第2話 よろしくね、エリーゼ!
本作は全話執筆済みです。
完結まで毎日1話ずつ更新する予定ですので、安心してお楽しみください。
イリスは、寮の部屋へと向かっていた。
(えっと、部屋番号は303。だから、ここを右に曲がって…。)
アルテンブルク第一大学附属高等学校は全寮制であり、二人で一室となっていた。この学校において、ルームメイトとは互いに支えあう存在であり、協力する存在、要するに最も身近な生徒ということだった。
(305、304、あった、303。先にルームメイトはもう来てるのかな?とりあえずノックはしておいた方がいいよね?)
そう思い、イリスはノックをする。すると返事があった。どうやらルームメイトはすでに中にいるようだった。
部屋に入ると一人の少女がいた。ベッドに腰を掛けているが、イリスより背が高いことは明らかだった。もっとも、イリスは139cmと、そもそも小さい方であった。イリスは、140cmと言い張っているが、身体測定では毎回、139cmと記されているのだった。
「えっと、エリーゼさんだっけ?」
「えぇそうよ。覚えていてくれてうれしいわ。あなたは確か…イリスさんかしら?」
「うん、合ってるよ!えっと、イリス・フォン…」
「その、イリスさん。せっかくのルームメイトですもの。ここでは家柄や爵位を気にせず、友人として接しませんこと?せっかくのルームメイトなのですから、互いに仲良くしたいと思いまして。」
「あっ、それいいね!それじゃあよろしくね、エリーゼ!」
「えぇ、こちらこそよろしくお願いしますわ、イリス。」
その後、荷物を整理していると、カバンから黒猫が頭を出した。
「あっ、ルーナ、勝手に顔出さないで〜」
だが黒猫はそのまま窓から外に行ってしまった。
「イリス、逃げてしまったけど大丈夫ですの?」
「大丈夫〜、ルーナとは使い魔契約してるから何かあったらわかるよ。」
「なるほど…。それはそうとイリス、第一志望校はこちらだったのですか?」
「第一志望は第二大学だったよ。」
「第二大学ということは、成績は相当優秀でいらっしゃって?」
「全然そんなことないよ~。あっ、魔法は得意だけどね!」
「あら、それでは、基礎魔法や応用魔法ではぜひ頼らせていただきますわ。一つお聞きしたいのですけれど、どうして第二大学ではなく第一大学に入学されたのかしら?」
「あっ、それはね、実は第二大学の入試の日に風邪ひいちゃって、受けられなかったの。それで、第二志望だった第一大学に入ることになったの。」
「それは残念でしたわね。でも、そのおかげで、こうしてあなたと出会えたことは、主のお導きに感謝することですわね。」
「…確かにそうだね!風邪ひかなかったら、多分第二大学に入って、エリーゼとは出会えなかっただろうし。それで、エリーゼは第一志望はここなの?」
「えぇ、そうですわ。四大名門校の一角であるこの学校に入学できましたことは、私の誇りでもありますわ。そういえば、コースと選択科目は何にされたのかしら。魔法が得意ってことは、魔法系かしら?」
「うん、そうだよ!それで、選択科目は、化学、政治・経済、魔法史、音楽だよ。」
「私も魔法系で、物理学、政治・経済、音楽、美術ですわ。自由科目は、音楽と馬術を希望していましたけど、残念ながら定員漏れしてしまいまして。」
「あちゃ~、それは残念だね…。それで、えっと、政治・経済と音楽は一緒だね!」
第一大学附属高等学校のカリキュラムは大きく分けて4つ、理系、文系、魔法系、総合系に分かれていた。そして各コースごとに必修科目と選択必修科目に分かれていた。
イリスとエリーゼが選んだ魔法系では、理系と文系科目からそれぞれ1つずつ、自由科目から2つ選択することとなっており、基礎魔法と応用魔法が必修科目になっていた。自由科目の一部には、設備の関係から定員が定められており、必ずしも希望する科目を受けられるわけではなかった。
特に馬術は人気科目の一つだが、馬の頭数に限界があるため、定員が定められ、エリーゼのように定員漏れする者が毎年出ていた。
「えっと、魔法系なら…そうだ!憧れの魔術師とか魔女っているの?」
「目標といわれますと…そうですわね、五英傑のヴィオラ様ですわ。慈雨の魔女、ヴィオラ・フォン・ホーハイト・ローゼンハイム様。
魔獣害や被災地域で多くの方の命をお救いになられたとお聞きしておりますわ。ヴィオラ様のように、治療魔術を高度に扱えることは一つの目標ですわ。」
「ヴィオラ様か~。すごいよねヴィオラ様、お医者さんが助からないと判断した人でも、治療魔法で救われるからね!もちろん、お医者さんが悪いわけではないけどね。」
「そうですわね。治療魔法は様々な魔法の中でも、高難度の魔法といわれてますからね。」
「私も、四肢の欠損とか骨折くらいしか治せないもの。息さえしていればほぼ必ず助けられるヴィオラ様はほんとうにすごいもの。」
「…あなた、四肢の欠損までなら治せますの?」
「え?うん、そうだけど。」
「それも十分すごいことですわよ。四肢の欠損の治療となれば、高度な走査魔法と治療魔法を併用する必要があるんですわよね?」
「えっと、そうなるね。神経の再接合が必要になるから、走査魔法は結構大事だよ。」
「魔法が得意といってらっしゃいましたけど、まさかそこまででいらっしゃるとは。やはり、魔法の授業では頼らせていただくことにしますわ。」
「うん!魔法なら任せてね!」




