ストーカーとおっ三
あらすじ:スキンヘッドに売春を求められたので逃げた。
「おっ! はっけーん!」
ナツメがやってきたブレイディア森林。ザンコクマが発見された依頼場所である。ナツメはその森に入って10分ほど走ると目の前には一頭のザンコクマが昼寝をしているのを発見。体長3メートルくらいの黒い体毛を纏った熊で、身体を丸めて日差しの下で実に気持ち良さそうにお眠りしているのである。その姿は何処か愛らしい。
そして私の背後からは……。
「待てやこらー!」
「待たんかい小娘がー!」
「へっへっへーお嬢ちゃん、良い逃げ足だったがこれでお終いだなぁ?」
モンスターギルドの入り口で絡んできたおっさん三人組。略しておっ三。うん……どう転んでもおっさんなんだね。
ってそんなことよりもね? おっ三たちはなんと、私を追いかけるべく街の門で待ち構えていたのだ! なんという執念。そこまで私をものにしたいのかー……。そんなに私に腰を振って欲しいかー……。流石に一人で三名の相手はきついと思うんだよ。いや、一人だけだったらしてあげるわけでもないけどね?
「おっさん達中々しつこいなー。そんなんじゃあ女の子にモテないよ?」
「はっ! そんな余裕こいてていいのかぁ? てめぇは俺たちに囲まれてんだぜぇ?」
「さっさと俺たちと一緒に町に帰るんだなぁ!」
「こんな外まで逃げてまで、危ねぇぞ~、お嬢ちゃん」
うーん、そうだなぁ~。別にこのおっ三たちに恨みも何も無いから気が引けるけど。それに何故か嫌悪感を抱かないのだけど……。こんなところに来てしまったのもおっ三たちの運の尽き。残念だけど、おっ三たちにはこの世からご退場願うか。まぁやるのは私じゃないけども……。
「諦め悪いなー、仕方ない。おっ三のしつこさに免じて私の出す条件がクリアできたら、私のおっぱいの一揉みでもさせてやろう。うん、そうしようそうしよう」
「うっせー! てめぇ今の状況わかってんのかぁ?」
「俺たちに囲まれといて、よく条件なんてだそうと思ったなぁ!?」
「やっぱり頭がイカレてやがんのかぁ? この嬢ちゃん」
「イカレてなんて無いって~、じゃあ条件発表しまーす。私のおっぱいをモミモミできる条件は~? ドゥルドゥルドゥルドゥル~」
ナツメは口でヘタッピなドラムロールを奏でながら、懐から一本のナイフを取り出す。おっ三はそれに警戒するが、ナツメは予想に反してナイフを後方に投げた。後方に放たれたナイフは一直線に昼寝をしていたザンコクマのお尻に直撃した。
うわぉジャストミート! 100点満点ね!
「グルゥブァアァアアアア!?」
ザンコクマはお尻にナイフが突き刺さった刺激で、叫び声を上げながら勢いよく起き上がる。周囲を見渡してナツメとおっ三の居る場所を睨み付けた。
「おい……、あれって!」
「バカやろう! なんて事してくれやがった!?」
「嘘だろ、お嬢ちゃん!?」
「あっはっはー! 私のおっぱいはそんなに安くないんだよね。だから条件はあの森林のクマさんをおっ三たちでぶっ倒して下さいね~。あ、私は当然高みの見物しときますんで!」
そう言ってナツメは側にある大木を軽々と登って、枝に腰掛ける。
「冗談じゃねぇぞ! お前ら逃げろぉぉおおお!」
「助けて神様ぁあぁああああ!」
「女ってこえええぇぇええ!」
おっ三たちは各々叫び声を上げながら逃走、ナツメはそれに手を振った。そしてザンコクマがおっ三を追いかけ見えなくなってから木を降りる。
「よっと。運が良ければ生き残れるだろうし、頑張っておっ三! 例えおっ三が一人だけ生き残ったとしても私は彼らをおっ三と呼ぶこと忘れないよ! ……って事でさっそく私はザンコ探ししよー」
ナツメはブレイディア森林の奥へと足を踏み入れた。
*************
「ひぃ、ひぃ、ひぃ! くそったれがっ! 何で俺がこんな事に!」
ナツメにおっ三というあだ名を付けられた筋肉隆々のスキンヘッド。モンスターギルド『ベルグオール』のC級パーティ『ケルベロス』のリーダー、ザンテは走っていた。
ひぃひぃ、どんだけ走っても追いかけてきやがる! 何でこんな事になりやがったんだ!?
ザンテが走っている傍には、残り二人の仲間の姿はもう無い。彼らはザンコクマの圧倒的重量に押し潰されて死んだ。それでもザンコクマは追いかけるのを止めることはない。未だに目の前で逃走しているザンテを追いかけているのだ。
ザンコクマの速さは人間よりも遥かに速いが、ザンテは持ち前の強化魔法で足を速くして何とかギリギリ逃げる事ができている。しかしザンテの魔力もそろそろ尽きそうで体力も限界に近い。ザンテはもう終わりかと目に涙まで浮かべだした。
くそっ、こんな事になるって分かってるはずなのに! あの女は新入りの癖にどうしてザンコクマの依頼なんて受けやがったんだ! こんな怪物を狩るなんて自殺行為だろうがっ!? まったく最近のハンターってのは頭がイカれてやがるっ!
自分がハンターであることを棚に上げて、必死の形相で逃げていると不意に何かに足をとられた。躓きざまに見るとそれは鎧を着た人間だった。
――どうしてこんなとこに寝てやがる!?
ズザザザと滑る様に転げ回り顔を上げる。すぐそこまでザンコクマが迫るのを見て、もう終わりだと目を瞑った。
「ギャウガァァアアアルアァアア!」
ああ、俺もあいつらみたく踏み潰されて終わりだ……。神よ、次の人生はどうか俺を女を守れるような強いイケメンにでもしてくれや。
ザンテは胸の前で手をギュッと合わせて神に祈った。
「ギャギャアアアルラアアアァアア!?」
…………。
「その願いを叶えるのはまだ早いですよ」
何かが俺の顔に飛び跳ねてきやがった。目を開けてみるとあの恐ろしい熊が斜めに両断。血飛沫が俺まで飛んでいやがった。
「なん、だよこりゃ……」
目の前に立つ男に魔物の両断された隙間から光が差す。逆光で顔が良く見えねぇ……太陽を背にしたそいつは俺に手を差し伸べてきた。
「大丈夫ですか」
「あ、ああ……、すまねぇな」
手を掴み引っ張られてようやく立ちあがれる。礼を言いながらそいつの顔を見る。
なんだぁ? まだガキじゃねぇか! こんなガキがザンコクマを一撃で倒したってのか!?
目の前の笑顔を携えた黒髪の青年。まだ歳が17に成っているのか? くらいの歳に見えた。しかしそんな青年がザンコクマを一撃で倒す強さを持つ。世の中不公平だと思わざるを得ないザンテだったが、そんなのはハンターの世界では良くあること。それに助けて貰って仇で返すつもりは無い、女を脅すが礼は返す、それがこの俺の信条だ。
「本当に助かった俺はザンテだ。礼がしたいんだが、お前は見ない顔だな? 名前を教えてくれねぇか?」
「お礼なんてそんな……僕の名前はユウシ。ユウシ・ハヤブサです」
このガキ、じゃなくてユウシはよく見ると良い装備をしてやがる。どこぞの貴族の息子か何かか? 家名もあるしな。ちっ、これじゃあお礼が出来なさそうだ……。貴族に礼なんて出来るほど金も珍品も持ってない。
「ユウシ・ハヤブサ? ここらじゃ聞かねぇ珍しい名前だな。いや、どっかで聞いたことある気もするが……」
ザンテの言葉を聞いて目の前の青年ユウシは苦笑いする。そして、こう口にした。
「あははっ、そうかもしれないですね。一応僕は『勇者』と呼ばれてますからね」
明日からは4月ですね。
私はシン=シャカイ・ジンという名誉あるノウゼ=イシャ(別名:ロウド=ウシャ)
に生まれ変わるため、どうしても……、どうしても!
小説の更新が遅れてしまいます。
たぶん週一とか余裕でやります。それ以上の事も余裕でなります。
更新を楽しみにしている人なんてどれだけいるか分からないですが……。
とりあえず気力続く限り頑張るます!




