↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
音色と色彩のキャンバス ―余命三ヶ月の僕が、君たちの親友になるまで―』  作者: 夜名


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/15

第十二話:病室のミニコンサート(幻影の音色)

蒼輔が突然この世を去ってから、数日が過ぎた。

彼が入院し、息を引き取った病室や私物はすでに片付けられていたが、友人たちの心には決して埋まらないぽっかりとした穴が空いたままだった。


「……なぁ、神宮寺は、本当に、もういなくなっちまったのかよ……」


放課後、部活をサボるようにして、奏多は一人でサックスケースを抱え、あのとき蒼輔が救急車で運ばれていった総合病院の裏手――かつて病室から見えていたはずの中庭へと足を運んでいた。

そこには、かつて蒼輔が静かに風を感じていたのと同じ、冷たくて穏やかな風が吹いていた。


あまりの喪失感に耐えかねて、奏多はサックスを組み立て、震える手で強く息を吹き込んだ。

彼が奏でる音色は、秋の空に向かって、どこまでも切なく、昇っていく。


「聴いてるか、神宮寺……お前のために、俺はこれからずっと吹き続けるからな……!」


そのあまりに痛切な音色に導かれるように、美術室から駆けつけた葵や、莉子たちが次々と中庭に集まってきた。

誰も言葉を発する者はいない。ただ、奏多の奏でる温かい音色だけが、蒼輔への最高の鎮魂歌として、夕暮れの空にいつまでも響き渡っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。