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侍女幹部のお茶会

侍女幹部 彼女らはシンシアとナツメから指名された、屋敷でも重要な仕事を担う侍女たちである。

そんな彼女たちも、今日はお休み。

屋敷の小さな中庭で、優雅にお茶会を楽しんでいる。

そんな日常の一コマ。





 とある屋敷の小さな中庭。その中央に設置されている白く丸いテーブル。そこには三名の侍女が腰を掛け、紅茶と洋菓子を楽しんでいた。


 三名はこの屋敷では『侍女幹部』と呼ばれ、他の侍女たちと違い、重要な役目を担っているのである。そんな彼女たちの今日の話題は、自身が仕える主『ナツメ様』についてだった。


「実はね、前の職場でナツメ様にいきなり胸を揉まれた事があったのですよ。ナツメ様の潜入任務先で働いていた頃ですが……」


 そう困り顔で言うのは、侍女幹部の一人『慈愛の牛乳(うしちち)』レーナ・モウンタイン。孤児院の保護を任されている侍女である。レーナはこの屋敷に来る前に勤めていた、ある屋敷の話を始めた。


「私が執務室で掃除をしていたときにいきなりですね……。泥棒に来ていたナツメ様に後ろからガシっと鷲掴みにされちゃいまして。あれはビックリしました、後とても濡れちゃったし……」


「ぬ、濡れたぁ!? ナツメ様はテクニシャンだったっちゅーことかいな!」


 聞きなれない言葉の訛り? で驚く彼女は、『守銭奴』リリエラ・バンカー。屋敷で金を管理する役目を担う、侍女幹部である。


「ナ、ナツメ様が直接ですか……それは相当、気持ち良――た、大変でしたね!」


 微妙に羨ましそうにレーナを見ていたもう一人。先日ハーミィの部屋での独りプレイがナツメにばれてしまった『高身長三銃士』リーダー、ルルー・ソロプレー。屋敷では侍女長補佐として様々な仕事をしているが、やっていることは主に侍女の仕事の割り振りとハーミィ専属の世話役である。


 そんな二人の反応にレーナは、思わぬ勘違いさせてしまったと慌てて訂正する。


「み、皆さん、違いますよ!? 濡れたのは、服のほうです! 母乳が出ちゃいまして……」


「ぼ、母乳?」

「そういえばレーナは牛人種やったからな~」


 そう、レーナは牛人種である。彼女たち牛人種は適年齢期に入ると、胸が大きく成長し甘い母乳を出すようになる。母乳は一週間に一度、搾乳を自分で行い処理しているが、レーナがナツメに襲われた時期は、搾乳から4日目、割りと溜まっていたのだという。牛人種は意図的に乳頭を閉じることで母乳の出る出ないをある程度コントロールできるが、ナツメの執拗な責めにより我慢できなくなり母乳を発射。メイド服をびしょ濡れにしてしまう結果となってしまったのだ。


「はい、そうなんですよ。あまりに、その……、よくお触りになられたものですから。メイド服がびしょ濡れになってしまいまして、ナツメ様がそれに驚いて走って逃げて行ったんですけどね。はぁ、本当にその後が大変でした……」


 その後レーナは、執務室にきた別の侍女に保護されたが、ハロルダス様の重要書類が盗まれたと分かり、あれよあれよという間にハロルダス家は没落。私は行く当てないまま途方に暮れたというわけだ。ハロルダス家で働いていた人たちは、次の仕事先を決めて行ってしまったが、私は獣人。


 あまり獣人を良く思っていない者が多い帝国では、受け入れてくれるところはありませんでした。今思うとハロルダス家はよく獣人の私を採用してくれたなぁと思いますね。遂に金も尽き果てどうしようか迷っていたところに、ナツメ様が見つけてくれました。


 「あ、あの時の母乳の侍女さんじゃない!?」


 そう声を掛けて頂いた時は、何を言っているの? と思いましたし、あの乳揉み没落事件(私が言ってるだけ)を引き起こした犯人だと分かったときは、怒りを覚えましたが……。


「でも結局。元々仕えていた所は酷い不正行為と賄賂で没落。帝国内で怪しい薬を販売して、侍女たちにも配っていたらしいですし……。ああ、私は入ったばかりで貰っていませんでしたが。まぁ、国から目を付けられていたそうですし、いつかは没落する運命だったようです。それが少しばかり早まっただけで……」


「じゃあナツメ様に拾って頂いてよかったですね! 今は孤児院での仕事が主ですし、なんでも牛人種の女性の皆さんは子供の世話が一番好きだとか? だったらもう天職じゃないですか!」


 本当にその通りです! 私たち牛人種は子供さんもお世話に掛けては一流を自称してもいいくらいで、元々ハロルダス家に仕えていた頃は、子供の侍女見習いの面倒を見ていたほどです。ナツメ様も子供好きのようですが私だって負けてません!


「そうなのです、仕事を紹介されたときは涙を流して喜びました! まさかナツメ様が孤児院に多額の寄付をして、孤児院に入り浸るほど子供好きだったなんて予想外でした! この屋敷だって孤児院がすぐ傍にあるから購入したとか聞いていますし。ナツメ様は相当な子供好きです! 子供が好きな方に悪い人はいません!」


「そうやなぁ、うちも勤めた初日の仕事分担で"孤児院で子供と遊ぶ"があった時はたまげたわぁ」


「そうですね、ナツメ様の子供好きは本当に凄いです。安全のために孤児院と屋敷のあらゆる角にクッションを付けて、走ってぶつかっても怪我しないようにしてますし……。毎日ローテーションで子供たちが屋敷に泊まりに来ますしね!」



 ナツメの子供好きの話が続いていくと、そこから話はナツメが子供たちのために作った遊び場の話に移り変わった。


「そういえば、ナツメ様って斬新な遊び場も作られますよね! 確か、サバゲーフィールド? でしたっけ? あれ凄いですよね、楽しいです!」


 ナツメが考案した『サバゲーフィールド』。

 屋敷の角部屋を二つぶち抜いて、外との壁も取り壊して作成された大型の遊び場である。障害物を多く配置して、2チームに分かれたチームが隠れながらナイフを投げ合う遊びである。ナイフは木製で中身をくり抜いて安全性を確保されており、大人も子供も遊べるものである。


「あれなー、確かに楽しいけどもや。あれって遊びにも訓練にも使えてしまうってところが恐ろしいところやで。隠密や投合、隠蔽のスキルが簡単に上げれてしまう。遊びながらに子供を暗殺者に仕立て上げることが可能や」


「そ、そうなんですか!?」


「え、じゃあ裏庭にある子供用の遊具。確かSASUKEE(サスケェ)でしたっけ? あれも子供も大人も遊べるように設計されてますけど、もしかして……」


「そうやなぁ。明らかに訓練施設やろ、あれは……ナツメ様はこの屋敷を暗殺者育成所にでもするつもりかいな?」


 確かにあの訓練施設は凄いです。運動音痴な私には無理でしたが、子供の遊具としても優秀なのに……。侍女さんたちの訓練にももってこいです。シンシア侍女長は流石にやりすぎだと思いますけど。でも子供たちは普通に楽しく遊んでいるところを見てると、別に暗殺者育成をしているわけではないと思いますが……だ、大丈夫ですよね?


「でもナツメ様はやっぱり子供の遊び場として提供しているつもりでしょうから、私たちが勝手に訓練施設だ何だと言うのはどうかと……」


「いや、でも残念ながら子供たちが居ない時間なんかは、もう侍女たちの訓練施設と化していますからね。侍女長なんてずっと遊んでるじゃないですか? もうそろそろあの施設で鍛えられて、人間を超えた動きをしそうですね!」


「せやせや、あのナツメ様信者(侍女長)はナツメ様が作ったものを何でも喜ぶからなぁ。それに噂では侍女長がナツメ様に進言してSASUKEE(サスケェ)の第2ステージ? ってのを侍女長とナツメ様で考案中らしいわ。子供用ではなくて侍女用のちゃんとした訓練施設らしいで……どんな恐ろしいものができるのやら……」


「第2ステージですか……侍女長はスパルタ重視ですし、ナツメ様も天然でドSですから。子供用でないとなると、容赦は無さそうですね……」


「うっ、そ、そうだね……」


 ルルーは先日の事件からナツメに責められた事を思い出して小さくなるのであった。





あと、2話か3話くらい書いたら、第2章が始まりますんで。

それまでは平和な日常回でも読んでおくんだな!

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