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第十二話:病室のミニコンサート(幻影の音色)
蒼輔が突然この世を去ってから、数日が過ぎた。
彼が入院し、息を引き取った病室や私物はすでに片付けられていたが、友人たちの心には決して埋まらないぽっかりとした穴が空いたままだった。
「……なぁ、神宮寺は、本当に、もういなくなっちまったのかよ……」
放課後、部活をサボるようにして、奏多は一人でサックスケースを抱え、あのとき蒼輔が救急車で運ばれていった総合病院の裏手――かつて病室から見えていたはずの中庭へと足を運んでいた。
そこには、かつて蒼輔が静かに風を感じていたのと同じ、冷たくて穏やかな風が吹いていた。
あまりの喪失感に耐えかねて、奏多はサックスを組み立て、震える手で強く息を吹き込んだ。
彼が奏でる音色は、秋の空に向かって、どこまでも切なく、昇っていく。
「聴いてるか、神宮寺……お前のために、俺はこれからずっと吹き続けるからな……!」
そのあまりに痛切な音色に導かれるように、美術室から駆けつけた葵や、莉子たちが次々と中庭に集まってきた。
誰も言葉を発する者はいない。ただ、奏多の奏でる温かい音色だけが、蒼輔への最高の鎮魂歌として、夕暮れの空にいつまでも響き渡っていた。




