ストーカーと豚
あらすじ:よっしゃ! 初バトル勝利だぜ☆
「ぶふぅ、こいつらもやっと売れやがったなぁ。しかも900万なんてぼったくりもいいとこじゃねえか。まぁ、言ったのは俺だが……ぶっふっふ、笑いが止まらんわ!」
ナツメに売れ残りの奴隷14体を900万リュードで押し付けた男。奴隷商人、ボリーオは今日会った令嬢をバカにしたように嗤う。
奴隷どもは身だしなみが綺麗なお嬢様に買われると喜んでいたが……。まぁあれだけの容姿で艶のある黒髪と肌。あの薄汚い奴隷どもを900万も払って買うような常識知らずも、世間を知らない貴族の令嬢であることは確実だろう。
しかしまぁ、あんな高圧的な性格のお嬢様だと奴隷どもは苦労するだろうなぁ……。我侭に付き合わされて、気に障ると殺されるんじゃないか? ぶっふっふ、ご愁傷様だの!
しかし、俺を見る目だけが気にかかる……。あの女、俺を殺したいのか? ってくらいに睨んできやがるからビックリだ。怖い怖い。俺が気付いてないと思ってるのか、顔を合わせたらニコニコしやがるくせに……。まったくムカつく女だった。
どうせ奴隷商人なんて見るのも吐き気のする汚い汚物のような仕事なんだと思ってやがるんだろうな。くそったれが! 俺たちがいて初めて奴隷が買える事を知らん血統だけのゴミどもが!
だが、ああいう傲慢で我侭な女を奴隷に落とせたらどれだけ愉しいことか! くっくっく……。奴隷にされて睨むことでしか抵抗できない屈辱、成す術も無くプライドをズタズタに貶される屈辱、それを味わわせてやりたいものだ。
もし明日、金を持ってこなかったら絶対に探し出して、どんな手を使っても奴隷にしてやる。金を持ってきたら、奴隷を買った帰りに攫って奴隷にしてやる。どっちみち奴隷にしてやる! なんてな……。
…………。
……いや、それもいいかもしれないな。ここの奴隷も俺好みの奴は売れて行っちまったからなぁ……。俺が楽しむ分が無くなっちまったし、売れ残りで処理するしかねぇのが辛いとこだ。毎晩、家畜みたいに犯される奴らを見るのは愉しくて仕方ない。奴隷共の俺を呪い殺すような憎悪の眼は、見ててゾクゾクしちまう。ただ、あいつらは正直飽きちまったからなぁ……。
それだったら、危険を冒してもあのお嬢様を攫っちまおうか。ぶっふっふ、決めた! 決めたぞぉ! ぶふっ、早速明日に備えて人攫いでも雇っておくか……。
ボリーオは名案を思い付いて愉快になり、今日来た令嬢を思い出して下腹部を熱くする。
「明日が愉しみになってきたなぁ~! ぶっふっふ。あー、想像するだけで興奮してきやがった。とりあえず奴隷で一発処理しておくか」
「でも、その奴隷って明日お客様に渡すんですよね? せっかく綺麗にした奴隷をまた汚して良いんですの?」
「ああん? 構わねぇさ。どうせ明日来るお客様は奴隷を買っても買わなくても、店を出たら攫われちまうんだからなぁ!」
ぶっふっふっふ。
あのお嬢様は攫われて俺の玩具に成り下がっちまうだろうなぁ。奴隷として売るのは散々楽しんだ後だ! 貴族であの容姿なら一人で1000万リュードは固いだろうしな。いや、オークションにでも出せばもっとつり上がるだろう。それこそ1億、2億リュードを超えても出す奴もいるかもなぁ。ぶっふっふ。いや、処女じゃなくなるからそこまではいかねぇが……。
「そうですか、それより奴隷商人さん? どうやってその興奮を治めるんですか?」
あん? 何言ってんだこいつ、てか俺は誰と話してんだ? ボリーオがこの状況をおかしく思い始めた頃に、しかしその女に下品な返答をする。
「そりゃあおめぇ、奴隷の穴に俺のこのブツでも突っ込めば……ってエアァエ゛!?」
ボリーオが自慢するように下半身の大きくなっていたブツを弄ろうと目をやると、有るはずのモノはさっぱりと消えて、ボリーオの足元には昂ぶったまま切り捨てられた物体が転がっていた。
「ぎゃああああ!? 俺の! 俺の!? 切り離されてるぇっ!? いてぇええええええ! いてぇえよぉおおおお!」
あまりに絶望的な光景にボリーオは痛みに、大量の冷や汗を垂れ流し床に転がって股間を抑える。
「ぐぅがぁぁあああああ! てめえかぁぁあああ! よくも俺のチン――モグルガッ! グボォッ!?」
この状況を作り出した元凶であろう、背後からの声の主に怒鳴り声を上げると、しかしその叫びは途中で中断された。|男性器の名称を叫ばれそうな危ない《ちょうどいい》タイミングで、女はボリーオの大きく開いた口に布を突っ込み、声を出させないようにさせる。そして、そのついでとに言わんばかりに蹴りも腹に入れられた。ただ、別に男性器の表現に配慮したわけではない。
「五月蝿いぞ豚。もう一生使われないクソチ○コなんか気にしてる暇あるのですか? それにあなた、奴隷に余程酷い仕打ちをしてるらしいですね? 私は非常にムカついている。ただでは殺さないよ? 楽しみにしててね?」
床に転がされたボリーオの髪を無造作に掴んで顔を向け目を合わせる。口元を黒い布で隠したその女は、目元を見ると笑みを浮かべているんだろうと判るが、光の無い黒に染められた眼が、静かな怒りがボリーオに向けられていることが嫌でも分かる。一瞬にして恐怖の現場となったこの場で、彼はただ悟った。
ああ、これから俺は地獄を見ながら死んでいくんだろうな……と。




