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ストーカーは異世界でも女暗殺者(ストーカー)やってます☆   作者: 後伸季孝
2章 私ストーカーだけど暗殺者です!
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不穏な気配

第2章が始まります。やったぁ!




「おいしい」


 とある深い森の中。

 白のフードを深く被る少女、身体には合わないぶかぶかの裾。少女は手に持っている人の頭ほどの大きさの果実を懸命に夢中に頬張る。白い裾を果汁で散々汚しながら、黙々と食していた。


 中々の美味。これがもっと欲しい。


「う~」


 そう願う少女は不意に小さな唸り声を発して力みだす。


 やがてポンッと一つの大きな黒い卵を産み落とした。少女の身体から出てきたとは思えないほど大きなものだ。小さな少女の体より3倍以上ある。そして黒い卵(それ)はすぐに蠢いてひび割れる。パキパキと殻が割れる音。それと共に中から全身が黒い毛で覆われた、鋭いツメと牙を持つ大きな魔物を生み出された。


「行って」


 少女がその魔物に命令を下すと、その魔物は森を奥へ奥へと進んでいった。それをみて上手くいったとさらに卵を産み続ける。10にも20にも増えた卵を見て、とても満足気だ。


 ぐぅぅううう~~。

 

 しかし、考えなしに卵を産んだためなのか、食べたばかりなのにどうにもお腹が鳴る。どうやらさっきの実は大きさの割りに腹持ちが良くないのかも。でも美味しかったから是非ともまた食べたい。


「むぅ」


 つらい。


 周りを見渡しても、もうさっき食べた実は見当たらない。実っていたものは手当たりしだい全て食べてしまったのだ。


 こうなっては仕方がない。卵から次々と生まれてくる魔物の背に乗る。あの実が生えているところを見つけるのだ。バシバシと魔物の背中を叩く。


「行って」


 魔物に命令を下すと、魔物は少女を乗せたまま移動を開始する。少女は空腹を紛らわすべく魔物の背で睡眠に励む。そんな少女が瞼を閉じる間際に見せた瞳は、目が眩むほどの金色をしていた。




*************




「今度は帝国西部のブレイディア森林で!?」


 帝国南部ミナミルダ辺境伯の屋敷。その応接室で、黒髪の青年は声を荒げた。声と共に勢いよく立ち上がったために、全身を覆う鈍い銀色の鎧が鳴る。それを迷惑そうに見ながらもミナミルダ辺境伯はその青年に淡々と説明を続ける。


「ああそうだ、ユウシ殿。あの魔物は帝国東部だけでなく、私の治めるこのミナミルダ領でも多数発見された。しかし今回もニシルダ領、帝国西部で数体ほど発見された。ニシルダ領にはあの魔物の対処のために多くのハンターを送り込んで貰ったが……。そのせいで現在ニシルダ領に、あの魔物に対処できるほどのハンターは少ないらしい。我々の領地は今は多くのハンターのお蔭であやつを処理できているが……」


「では僕を呼んだのは、ニシルダ領に向かい魔物を討て。そう言う事ですね? ミナミルダ辺境伯?」


「うむ、話が早くて助かる。馬車も用意してあるゆえ早速向かって欲しい。応援も出来るだけよこす……」


「分かりました。このユウシ・ハヤブサ。リュード帝国を脅かす魔物の討伐に向かわせて頂きます! では、僕はこれにて失礼致します」


 黒髪の青年はお辞儀を一つすると、颯爽と来客室を去っていった。



「はぁ、彼は本当に使い勝手が良すぎる。他人のためなら喜んで死地にでも向かいそうだな。人にもすぐに騙されそうなんだが。危なっかしいったらないよ」


 ミナミルダ辺境伯は溜息を吐いて、先ほどの青年を見て不安が込み上げていた。その言葉に返答するように、傍に仕えていた秘書が一言、皮肉を言う。


「だからこそ……魔王討伐なんて自殺行為を嬉々として受け入れたのだと思いますわ」


「はは、まったくもってその通りだね。でも彼の力は後の帝国にとって必要だ。出来るだけ彼が死なないことを祈るよ」


 秘書の言葉に苦笑いしながら、彼は辺境伯としての業務へと戻っていった。




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