ジェミニの一回戦
私たちがと言うよりも私が圧倒的な勝利を納めた舞台には今、アスカとヤヨイの兄弟、その二人に向かい合って槍使いと片手剣使いが立っていた
「二人とも前衛タイプ?」
先程私が戦った二人組は前衛が盾使いの男で後衛が魔法使いの女性といった風に明確に分けられていた
それに比べて今回舞台に上がっている二人は武器の性質的に考えて両方が前衛用の武器だ
アスカとヤヨイはアスカが無手、ヤヨイが杖持ちで魔法使いっぽいのでおそらくアスカが前衛でヤヨイが後衛なのだろう
審判が先程と同じように長ったらしいルール説明を終え、試合開始の合図がなる
ジェミニ側は予想通りにアスカが前に出てヤヨイが一歩後ろに下がった
相手側は両方が一気にジェミニ側に走ってくる
アスカは槍使いは無視して剣使いを・・・・
「ってええっ!?」
無視された槍使いも無視されるとは思っていなかったのか呆然として一瞬動きが止まった
「油断大敵です」
その槍使いの脇腹を杖で突き、槍使いにダメージを与えたのはさっきまで後ろにいた筈のヤヨイだ
「あれ?ヤヨイちゃんって後衛じゃなかったの?」
「これがジェミニの試合での戦い方ですよ」
さっきの槍使いと同じように呆然として固まってしまっている私にクリスさんが説明してくれる
「前衛1、後衛1の相手ならば前衛と後衛に別れ、前衛2の相手ならばこちらも前衛2で動くそのためにヤヨイさんは魔法と杖術をどちらも使うことが出来ます。更にヤヨイさんのすごいところはそれだけではなくて・・・・・」
「付加スピード、パワー!」
「何あれ!?」
ヤヨイちゃんが呪文を唱えると目に見えてアスカの動きが早くなり、一撃の威力も高くなっているように感じる
「付加ですね。結さんのお兄さんも使うことができる魔法です。ただ、結さんのお兄さんの付加と違ってヤヨイさんの付加はどうやら対象の人物にステータスを増加させる付加のようですが」
「ちなみに兄さんの付加ってどんなことができるんですか?」
「彼の付加は武器や盾、物質に対して発動することができ、それらに魔法属性を付加していましたね。彼の付加とヤヨイさんの付加はどちらも一長一短といった感じで比べることはできませんが」
そうこう話しているうちに試合はかなりの大詰めを迎えていた
剣を持っていた人は既にアスカによって場外10秒ダウンで退場させられていたし、槍使いもアスカの手元に入り込まれての連打や2対1になったからなのか後衛に戻ったヤヨイの魔法を受けていつ倒れてもおかしくない状態になっていた
「くっ!?なんでだ!?なんでなんだよ!?」
槍使いの男が何かさけんでいるが何かおかしいところがあるのだろうか?
そう考えて試合を見ていると不思議なことに気づいた
「段々と・・・・槍使いの動きが鈍くなっている?」
そう、最初槍使いも最初は付加を受けた状態のアスカ相手にもある程度打ち合っていたし、懐に入られる確率も低かった
しかし、今ではかなり懐に入られ、好きなように殴られ続けている
「一体なんで?」
「それはジェミニの固有能力ですね」
私の疑問にまたしても答えてくれたのはクリスさんだった
「ジェミニの能力、対象の能力を上げる付加と対象の能力を下げる呪詛。ジェミニとなるべき二人は生まれつき対象となります。片方が男ならばもう片方は女に。片方が活発ならばもう片方は静かに。また、片方が感情的ならばもう片方は知性的となります。それと同じようにジェミニの能力自身も対となっているんです」
説明を聞いてようやく理解した
おそらくアスカがわざわざ武器を使わないのは呪詛の発動条件が素手で触れていることなのだろうだからこそわざわざ武器を使わずに無手で戦っているということか
「ってあれ?どうしてクリスさんはジェミニのことをそんなに詳しく知っているんですか?」
「さぁ?それはまだ秘密としておきましょう」
疑問を感じて投げつけたがクリスさんにはスルーされてしまった
「そこまで!」
そのタイミングで試合が終わり、勝者はジェミニの二人だった
「さてと、明日は楽しみにしてるぜ」
「明日はよろしくお願いします」
二人はそう言うとそのままこの場をさっていった
「私たちももう休みましょうか。明日の試合に疲れを残すわけにもいきませんから・・・・とは言っても私は戦ってないので休むのは主に結さんですが」
少しまじえられた冗談に苦笑しながら私たちも宿屋に向かって歩き出した
ー???視点ー
「ふん、ジェミニも新しい暗殺ターゲットもあんなもんかよ・・・・あれなら俺だけでも簡単に殺せるぜ」
「そういうな、二人でやれという命令なのだからな。そら、試合が始まるぞ」
黒ずくめの男たちはそう言って舞台へと上がっていった
その試合は今までの試合の記録を大幅に塗り替え、15秒とかからずに終わった
開始と同時に黒ずくめの男たちの相手が場外まで飛ばされ、そのまま10秒カウントが成立してしまったからだ
結たちが巻き込まれることになる波乱はすぐそこまで来ていた




