクマの剥製もあった。
ユウシはそれに一瞬目を奪われたが少し反応した程度で目の前の男に視線を戻す。
そんなユウシにダルーシニは威厳のある声で依頼を告げる。
「ああ、実は帝国の北部で多くの魔物が出現したらしくてな。ユウシ殿にはそこに赴いて欲しいのだ」
「はい、わかりました。しかし多くの魔物とは……、いったいどうして?」
「うむ、それはわからん。北部の領主は原因を知ってるかもしれんが……。
それに、発生する魔物の中にB級の魔物が見つかったらしい。
まあザンコクマのことなのだが……」
「またザンコクマですか? やはり最近異常に多いですね」
ユウシはここ数ヶ月、一人でリュード帝国の各地を回っていた。
理由は最近多発している強力な魔物の討伐のためだ。
そして、その強力な魔物というのがB級の魔物『ザンコクマ』のことである。
始めは帝国東部でなんと15体のザンコクマが発見された。
B級の魔物は半年に一度見れば多いほうらしく15という数は東部で波乱を呼んだ。
未曾有の大量発生である。
その時はユウシが偶々東部におり、更には帝国東部には常に多くのハンターがいるために事態はすぐに収束した。
しかし、その大量発生を期に帝国南部で6体のザンコクマを発見される。
そして今いる西部でも、4体のザンコクマを見つけ処理した。
いずれもザンコクマの好物であるザンコが自生している森林地帯である事が共通している。
ちなみに西部で発見された4体のザンコクマの内、1体はナツメが惨殺して放置したものである。
「多いどころの話ではないな。
3ヶ月程度で国内で計50以上のB級の魔物が発見されたなど前代未聞だ。
そして今回の北部の魔物の大量発生……関係が無いとは言えん。
原因不明だが今は起こった事に対処するほか無い」
50体以上?
僕が狩り終わった東部や南部には、また出てきているのか?
各地のモンスターギルドは大変だろうなぁ。
一応、僕のほかにも実力者が多くいてくれたら僕もこんなに国中を歩き回らずに済んで嬉しいんだけど……。
「他のA級やB級の方を動員するというのはまだ出来ないのですか?」
「多少だが、うちの領からは派遣している。
しかし多くのハンターたちも各地での対応に精一杯なのだ。
このニシルダ領にはクマの数が少ないから余った戦力を派遣できているが……。
それに現在は東部と北部にクマが集中しているらしい、加えて今回の北部での魔物の大量発生。
北部では元々ハンターが少ないこともあって戦力がまったく足りないのだ」
どうやら自由に動ける余剰戦力が今のところ僕しかいないらしい。
それなら仕方ないよね……。
「分かりました。それではすぐにでも北部に向かわせて頂きます!」
「うむ、すまないな……。
ああ、そういえば、勇者殿は旅の仲間は見つけましたかな?」
ダルーシニに、思い出したかのように仲間探しの話を切り出されたユウシ。
彼は勇者としてザンコクマの討伐という依頼を各領地から受けていたユウシであったが、他の目的もあった。
それは、魔王討伐のため各地で強い仲間を探すこと。
ニシルダに仲間を見つけたかについて問われたユウシは笑顔で首を縦に振る。
「ええ、実はブレイディア森林にてザンコクマ討伐依頼の遂行中に一人でザンコクマを倒す女性を見つけました。
彼女の名前はユリーグル、是非仲間に加えたい方です。
戦いを直接見たわけではないのですが、魔物の死体を見て相当な実力者だと感じました。
しかし……」
「ん? どうしたのかね?」
「いえ……そのユリーグルさんに僕は何故か嫌われていまして……。
どうにか話だけでもと思ったのですが逃げられてしまいました。
彼女の居場所も掴め切れずしばらくギルドにも来ないようで……」
「むっ、そうなのか?
ユウシ殿がやっと見つけた仲間にしたいハンター、是非とも私も見てみたいものだな!
……よし! ではユウシ殿が向こうに滞在している間に私がユリーグルとやらを探して、口添えしておこう」
「え、よろしいのですか?」
ユウシは意外な提案に目を丸くする。
ニシルダはにっこりと笑って、任せろ。と言った。
「ありがとうございます!
では、僕はさっそく北部へ向かいますのでこれで失礼します!」
ユウシは嬉しそうにお辞儀をして部屋、屋敷を出る。
屋敷を出たユウシは一つ溜息を吐いた。
「はぁ、今度は北部か、あそこって寒いんだよなぁ。
雪も降ってるだろうし防寒をしっかりしなきゃな」
ユウシはそういうと、すぐに出発の準備に動くのだった。
*************
リュード帝国北部、キタルダ領。
ナツメは3名の侍女であるシンシア、スペリア、クラリアを連れて、4つほど村を経由して10日掛けて到着した。
現在、目的地であるキタルダ街に入るための検問の最中である。
「お前たちは街に何用だ?」
少し長めの行列に並んでゆっくりと進み三十分ほど待ってようやく検問所に到着。
門の前を陣取る兵士が近づいてきてキタルダ領に来た目的を問いかけてきた。
「観光でございます」
シンシアが一人馬車から降り、兵士と問答する。
すると、もう一人の兵士が現れて馬車の中を確認すると言い出した。
そして「失礼する!」と言い放って馬車の中を覗き、中にいた私たちと目が合った。
「ふむ、女4人で観光か?
まったく護衛も付けず危ないことをするものだ……。
最近、魔物が多く発生している。もう少し用心してくれたまえ。帰るときは護衛でも雇うんだな」
兵士はそれだけ言うと帰っていく。
「あら、こういう役職の方って横暴だとか思っていたのだけど、案外優しいのね?」
ナツメはこの世界にきてから兵士の職に就く者の、横暴っぷりを割と多く目の当たりにしていた。
特にユリーグルに変装している間なんかは門番にいちゃもんを付けられたり道行く兵士に暴力を盾に言い寄られたりといい思い出は少ない。
ナツメが疑問を口にすると向かいに座るスペリアがそれに答えた。
「今、我々に横暴な対応をされなかったのは権力者だと思われたためです。
主様は3名の侍女を連れているため、お忍びで観光をする貴族のお嬢様にでも見えていたはずです。
兵士共は権力にはめっぽう弱いですから」
スペリアはジト目でそう吐き捨てる。
スペリアがそういうように今のナツメは傍から見ると、誰が見てもお忍び中のお嬢様にしか見えない。
侍女を3名連れているだけでなくナツメ自身の服装も目立たないよう地味にしてあるが、シンシアが用意した平民とは思えない高価な材質であることは誰が見ても分かる。
髪や肌を見ても、綺麗に整えられており少なくとも平民とは思われることはありえない。
「へぇ、じゃあ目立つ前にさっさと街に入りたいわね。
とりあえずそれなりの宿をさっさと見つけて昼食でも戴きたいわね~。
あ、スペリア? ちょっと隣に来なさい」
手招きしてスペリアを隣に座らせると、ナツメはパタリと横に倒れて頭をスペリアのフトモモに乗せる。
侍女服はロングスカートであるため、柔肌に直接頭を乗せることが出来ないのは非常に悔やまれる。
なんて考えていると、スペリアはすかさず櫛を手に持ち私の髪を梳かし始める。
「うん、よきかなよきかな~。スペリアも上手くなったねー」
「ありがとうございます。しかしナツメ様……」
ナツメの髪を梳かしながらスペリアは戸惑っているようにも見える。
それもそのはず。
「ん~? なにー?」
「そ、その……。
私の太股をそんなに擦られると、やはりくすぐったいのですが……」
スペリアちゃんはくすぐったさに、どうにかモジモジと耐えながら顔を紅潮させて言う。
止めて欲しそうだがやめないぞ私は。
「えー、そろそろ慣れなさい?」
そう、私は今、スカートの中に手を突っ込んで直に肌を触りにいっている。
この世界の服で主に侍女服なんかの仕事服は、あまり肌触りがよろしくない。
ゴワゴワしているというか、硬いというか……。
私としては、頭の下のゴワゴワが気になっちゃうのでそれ以上に気になるスカートの中を弄ることで、違和感を消す!
痛みを消すにはより大きな痛みを与える! 見たいな理屈と似ていると思います。
それに、なんかエロイ事をしているみたいで、すごく興奮しちゃう!
なんというか……、痴漢してる感?
ほら、車内という名の個室でこんな如何わしいことしちゃってます! みたいな?
意味不明な事を考えながらもしっかりとフトモモの感触を味わうナツメ。
スペリアはナツメに触れられている脚をモゾモゾと動かして、くすぐったさを何とか我慢しているようだ。
「くすぐったいなんて言われてもねぇ~。
こんなにスベスベを触らないなんて手はないよ?」
そう言ってスリスリスリスリ。
頬でも手のひらでもスペリアちゃんの感触を楽しむ。
この旅は正直暇すぎて、侍女たちとのスキンシップばかりだった。
最初は確かゲームやらなにやら持ち込んで暇つぶししてたんだけど……。
長い旅の中で私の体内からビタミンLが切れてくるとそりゃあ矛先はロリ成分を一番に含んでいるスペリアちゃんに向くことになる。
スペリアちゃんも最初は引っ付く私に戸惑っていたが、今ではご覧の通り。
仕方ないなぁ。見たいな表情をするようになった。そしてスペリアちゃんの弱点も発見した。
それがこの変態行為である。
だが、始めはこの行為にビクンビクンしていた可愛いスペリアちゃんも、この旅の間にサスサスしてもギリギリ我慢できるほどになった。
そして今も暇があれば膝枕をして貰い、フトモモを蹂躙するかの如く弄くり回している。
そりゃあもう飽きることは無い。
ちなみに旅の間はスペリアちゃんに膝枕して貰うのだけど、当然シンシアが目を輝かせて羨ましそうに見たりするので、偶にシンシアにも膝枕してもらった。
更にどうせならとクラリアちゃんにもしてもらって、膝枕から見える大きな二つの山脈を、眺めては揉み、眺めては揉み~、を繰り返して楽しんだりしていた。
うん……、今思うと、凄く退廃的な旅だね。楽しかったからいいけど。
「ただいま戻りました。門を通る許可を得ましたので発進します」
スペリアちゃんとイチャついてたらシンシアが戻ってきた。
別に問題も無いので馬車を動かすことを了承する。
そんな感じで特に問題も起こらず、馬車はゆっくりと街に入っていった。




