ナナシの戦い
※ナナシ視点
魔王であるシュシュの話を聞いてから一年、俺はタウラスやキャンサーと共に修行に励んでいた
何時もなら一緒にいたヒカリと修行の間は別行動で少し寂しかったのは秘密だ
まぁ、修行と言ってもタウラスやキャンサー相手に戦い続けるというだけのものであったが俺はかなりレベルが上がりもう3割程度の力しか出すことの出来ない二人なら2対1でも圧倒できるくらい強くなった
しかし、それに比べてヒカリはなぜかレベルがそこまで上がっていなかった
昨日あったときのレベルは82だったかな?
どうやらヒカリは戦闘とは違う訓練をしているようだ
その修行の間に二人とも絆を繋ぎ俺は魂共鳴タウラスと魂共鳴キャンサーを使えるようになっていた
魂共鳴タウラス
アクティブスキル
固有武装:金牛の槍顕現
パッシブスキル
攻撃力+500
固有武装とは魂共鳴を使っている時のみ使える武装で普通の武器とはレベルの違う武器だ
ちなみに固有武装の重複は出来ない
魂共鳴キャンサー
アクティブスキル
固有武装:金蟹の剣顕現
パッシブスキル
素早さ+500
ちなみに今の俺のステータスはこんな感じだ
ナナシノゴンベ
Lv.275
HP6280/6280
MP4580/4580
状態 良好
称号 異世界より来たりし勇者
ハズレの勇者
竜王の友
竜王の弟子
黄道の絆
魔王の友 New
能力 絆力上昇
中々に化け物じみて来ていると思う
ちなみにシュシュやヒカリが魔王を倒したときのレベルは350くらいだったと聞いた
2年半くらいかかってたどり着いたレベルにたった1年半でたどり着けたのも修行相手のお陰だろう
「ナナシ、今日は訓練が終わったら魔王の間まで来てほしいと魔王様が仰っていた」
タウラスが俺に教えてくれる
絆を繋いで以来タウラスもキャンサーも俺に対しては堅苦しいしゃべり方ではなく気さくに話しかけてきてくれていた
「わかった、すぐ行くよ」
俺はシュシュの話を聞くために魔王の間へと向かった
「ナナシ、俺と戦え・・・・」
入ってしばらく無言を貫いていたシュシュがいきなりそう言った
「は・・・・・・・?」
久しぶりに会ったと思ったらいきなり戦えってどういうことだ?
そんな俺の疑問も無視してシュシュはこちらへと猛突進してくる
俺は慌てて魂共鳴ヒカリを発動しパッシブスキルの先見の目でシュシュの突進を避ける
「どういうことだ!?」
俺の問いにシュシュは
「もう、時間がないんだ・・・・・」
と呟く
「どういう・・・・」
意味かと訪ねようとしたがその声は続かなかった
「ぐぉおおおおおおお!」
いきなりシュシュが咆哮し、此方を血走った目でみつめていたからだ
「まさか!?」
魔王となったものは最終的に理性を失うという話を思い出し俺は意識を完全に戦闘モードへと切り替える
先見の目でシュシュの動きを先読みし魔法で動き出しを潰す
この戦法はタウラスやキャンサーと戦っていたときにもかなり役にたった
流石に二人がかりの時には魔法が追い付かなかったので使えなかったが
ちなみに俺が使っている魔法はアースランスという地属性の魔法だ
効果は名前の通り岩石でできた槍を標的の場所に向けて飛ばす
それだけの魔法だ
殺傷能力は他の魔法に比べても弱い
それは俺の覚悟の弱さを表しているかのようだった
俺はもうシュシュが正気を失っているとわかっていてもシュシュを殺すことを躊躇っているのだ
「うがぁあぁあ!!」
中々に攻め込めないことに苛立ったのかシュシュが炎の塊をこちらへと投げつける
俺はウォーターボールを撃って相殺しようとするがウォーターボールを撃った次の瞬間に見た予知に慌てて地面を蹴る
シュシュが投げた炎の塊はドラゴンの形を持ってまるで意識があるかのように俺に襲いかかってきた
「くそっ!!」
俺は精一杯かわしながらも魔力を沢山込めたウォーターボールを作り出しそれを破裂させる
流石に拡散したウォーターボールはかわせなかったのか炎の竜はそのまま消えていく
しかし、今度はシュシュ自体が炎を纏ってこちらへと突進してきた
「うおおおおおおおぉ!」
俺は体を捻ってなんとか直撃は免れたがシュシュが体に纏った炎のせいで少しダメージを受けてしまう
「ぐっ!!」
痛む体にむち打ちその場から離れる
次の瞬間俺がいたところには炎を纏った剣が降り下ろされていた
「いつの間に剣を・・・・」
先見の目でも見えなかった
俺は二重共鳴を発動させキャンサーの力を上乗せする
「顕現せよ!金蟹の剣!」
俺の呼び掛けに応えて俺の両手に何者をも切り裂く剣が現れる
「付加!ウォーターボール!」
加えて水の魔法であるウォーターボールを付加する
その剣を使って襲い来るシュシュの剣を受け止めるが一発一発が重い上に早い
一発受け止めるのに両方の剣を使わなくては受け止められず受け止めた後もその力強さで腕が痺れ、反応が遅れる
「がっ!」
やがて予知に体がついていかなくなり回し蹴りをもらってしまう
俺は壁に叩きつけられ息をつまらせる
ふっと視界に影を感じて上を見るとシュシュが剣を振り上げていた
やばい!
と思うがもう回避行動も間に合わない
(くそ!こんなところで死ぬのかよ!)
しかも敵ではなく正気を失ったシュシュに殺されることになるなんて
目を瞑った俺の瞼の裏に最後に写ったのは何故か微笑むヒカリの顔だった
「ぐぁあああぁ!」
「へ?」
いきなり目の前にいるシュシュが悲鳴を上げた
うっすらと目を開けるとシュシュの背中に何か刺さっているように見える
「これは・・・・・」
どうやら魔法で作り出した氷の矢のようだ
俺は撃った人を探す
正確に言えばもう誰が撃ったのかはわかっていた
この城にいて魔法を使い、魔王を撃つ可能性のある人は一人しかいなかったからだ
「ヒカリ・・・・・!」
俺はその少女の名を呼んだ




