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■ 拾八 二〇〇五年八月十七日(水曜日) 午後八時十七分
■ 拾八 二〇〇五年八月十七日(水曜日) 午後八時十七分
電話が鳴った。母親がとる。
戻ってきて一日たってが、俺はすっかりと浦島太郎状態だ。俺がいなかった
一ヶ月は、どんなふうに過ぎていたのかわからなかったけれど、ともかく俺に
とっては、今ある普通に快適な生活にいちいち驚いている。朝から自分で火を
つけて水をくみにいって湯をわかさなくてもシャワーがあるし、シャンプーも
リンスもドライヤーもある。冷蔵庫にはアイスがあって、涼しいクーラーや
扇風機もある。そんな生活にあらためて感動していた。
「はい古閑・・・あなた・・・どうしたの?・・・え?お義父さんが?
えっ・・・今日、亡くなったの?・・・ええ・・・」
「・・・」
「ええ・・・わかったわ・・・」
電話を切って母親は
「長崎の・・・お父さんのお義父さんが亡くなったって・・・」
「・・・じいちゃん?」
「・・・私は行けないけれど、ご香典を送ろうかしらね・・・」
「母さん・・・俺、行きたい」
「え?」
「長崎・・・」
「・・・万里・・・」
なぜ、そんなふうに思ったのか。
自分でも解らなかったが、どうしても行きたかった。
・・・長崎へ。
どうしても行かなければならないと、思ってしまったのだ。
その日、祖父が死んだ




