第6話 必ずや耐えてみせます。
本作は全話執筆済みです。
完結まで毎日1話ずつ更新する予定ですので、安心してお楽しみください。
エリカたちの班は、イリスたちの班と別のルートを歩いていた。第2王女なので当然だが、護衛がついていた。
(少し、森が静かですわ。嫌な予感がしますわね。)
そう思ったエリカは、護衛に指示を出して探知魔法で魔獣の動きを探らせた。少しして、焦ったように報告をする。
「エリカ様、魔獣がこちらに接近してきています!規模は…100匹を優に超えています!」
「フローラ先生、今すぐここを離れるべきですわ。」
「えぇそうわね、私が殿を務めますので、護衛の皆様は生徒を先導してください。」
その時、通信機が鳴った。本部からだった。
「こちら本部、第5班聞こえるか。」
「こちら第5班フローラ、聞こえます。」
「魔獣が第5班に接近している報告を受けた。現在本部で規模と移動速度を確認している。」
「即時退避は?」
「…距離と移動速度を踏まえると、2、3分後には遭遇します。退避はせず迎撃してください。すぐに応援を送ります。」
「了解しました。」
そういうとフローラは杖を取り出した。護衛はすでに持っていた。
「エリカさん、防壁魔法を作動させてください。」
「えぇ、わかりましたわ。」
そういってエリカは渡されていた魔道具のひもを引き抜いた。防壁魔法が作動すると、生徒たちは中に入った。
少しずつだが、森は騒がしくなっていった。そして、目視できる範囲に魔獣が表れ始めた。
「本部から第5班へ、推定規模は100匹強。5分持ちこたえてほしい、現在、教師を複数人急行させている。」
「100匹相手に5分…いぇ、教師として必ずや耐えてみせます。」
護衛たちは詠唱をはじめ魔獣を攻撃し始める。少しずつ魔獣は減っていくが、手数が足りていなかった。
魔獣は木々の隙間を縫うように接近してきた。
エリカたちは内部から防壁魔法の強化を行っていた。
「皆さん、魔力切れには十分注意してください。これは籠城戦ですわ。一度に大量の魔力を注ぐのではなく、一定量を継続して供給してください。」
「王女様、まだ魔獣が接近してきていない今は、強化する必要はないのでは?」
「いえ、遠距離攻撃をしてくる魔獣がいる可能性があります。今は辛いですが、ともに頑張りましょう。」
フローラは探知魔法を使って、群れの規模を推定した。そして、今目視している群れには、後続がいることが判明した。
その時、遠くから遠距離の魔法攻撃が飛んできた。フローラたちは目の前の敵にかかりっきり、魔法への反応が遅れた。しかし、飛んできた魔法は防壁魔法がはじき返した。
「本部、100匹前後ではなく、おそらくもっと大規模です!」
「…複数の群れがそちらに向かっている。救援が到着するまでに可能な限り倒してほしいが、教師や護衛が死んでは意味がない。対処しきれない場合は、防壁の内側で待機してほしい。」
「了解しました。」
フローラは杖を構えると詠唱を始めた。
「風よ集え、刃となりて切り裂きなさい」
そう詠唱すると、複数の風の刃が飛んでいき、群れを削っていく。
(フローラ先生、さすが基礎魔法の講師を務めるだけありますね。略式詠唱を実践レベルまでにしているとは。)
エリカは防壁の内側から観察していた。魔力探知を広げると、今戦っている群れ以外に、複数の群れを見つけた。どれもこちらに向かってきていた。
(複数の群れがこのように襲ってくるのは不自然ですわね…。誰かに仕組まれた可能性がありますわね。いえ、今はそれよりも迎撃の方が優先ですわ。)
「フローラ先生、今見えている北側の群れ以外に、北西方向と南東方向にも群れがいますわ。」
「それはまずいわね、北側で精いっぱいよ。」
そういいながら、まずは最も近い北側の群れを迎撃していた。少しずつ減っていき、とうとう北側の群れは動かなくなった。
しかし、すでに北西方向と南東方向の2つの群れが接近してきた。
「ここが潮時です、護衛の皆さんも防護結界の内側へ。救援が来るまで、防壁結界の維持に魔力を割きましょう。」
そういうと4人は防壁の内側に入った後、防壁魔法の強化を始めた。
少しして、2つの群れが突っ込んできた。防壁魔法を破ろうとしているが、フローラと3人の護衛、そして生徒たちが協力して防壁を強化しているため、まだ破られるまで余裕はあった。
「エリカさん、SOS信号を発してください。この数では、本部からの増援だけでは殲滅しきれません。」
「わかりましたわ。」
そういうとエリカは発信機からSOS信号を発した。




