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私立調査班  作者: ふりまじん


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2/7

田園


本日の菓子は梅餡生菓子。庭の梅を見ながらゆっくりと堪能してほしい。 終わりました。

パックリと一口。秒で終わりました。

一瞬、時が止まったような驚きが体を駆け巡ります。

そんな私の気も知らず、作者は愚痴りだしました。

「もうさ、なんだろうね。3年は擦り続けて、なんでネタが枯れないかな(;ω;)乱歩の『悪霊』もう、熊浦編は終わったんだから、もう、いいんだよね。新たな真実っぽい何かって。」

作者はぼやいて、そして、苺大福に手を伸ばそうとしました。その時、つい、私がそれを反射的に取り上げました。

「あっ。何するのよ!!」

「すいません。でも、少し食べ過ぎではありませんか?」

そう、私の作者は血糖値が気になるお年頃。そんなにパクパクと甘いものを口にしては体に毒です。

「食べ過ぎ?って、こんな500円玉みたいな小さな和菓子を1つ食べただけでじゃないの。」

作者は叫ぶ。

「この菓子は、姿形を愛でながら少しづつ、お茶とともに味わうように作られているです。それを、グミか一口チョコでも食べるように口に放り込むなんて!第一、血糖値が気になると前に言ってたじゃないですか。貴女には長生きをしてもらわないと、未完を放置で小説も自分の人生もエタるなんて、ギャグにもなりませんからね。」

「うるさいわね。大丈夫よ。多分、私、頑張ってるもん。」

と、トーンダウンしながら作者は言って、ダージリンをゆっくりと飲むとおかわりを要求してきました。

私は黙って紅茶を注ぎながら、やはり、何か、心が慰められるような曲を演奏しようと考えました。

春の雨静かに、そして、しとしとと庭に降り注ぎます。

私は黙ってピアノの前に座りました。


ベートヴェンの『田園』 少しメジャーすぎる気もしますが、ここは少しPOPな現代風にアレンジしてみましょうか。

この『田園』は音楽で風景を描いたような作品だと言われています。

ハイドンの仕様を真似したなどど言われもしますが、そうだとしても作品の美しさを損なうことない名曲なのです。

こんな風に自由で開放的に物語を作者にも楽しんでもらいたいと私は思うのですが。



「あーあー。もう、嫌になるわ。絶対、この作品には魔物が住んでいるのよ。」

作者は私が演奏をしている間にインスタントコーヒーを自作して飲みながら叫びました。私は少し困りながら、でも、ただ、曲を演奏しました。

「本当に。『悪霊』なんでこうも、色々と出てくるかな(><) 柳田國男の事なんて、調べてる場合じゃないのに!!!気になるぅ。」

作者は頭を掻きながらボヤく。私はどうしたらいいのでしょう?演奏を止めるべきでしょうか?それとも、引き続けるべきでしょうか?」

混乱する心で作者を見つめていると、作者はいきなり立ち上がりました。何をする気でしょうか?

心配する私の横で、作者は手足を動かして、運動?ではなく、どうも、踊りだしました。ああ、末期症状です。でも、踊っているのですから、ここは演奏をやめるわけにもいきません。

少し、アップテンポに変えて、明るい雰囲気を加えてゆきます。すると作者はそれに合わせて、まるでドラマのセリフのように不満を語り始めます。


「本当に、これ、もう、3年くらい擦りつづけて、なんでネタがなくならないんだろう?

ここに来て、柳田國男を調べてる暇なんて私にはないのに。

柳田國男が西洋に留学したり、なんか仕事してみたり、そこにスピチュアルな関係があるなんて、気にしてなかったわ。でも、未完2をこれから完結させて小銭儲けをしようとする私には無視もできないわ。

ああっ、全く。

ねえ、時影、知っている?柳田國男って、森鴎外とも知り合いだったらしいわ。

ここで、また、変なつながりを見つけてしまうわ。19、20世紀初頭の西洋の文化人は、少なからず秘密結社やオカルトと関係してるのよ?それも、ドイツ。

フリーメーソンとかイルミナティとか、そんなんが闊歩していた時代よ。

そういえば、ベートーヴェンも関係があったわね。」

作者の言葉に曲で答えます。

ベートヴェンの『喜びの歌』 この曲の歌詞はフリードリッヒ・シラーのものだと言われていて、シラーはフリーメーソンと関係があり、この曲にメーソンの秘密が隠されている、などと噂もありました。

「あーあ。もう、こんなことをしてるから話が未完になるのよ。私、こんなものに関わっていられないわ。でも、調べたくもあるの!!ああ、こんな時、私の代わりに調べる人がいたらいいのにって思うわ。

お金ないけど。

金はないけれど、でも、ネットの世界では閲覧数には価値があるわ。

そうよ。私の話にはそんな、すごい価値はないかもしれないけれど、柳田國男の話なら、知りたい人はいるんじゃないかしら?この辺り、知りたい人を集められたら、調べてくれる人、出てこないかな??

動画サイトのミューチューバーとかさ。

そうね。小説書いてるんだから、なんか、新しい仕事を考えよう。

なんか、小説の謎を探してくれる職業を考えよう。うん。最近、また、SFミステリーのブームが来そうなんだよ。だから、こういった秘密を探る人の話って、いける気がするんだよね。

私が、人を集めて秘密を調べたいのは、金がないってのもそうだけれど、個人ではなかなかできない事柄もあるのよ。相手にされないし、公共性もそうないし。

だから、一般ではみられないようなのものを特別に取材できるそんな権利が欲しいって思ったもん。

それだけでも、書籍化とか、出版社と関係が欲しいって、それは今でも少し諦めきれないの。

それに、動画サイトとか、知識系で何かをネットであげてる人とかの中にもそういう欲求がある人はいると思うのよね。

そこをなんかで繋げてさ、

例えば、小説サイトとかで、年に一回、そういう疑問や取材の依頼を1つ、採用してさ、そういう人に頼んで代わりに調べてもらうのよ。

そうね、『私立調査班』なんて名前はどうかしら?大学生のちょっと変わったアルバイト、みたいな感じでさ。どうかな?」

作者の声が少し明るく変わりました。なんだか、嬉しく、そして、なんだか心配にもなりました。




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