ストーカーと決起会
あらすじ:ハーミィちゃんとギルドに通勤してた。
ハーミィちゃんと探偵ギルドに着くと、マスターの部屋にお呼び出しされました!
ぐふふ〜、ナニをされるんでしょうね! またコルンくんと二人きりで個人レッスンしたいなー。ヌレヌレビチョビチョ(汗)の密着レッスン、楽しみです。待っててね! 私のコルンくん!
「……で、君だよね? 奴隷屋敷襲撃事件の犯人って?」
おう、出会って3秒で合体! ではなく、出会って3秒で犯人確定されたぜぅ。なんてこった。
互いに向かい合って座っている私とコルンくん。コルンくんは呆れた様な表情。私は身体中、ヌレヌレのビチョビチョです。主に冷や汗で……。
目撃者もいなければ証拠もすべて私が持ってます。これを完全犯罪と言わずなんという! 状態だったはずなのに何故バレた!? いや私は今、カマを掛けられているだけだ! 私のこの完全犯罪。たかが名探偵ごときに解けるはずなし!
「な、なにを言ってらっしゃるんでしょうか~……。あはは~、やだなぁマスターったら、お・ちゃ・め・さん☆」
誤魔化すようにコルンに近づいて頬をつんつんと突く。しかし、コルンの呆れ顔は直らない。
「いや、お茶目さんなのはナツメ君のほうだと思うけど……。たった3週間足らずで4つも奴隷屋敷を襲撃して、証拠も奴隷も残さないで痕跡も綺麗に消すなんて芸当。僕でも出来ないのに、僕以上の能力を持つ君以外が出来ると思うかい?」
な、なるほど。盲点だった。逆に誰にも出来ない犯行であったが故に、私の犯行であると分かってしまったと……。くっ、なかなかやるじゃないかコルンくん。ならばよかろう、私もとことん戦ってやろうじゃないか!
「い、いや~、案外そこらへんにいるんじゃないでしょうか? 我々の与り知らぬ所で暗躍する秘密結社辺りで……」
「ナツメ君……、頑張って言い逃れでもしたいんだろうけどさぁ。君の家にいる侍女たち。あれを調べればすぐにばれちゃうからね? 誤魔化しなんてしなくていいからさ。さっさと認めてくれないかな?」
「うぐっ……」
なんてこった。まったく証拠も何もありゃしないのに、侍女たちも白をたぶん切ればばれないと思うけど、何故か物凄い追い詰められている感。これが探偵に追い詰められる犯人の気持ちか……。
てか呼び出された時点で、これ私が犯人って確定されてるよね? なんか言い逃れできそうもないし。これって、やばい?
「……も、もし、もしそうだとして。コルンくんは私をどうするつもりなの?」
一応これは聞かなければならない。捕縛隊に突き出すとか言われたら、即逃げしないといけないし。最悪亡命する必要もある。嫌だけど、私がした事って重大事件だからね。
「そうだね。君の起こした4件の奴隷屋敷の襲撃、どれも大きな犯罪だ。君が考えている以上にね。事件発覚当初は、奴隷制度に反感を持つ複数犯の犯行と思われていたけど、あまりにも目撃情報が無いのが、逆に単独犯の可能性を示唆することになったね。まあ、一月以上も前の話で、最近は発生しないことから、狙われた奴隷商人個人に対する恨みではないか。と最近は言われてるようだけど……。それでも、そこそこ繁盛してる奴隷屋敷は未だにビクついている。不安を拭うために、僕たちに舞い込んでくる犯人探しの依頼も一つ二つではないんだよ? それも超高額な報酬付きだ」
「は、はぁ……?」
私の処遇を聞いているのに、事件の詳細について話されても……。って感じで聞いていると、コルンが問いかけてきた。
「でも僕たち『イルスフィア』はこの依頼を保留している。どうしてか分かるかなナツメ君?」
「い、いえ、まったく。どうしてですか?」
もう言い逃れ出来そうに無いし、目の前のショタが可愛いから、もう難しいことは考えず黙って眺めて話を聞いていようと思っていた矢先。不意に問いかけられたので依頼を断った理由を考えることなく即座に聞き返す。
「おい、ちょっとは考えろよ……」
そしたら、ハーミィに横からダメだしされた。
「いや、別にいいよ。依頼を保留している理由だけどね。それは僕たちのギルド『イルスフィア』は君を欲しているからだ! 例え犯罪者であったとしてもね」
…………。
ええ!? いきなりそんな大胆告白っ!? それに奴隷屋敷襲撃事件の犯人。つまり犯罪者の私を見逃してまで、私を求めちゃうなんて! 名探偵すらも夢中にする私の魅力が怖いっ! でも、でも! 私は……。
「え、わ、私が欲しいなんて! マスターも隅に置けないですね! でも私の身体は全世界のショタとロリの物なので、独り占めにはまだ早いゾ☆」
そう、私を独占なんて許されないのだ、一夫多妻ならぬ多ロリショタ一妻! うわ、語呂悪っ! つまり私は一人の幼子に縛られぬのだ! ただコルンくんに求められたら……。きゃっ! やだ、抗えないわ! 遠慮なくご奉仕(性的な意味ではない)してしまいそう!
「いやそういうことじゃなくて……。まったく、君と喋ってたら締まるところも締まらないな」
「てか、ショタトロリってなんだよ?」
「まったく、不思議な人を引き込んでしまいましたな……」
うん? なんかいい話っぽく締めようとしてるけどさ。この話って犯罪者である私の行いを見ないフリをしてギルドに引き入れるって話だよね。いいんすか? めっちゃ迷惑掛かってないですか? あとユベ爺さんいたんですね。すいません気付きませんでした。
まぁ結局、私が欲しいコルンくんが無事、私を手に入れたということで話は終わった。さらに、どうせばれたのならと屋敷の侍女たちと孤児院の子供のために、資金提供をお願いしたら快く了承していただいた。さすがマスター。一生ついていきます! なので今日は久しぶりに一緒のベッドで寝ましょう! とか言ったら、顔を赤くして罵られた。なぜだ。
*************
なんか私の本当の仲間入りが決定した事を祝して、ギルドの地下で決起会? をするらしい。
なんだ本当のって? すんごい意味深、そして何を決起するんだ? よう分からん。ちなみに割と広いギルドにまさかの地下空間が広がっていて、たぶん運動会が出来るほど広い。秘密基地感出てて、正直カッコいいと思った。
そこに集められた『イルスフィア』のギルド員総勢43名(マスター含む)が揃った。ナツメは集まったギルド員たちを眺める。
ギルドの人、結構いたんですね。
あっ、あの人、侍女たちのメイド服を全て仕立ててくれた、服屋のお姉さんじゃん! あ、あっちには食料を大量購入した時めっちゃ安くしてくれる、肉屋のおっさん! あれは、娼館通りで接客してたエロい格好のお姉さん!? 皆『イルスフィア』のギルド員だったの!?
「はい皆、注目!」
マスターそう言い放つと、ギルド員は一斉にマスターの方へ向く。というか元から皆姿勢を正して、向いていたのだけど……。私はマスターの傍にいて、慣れない真面目な雰囲気に居心地が悪い。視線も結構こっちに注がれてて恥ずかちぃ! 隣でモジモジしてる私を余所に、コルンくんは実に堂々とした立ち姿で演説を始める。
「遂に待ち望んでいた44人目のメンバーが加入することになった。彼女を知ってる者もいるだろうし、今日始めて会う者もいるだろう。彼女はナツメ・ヒダカ。皆も知っての通り二月前に発生した4件の奴隷屋敷襲撃事件の犯人だ!」
「ちょっ!?」
ナツメの軽い紹介をされて終わりかと思ったが、重々しい爆弾を投げてきやがった。そんなこと暴露しちゃって大丈夫なんですかね!?
しかし、ナツメの心配を他所に、目の前のギルド員たちは関心した様子である。ハーミィちゃんは自慢げな顔をしており、ユベ爺は無表情。それ以外のギルド員は概ね、やるじゃねーか! みたいな感じの顔してる。と思う。娼館通りのお色気姉さんも、やるじゃなぁーい! ってエロい顔で呟いてる。目の前に犯罪者がいるって言うのにこの落ち着きよう……なんなん?
ナツメがギルドの反応に困惑していると、コルンが続けて話し始める。
「じゃあ、遂に大型新人が加入してきたということで、我々探偵ギルド改め、暗殺ギルド『知性の神の拠所』の目的を再確認したいと思いまーす!」
えぁ、コルンくん? 今なんて?
「我々暗殺ギルド『イルスフィア』は、ギルド員44名になった今日を持って! リュード帝国にとっての氾濫分子となり、必ずやこの腐れきった帝国を滅ぼすことをここに誓う!」
「「「承知いたしました、我等がマスター!!!」」」
私とコルンを除く42名が一斉に平伏し、予め台詞が決められてたかのように高らかに唱える。
「ふふっ、ナツメ君。これからは暗殺ギルド『イルスフィア』のメンバーとして、僕と帝国を滅ぼしてくれるかい?」
私が唖然としているとコルンくんがこちらを向いて、物騒な言葉を投げかけてきた。
…………はい?
まさかの展開についていけない。常人には追いつけなさ過ぎる! 暗殺ギルド? 氾濫分子? 帝国を滅ぼす……?
よく分からない言葉が頭をグルグル駆け回り、ナツメの頭はショート寸前。辛うじて捻り出した言葉も、場の雰囲気に逆らえず仕方なくこう言う他なかった。
「しょ、承知いたしましたー。我等がマスター」
やべぇ、凄い棒読みになってるわー……。ギルドの皆の温かい視線が痛い。コルンくんも何やら満足そうにウンウンと頷いている。なんだこれは……。
うん、なんだこれは……?
何がともあれ、私は名実共になってしまった。
私ストーカーだけど、異世界で暗殺者になりました!
なんでこうなった!???
はい、タイトル回収しました。
この話をもって、第1章の終わりとなります。
第2章からは、何かしらの事件を起こしていきます!
でもその前に「1.5章」としてナツメの住む屋敷や孤児院の話を数話ほど作ると思います。




