平和な日々
「ん・・・・・・」
目を覚ますとそこは宿屋のベットの上だった
「あっ・・・・・」
声のした方を見ると涙を目にためたヒカリがいた
「よかった・・・・」
そのまま抱きついてくる
「いっ!?」
普段は無いように見える癖にこういうときだけ自己主張の激しい柔らかな感触が俺を襲う
「ちょっ!!」
このままじゃまじで理性が飛んでしまいそうだと判断した俺は名残惜しいが引き離すことにした
「あの後どうなったんだ?」
俺は技をうち終えた後の記憶がない
二人ともここにいるってことは命だけは助かったんだろうけど・・・・・・
ヒカリがあの後あったことを教えてくれた
「そうか・・・・俺は負けたのか・・・」
しかもヒカリの話を聞く限りではタウラスが出すことができた力は3割程度。なのに俺たちは負けてしまったのだ
「こんなのじゃ魔王討伐なんて夢のまた夢だな・・・・」
だけどもやる理由はできてしまった
というよりも今回の闘いで気づいてしまったのだ
俺はヒカリを失いたくない
という気持ちに
それが恋なのか仲間としての感情なのかは今はまだわからない
ただ、今は・・・・・
「珍しいね、ナナシがこんなこと提案するの」
「まぁな」
俺とヒカリはこの一ヶ月間一緒に過ごしていた訳だが実は殆どの時間を狩りに費やしていた
狩りと言っても安全マージンを十分すぎるほど取っておりそのせいもあってか実入りは良くても経験値はほとんど入っていなかった
今回はそんな狩りにすら行かずにゆっくりと買い物を楽しもうということだった
死にかけたのだから今日くらいはゆっくりとしたかったのだ
「だけど、たまにはこういうのも良いかもね」
「あぁ」
色々な店をひやかし、欲しいと思ったものは購入する
ただそれだけのことがとても楽しかった
そして、そんな楽しい時間は一瞬で過ぎ
辺りはすっかりと暗くなってしまった
俺たちは食事をするために酒場へと入った
「こんなところで食べる飯でもなんか今日は美味しく感じる」
「いつもは不味いっていいながら食べてるもんね」
ヒカリは苦笑しているが仕方がないと思う
料理人を兄に持つヒカリは兄から料理を習っていたらしくとてつもなく料理が上手だ
なので、一度食べてからはヒカリにご飯を作ってくれって頼んでいるんだけど
ヒカリは作るのをめんどくさがるので酒場での料理が多い
酒場での食事が多い理由もこの前におしゃれなレストランで食事をとっているとヒカリに言い寄るバカがいたからだ
勿論ヒカリにこっぴどくフラれている
そんなことを思い出していると外が騒がしくなってきた
「はぁ」
思わずため息が出てしまう
「どうしてゆっくりしたいときに限って何かおこるのかねぇ」
そう言いつつもその騒ぎを見に行ってしまう俺は野次馬根性丸出しなのだろう
「それは同感かも・・・・・」
ヒカリもため息をつきながらついてくる
さてと、今度は何が起こるのかねぇ