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徹夜続きのゲーム開発者、気づいたら自分が作ったはずの文明調律RPGに転移していました 第三部  作者: マスター


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第33話 道は、泉の上を通っていた

第33話です。


第32話では、《第三泉》と山麓鍛冶組合の問題に入りました。


鍛冶場は、第三泉の水を炉の冷却に使っていました。


しかし、火を冷やしたあとの水は、熱、金属粉、灰を含んだまま灰鉱跡側へ流され、それが第二泉の濁りを再発させる原因になっていました。


澪たちは、古い《冷却段》を部分復旧させ、熱い冷却水を浅い石段で冷まし、金属粉を沈め、戻し湿地へ返す道を作ります。


鍛冶場を止めず、泉の取水も抑え、灰鉱跡への排水も減らすことには成功しました。


しかし、問題はそこで終わりません。


鍛冶場を支えるために鉱石を運ぶ獣車の道が、《第四泉》の上を通っていたのです。


第四泉は、踏圧によって湧出点が押し固められ、根圏が酸欠になっています。


道を止めれば、鍛冶場と修理体制が困る。


道を通せば、泉が潰れる。


今回は、第四泉と荷運び道へ向かいます。

獣車の音は、山道の向こうから重く近づいてきた。


ぎい、ぎい、と車輪が軋む。


がら、ごろ、と石が跳ねる。


荷獣の荒い鼻息が、森の湿った空気を押し分ける。


その音に混じって、鍛冶場の鐘がまだ遠くで鳴っていた。


神代澪は、調律核の赤い表示を見つめる。


《荷運び獣車群:接近》


《進路:第四泉上部》


《第四泉状態:踏圧》


《湧出点圧密:進行》


《根圏酸欠:悪化》


《荷運び獣車通過時、湧出停止予測》


「通ったら、止まる」


ライカが耳を伏せた。


「泉が?」


「うん」


澪は短く答える。


「でも、止め方を間違えると、たぶん荷車が崩れる」


山道は細い。


片側は斜面。


もう片側は岩と木の根。


そこへ鉱石を積んだ獣車が何台も来ている。


急に止めれば、後続が詰まる。


荷崩れすれば、人も獣も巻き込まれる。


通せば泉が止まる。


止めれば道が危ない。


また二択。


もはや、澪は驚かなくなっていた。


驚かなくなったことに、少しだけ自分で引いた。


「慣れたくないな、こういうの……」


「ミオ?」


アオイが心配そうに見る。


「大丈夫。たぶん大丈夫」


「たぶん、が付きました」


「正直に言っただけ」


「なら、こちらも正直に言います。顔色が悪いです」


「体力ゲージが赤に近いからね」


ライカが横から言う。


「ミオ、さっき自分で立ったけど、本当は休みたいよね」


「休みたい」


「素直!」


「でも、泉は待ってくれない」


ミルカが工具袋を肩にかけ直す。


「第四泉が完全に止まる前に、荷車の重さを逃がす道を作るしかない」


「道を止めるんじゃなくて?」


澪が聞く。


「止めたら鍛冶場が止まる。通したら泉が止まる」


ミルカは地面を見た。


「なら、荷車は通す。でも、泉を踏ませない」


セラフィナが記録板を開く。


「つまり、仮設の荷重分散路を作るということですね」


「言葉が硬い」


ライカが言う。


「でも正しい」


ミルカはうなずいた。


「湿った土地や根の上に、直接車輪を乗せない。丸太、枝、石を使って重さを横へ逃がす。水と空気が下を通れるようにする」


「浮き道?」


澪が言う。


ミルカの目が光った。


「それ。第四泉の上に、浮き道を作る」


その時、前方から男の声が響いた。


「どけえ! 荷が重い! 止められねえぞ!」


森の曲がり角から、先頭の獣車が姿を現した。


大きな角を持つ荷獣が二頭。


その後ろに、鉱石を積んだ木製の車。


車輪は泥に汚れ、荷台は縄で縛られている。


御者台には、赤い布を腕に巻いた男。


顔には焦り。


後続にも獣車が続いている。


「止まれ!」


カイムが山道へ出て叫んだ。


御者は怒鳴り返す。


「止まれるなら止まってる! 下りだぞ!」


ライカが目を見開く。


「ブレーキ効いてない!」


アオイが即座に前へ出る。


「私が受けます!」


「正面から止めないで!」


澪が叫ぶ。


「横へ逃がす!」


アオイは一瞬だけ澪を見た。


そして頷く。


「はい!」


アオイは盾を構え、山道の側面に立つ。


獣車の正面ではなく、車輪の横へ。


ライカが荷獣の前へ飛び出す。


「こっち! こっち見て!」


荷獣が驚き、足を乱しかける。


ルシェリアが低い風を走らせ、荷獣の顔へ舞い上がる灰と砂を払った。


視界が少し開く。


「右へ!」


澪が叫ぶ。


アオイの盾が、先頭車輪へ斜めに当たる。


がつん、と重い音。


車輪の進路がわずかにずれた。


アオイの足が土に沈む。


「ぐ……!」


「アオイ!」


「大丈夫です!」


ライカが荷獣の横へ回り、手綱ではなく首元の飾り縄を掴んだ。


「止まるんじゃなくて、曲がって!」


荷獣は苦しそうに鼻を鳴らしながら、少しだけ斜面側へ向きを変える。


だが、そこには古い泥の道。


足元が柔らかい。


荷獣の前脚が、ずぶ、と沈んだ。


その瞬間。


地面の下から、ぷくりと濁った水が浮き上がった。


フィリアが叫ぶ。


「そこが第四泉です!」


調律核が赤く点滅する。


《第四泉湧出点:露出》


《踏圧損傷:進行》


《根圏酸欠:悪化》


《荷獣脚部沈下》


「まずい!」


ミルカが走る。


「引っ張るな! 脚を抜こうとして暴れると、もっと沈む!」


御者が青ざめる。


「じゃあどうすりゃいい!」


「重さを抜く!」


澪は即座に叫んだ。


「荷を下ろす! 片側だけじゃなく均等に!」


「鉱石だぞ、重い!」


「だから下ろすんです!」


セラフィナが光剣で後続車を止める境界を作る。


「後続車、停止。間隔を空けてください。荷下ろし班、こちらへ」


「勝手に指示するな!」


後続の御者が怒鳴る。


ガランが山道へ追いつき、低い声で一喝した。


「黙って従え! 炉を守りたいなら、荷獣を潰すな!」


その一言で、御者たちの動きが変わった。


鍛冶組合長の声は、やはり重い。


ナラも灰拾いたちを連れて来ていた。


「重い鉱石は手前へ! 丸い石は転がすな! 袋詰めの灰は後ろだ!」


「なんで灰拾いが荷下ろしの指示を!」


「重いものを扱って生きてるからだよ!」


ナラの怒鳴り声に、誰も言い返せなかった。


澪は荷獣の脚元へ近づきすぎないようにしながら、調律核を確認する。


第四泉は、見た目には泉ではなかった。


地面の下に薄く広がる湿った層。


苔と草の下。


浅い根の間。


そこに水がにじみ、少しずつ斜面へ渡っている。


しかし、その上を長年、獣車が通った。


車輪。


蹄。


鉱石の重さ。


踏み固められた土は、水と空気を通さなくなった。


泉は枯れたのではない。


押し潰されて、息ができなくなっていた。


《第四泉:薄層湧出型》


《主機能:根圏加湿/浅層地下水補給/第三泉補助冷却系統》


《障害:踏圧》


《土壌孔隙率:低下》


《酸素供給:不足》


《湧出停止まで:十八分》


「十八分……」


澪は息を呑む。


短い。


だが、完全にゼロではない。


「ミルカ、浮き道に何分?」


「材料があれば十五分!」


「ギリギリすぎる!」


「でもやる!」


ミルカは山道の脇を指した。


「太い枝、短い丸太、平たい石、古い鉱車の板! 全部集める!」


カイムが山番の声で叫ぶ。


「踏むな! 水が浮いた場所に乗るな! 石の上を通れ!」


「どこが水だかわからん!」


「フィリアさん!」


澪が呼ぶ。


フィリアは目を閉じ、ネレイアの青い水を指先にまとわせた。


「湿りの境界を示します」


地面に淡い青い線が浮かぶ。


第四泉の範囲。


踏んではいけない場所。


通していい石の帯。


見えない泉が、ようやく目で見える形になった。


「そこ、青い線の内側に入らない!」


ライカが御者たちを誘導する。


「鉱石は一個ずつ! 投げない! 落としたら泉が泣く!」


「泉が泣くって何だ!」


「いいから落とすな!」


そのやり取りに少しだけ笑いが起きかけた。


だが、荷獣が苦しげに鳴いて、全員の顔が引き締まる。


アオイが荷車の側面を支え続けていた。


荷が減っても、まだ車体は傾いている。


「アオイ、大丈夫?」


澪が聞く。


「まだ持ちます」


「まだ、じゃなくて無理しないで」


「ミオさんがそれを言いますか」


「言われると思った」


「言います」


澪は返す言葉を失った。


***


浮き道作りは、思った以上に地味で、思った以上に急を要した。


まず、第四泉の上に直接石を置かない。


重い石を置けば、それ自体が泉を押し潰す。


そこでミルカは、青い線の外側、比較的硬い地面に支点となる石を並べた。


その上に短い丸太を横向きに渡す。


丸太の間には隙間を残す。


下を水と空気が通るように。


さらにその上に古い鉱車の板を敷き、車輪が沈まない幅を作る。


ただの橋ではない。


地面から少し浮いた、呼吸できる道。


「これ、荷車通れるの?」


御者が不安そうに言う。


ミルカは汗を拭いながら答えた。


「全積載なら無理。荷を半分にすれば通れる」


「半分だと往復が増える!」


「泉を潰したら、往復どころじゃない」


ナラが横から言った。


「荷を半分にしても鍛冶場へ届く。泉が止まったら、鍛冶場も止まる」


御者は悔しそうに黙った。


ガランも渋い顔でうなずく。


「半積みで通す。組合が差額を持つ」


御者たちがざわつく。


「本当ですか、組合長」


「本当だ。記録しろ」


セラフィナが即座に記録板へ書き込んだ。


「記録しました」


ガランが少しだけ顔をしかめる。


「早いな」


「記録は速度です」


「それ、お前の決め台詞か?」


「必要な表現です」


ライカが小声で澪に言う。


「セラフィナ、ちょっと楽しそう」


「たぶん、言わない方がいい」


浮き道の下では、フィリアが水と根の様子を見ていた。


「完全には回復していません。でも、空気が入り始めています」


「土が息してる?」


「はい」


ルシェリアが低い風を浮き道の下へ流す。


「強すぎない風を通します。乾かさず、淀ませず」


「器用だな、本当に」


ガランが感心したように言った。


ルシェリアは微笑む。


「水と火の間を通す風ですから」


「詩人か?」


「魔族です」


「そうか」


妙な会話だったが、誰も突っ込む余裕はなかった。


ミルカが最後の板を叩き、声を上げた。


「仮浮き道、通行可能!」


調律核が表示する。


《第四泉上部:荷重分散路形成》


《土壌圧:低下》


《根圏酸素供給:微回復》


《湧出停止予測:十八分 → 保留》


「保留!」


ライカが叫ぶ。


「止まってない!」


「まだ油断しない!」


澪は先頭の御者へ向き直る。


「荷を半分。人は降りる。荷獣は一頭ずつ。車輪は中央線からずらさない。止まらない。でも走らせない」


御者は顔をしかめる。


「注文が多いな」


「泉を潰さず、荷車も落とさず、鍛冶場も止めない注文です」


「……わかった」


先頭の獣車が、ゆっくりと浮き道へ進む。


丸太がきしむ。


板が沈む。


全員が息を止める。


荷獣の蹄は板の上。


車輪も板の上。


下の湿った層には直接触れない。


水が、板の下でわずかに揺れた。


フィリアが目を開く。


「大丈夫です。苦しくありません」


一台目が通過した。


歓声が上がる。


だが、すぐにミルカが叫ぶ。


「喜ぶのは後! 二台目までに板を点検!」


「はい!」


灰拾いと御者たちが、すぐに浮き道を確認する。


板のずれ。


丸太の沈み。


水のにじみ。


今までなら荷を運ぶだけだった人々が、道を見始めている。


それが大事だった。


二台目。


三台目。


半積みにした獣車は、ゆっくりと浮き道を渡っていく。


第四泉は、止まらなかった。


***


最後の荷車が通り過ぎた時、山道には深い疲労と、妙な達成感が残っていた。


荷は遅れた。


だが届く。


鍛冶場は止まらない。


第四泉も止まっていない。


荷獣の脚も無事だった。


先頭の御者は、沈んだ泥を見つめてから、澪たちへ頭を下げた。


「悪かった。俺たちは、ここが泉だなんて知らなかった」


「見えなかったなら、仕方ない部分もあります」


澪は言った。


「でも、これからは見えるようにします」


セラフィナが記録板を開く。


「第四泉荷運び道仮規約。第一、全積載での通行禁止。第二、浮き道以外の踏み込み禁止。第三、通行前後の板、丸太、湧水確認。第四、荷重記録。第五、修繕費は鍛冶組合、運搬組、山番で分担」


御者が目を丸くする。


「俺たちも?」


「通る人が道を見る必要があります」


澪は答える。


「通るだけの人が、壊れたことに気づかない道は危ないです」


ガランがうなずいた。


「組合は負担する。材料も出す」


ナラも腕を組む。


「灰拾いは、浮き道の下に溜まる泥を見られる。灰が混じれば、すぐわかる」


カイムが言う。


「山番は月に一度、泉の範囲を確認する」


フィリアが静かに付け加える。


「霧背鹿にも、見てもらいましょう」


御者が困惑する。


「鹿が道を見るのか?」


ライカが肩をすくめる。


「この山では、鹿も規約に入るんだよ」


「何だそれは」


「私も最初はそう思った」


澪は思わず笑った。


その時、山の上から霧背鹿の声が聞こえた。


短く、低く。


まるで、承認したと言っているような声だった。


調律核が光る。


《第四泉:踏圧軽減》


《荷重分散路:仮設》


《根圏酸素供給:回復傾向》


《湧出量:微増》


《第三泉補助冷却系統:安定化》


《源流森林調律ルート:第七条件一部達成》


《条件名:踏まない道》


「一部達成」


ライカが画面を覗き込む。


「また一部」


「仮設だからね」


澪は答える。


「でも、止まりかけた泉は止まらなかった」


アオイが静かに微笑む。


「それは、大きな一歩です」


「うん」


澪は浮き道の下を見た。


水が少しだけ動いている。


透明ではない。


勢いもない。


けれど、確かに流れている。


押し潰されていた泉が、細く息を吹き返していた。


***


作業が一段落した頃、ミルカが妙なものを見つけた。


浮き道の支点に使う石を探していた灰拾いが、道の脇の泥の中から古い標石を掘り出したのだ。


苔と泥に覆われた、小さな石柱。


そこには、かすれた文字が刻まれていた。


《第四泉荷道》


《ここより軽荷》


《重荷は第五泉回り》


澪は眉をひそめた。


「重荷は第五泉回り?」


カイムが険しい顔になる。


「昔は、重い荷は別の道を通していたのか」


「でも、今はこっちを通ってる」


ライカが言う。


「第五泉回りの道は?」


カイムは少し沈黙した。


「使えない。第五泉が枯れてから、周辺の林が倒れ、道が崩れた。だから荷運び道は第四泉上部へ移された」


ミルカが地図を広げる。


「つまり、本来は第四泉を軽荷の道、第五泉側を重荷の道として使い分けていた。でも第五泉が枯れたから、全部の重荷が第四泉に集中した」


「第四泉の踏圧は、第五泉の枯死ともつながっている」


澪は呟いた。


調律核が反応する。


《旧荷運び路:再照合》


《第五泉回り重荷道:崩壊》


《第四泉踏圧増加原因:第五泉枯死後の物流集中》


《第五泉状態:枯死》


《再調査推奨》


「次は第五泉か」


アオイが言う。


「順番としては、そうですね」


しかし、調律核の表示はそこで止まらなかった。


地図の上で、第五泉の位置が赤く点滅する。


そして、その奥に黒い空洞のような影が浮かび上がる。


《第五泉:枯死》


《湧出反応:なし》


《根系反応:なし》


《水脈反応:下層へ消失》


《地下空洞:確認》


《空洞内に大型生体反応》


ライカの耳がぴんと立つ。


「大型生体?」


「また何かいるの?」


澪の声が少し乾いた。


霧背鹿。


黒根獣。


今度は第五泉の下。


フィリアが顔を曇らせる。


「水が、何かに飲まれているようです」


「生き物に?」


「わかりません。でも、第五泉は枯れたのではなく……吸われています」


その瞬間、山の奥で低い音が響いた。


ごおん。


地鳴りのような音。


浮き道の下の水面が、小さく震える。


霧背鹿が遠くで鳴いた。


今度の声は、これまでより深かった。


警戒。


恐れ。


そして、急げという合図。


調律核に新しい警告が浮かぶ。


《第五泉下層生体反応:覚醒兆候》


《第四泉微回復により、旧水脈接続が刺激されました》


《予測:第五泉下層空洞内圧上昇》


《注意:接近時、地盤陥没リスク》


澪は、標石に刻まれた古い文字を見つめた。


重荷は第五泉回り。


かつて、第五泉の周囲には大きな荷が通れる道があった。


それが枯れて崩れ、道は第四泉へ押し寄せた。


では、第五泉はなぜ枯れたのか。


水を失ったのか。


それとも、何かに奪われたのか。


ミルカが低い声で言う。


「次は、道どころじゃ済まないかもね」


澪はうなずいた。


第五泉は、枯れている。


だが、その下には何かが生きている。


そして、第四泉が息を吹き返したことで、その何かが目を覚まし始めていた。


「第五泉へ行こう」


澪は言った。


体力ゲージは、もう完全に赤だった。


それでも、次に向かう理由は十分すぎるほどあった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


第33話では、《第四泉》と荷運び道の問題を描きました。


第四泉は、見た目には大きな水場ではありませんでした。


地面の下に薄く広がる湿った層。


苔や草の下で、浅い根に水と空気を渡し、第三泉の補助冷却系統も支える、薄層湧出型の泉でした。


しかし、その上を長年、鉱石を積んだ獣車が通っていました。


車輪、蹄、鉱石の重さ。


それらによって土が押し固められ、水と空気が通らなくなり、根圏は酸欠になっていました。


つまり第四泉は、単に水が少なくなったのではありません。


踏み固められて、息ができなくなっていたのです。


今回も問題は二択として現れます。


荷運び道を止めれば、鍛冶場に鉱石が届かず、炉や工具の修理体制に影響が出る。


しかし荷車をそのまま通せば、第四泉が潰れる。


そこで澪たちは、道を止めるのではなく、泉を踏まない道へ変えました。


丸太、板、石を使い、地面から少し浮かせた《浮き道》を作り、重さを泉の外側へ逃がす。


下には水と空気が通る隙間を残す。


さらに全積載を禁止し、荷を半分にして渡す。


これによって、荷運びは止めず、第四泉への踏圧を軽減しました。


今回のテーマは、「通る権利には、道を見る責任がある」です。


道は、ただ通るためのものではありません。


その下に何があるのか。


通ることで何を押し潰しているのか。


誰が修繕し、誰が記録し、誰が異変に気づくのか。


そこまで含めて、道は維持されます。


そのため、第四泉の仮規約では、鍛冶組合、運搬組、山番、灰拾い、そして霧背鹿までが、見守る側に組み込まれました。


また、ラストでは古い標石が見つかりました。


そこには、


《ここより軽荷》


《重荷は第五泉回り》


と刻まれていました。


かつては、第四泉周辺は軽い荷だけが通り、重い荷は第五泉側の道を通っていました。


しかし第五泉が枯れ、周辺の林が倒れ、重荷道が崩れたことで、すべての荷運びが第四泉へ集中していたのです。


つまり第四泉の踏圧は、第五泉の枯死ともつながっていました。


そして最後に、第五泉の下層に《大型生体反応》が確認されました。


第五泉は、ただ枯れたのではありません。


水脈が下層へ消え、何かに吸われている可能性があります。


第四泉が微回復したことで、旧水脈が刺激され、第五泉下層の何かが目を覚まし始めました。


次回は、《第五泉》と、その下に眠る大型生体反応へ向かいます。


枯れた泉の下で、いったい何が水を飲んでいるのか。


源流森林編は、さらに山の奥へ進みます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

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