第四十四話 「宴会」
夜。
人工的な明かりが無く星と月の輝きに色だろれた空
それに若干の紅を指すように薄く橙色が広がる。
ポポチ村では今、勝利を祝う大宴会が行われている。
村の本陣前の広場には今村中にいる魔族たちが集まり飲んで食って、歌って眠っての大ドンチャン騒ぎだ。
それもその筈、前回の戦いでも勝利し、今日も2連戦で勝利した。
しかも敵を全滅に追い込む大勝利だ。
ふだん戦とは無縁の村人たちの興奮は計り知れず。
テンション天井知らずに登っている。
「ジン様、一杯いかがでしょうか?」
「お、貰うわ」
「魔王さま!鍋もらってきましたよ!」
「鍋ごと持ってくんなよ!」
今日の鍋や料理に目を向ける。
相変わらずのマコン(ジャガイモ)のポトフっぽいやつに魚料理の数々、猟師達が獲ってきた魔獣の肉、肉、肉。
実際なんの肉化は謎だ。
割とおいしいので美味しいお肉と考えておこう・・・。
高校生の頃、親が懸賞で当てたシンガポールの旅についていったことがあるんだが、あの時出た料理が美味しくバクついていた。後でカエルの足だと言われてショックを受けたのを覚えている。
ちなみに、今回出されている料理に調味料として家の物を出してる。
粗挽きシオコショウや焼肉のたれ、コンソメ等など。
前にコンソメを食べさせた時のウケが良かったのでスーパーで大量に買ってきている。
「にしても大騒ぎですね!魔王さま!」
「そうだなぁ。あ、その肉とって」
「はい、どうぞ」
「皆勝利に興奮冷めやまぬってやつだな!ジン殿!」
「まぁ、そうだな。後は不安を紛らわせるのもあるだろう」
「そうですな・・・。皆、慣れる戦に不安を覚えているものもいるでしょうが・・・。はてさて、それも数名でしょう」
「そんな、少ないか?もっとたくさんだろう」
「いやいや、そうでもないぜ?なんたって」
「なんたって魔王さまがいらっしゃいますから!」
「その通りでしょうな。ほほ」
「いや・・・はぁ、俺、ただの大学生なんだがなぁ」
「ダイガクセイが何かは知らねぇが。俺たちの大将なのはちがいないぜ!」
「ですです!」
「はぁ・・・まっ!負ける気はねぇけどな!」
「流石でございますな。ほほ」
こうしてポポチ村の夜は更けていった。
翌日。本陣である作戦司令部にていつもの面々が簡易な周辺地図を前に唸っていた。
地図には村を中心に、堀や策が記され西側を戦闘区域とし、森が描かれている。
「で、まぁ。負ける気はないんだが・・・正直敵の兵力が分からない」
「で、ございますな」
「今んところ・・・昨日だけで400くらいか?」
「ですね・・・カウントはしてませんが400は軽く超えているはずです!」
「でだ、その400は消しとばしてやったわけじゃん?残りどれくらいかって訳よ」
「・・・偵察を出すしかないでしょうな」
「偵察ねぇ・・・出来るのか?」
「村民達には無理でしょうな。・・・ただ」
「ただ?」
「彼らならやってくれるやもしれませぬ」
「猟師か」
「はい」
たったららーたららったったーたららーらーらららーらららーらーらー♪
猟師、またの名をハンター。
この村に数名しかいないが巨大な剣や弓を使いこなし、罠をはり獲物をハントする者たちだ。
ジンも最初に猟師だと言われて「絶対にハンター」だと心の中で思った。
逞しい肉体に魔獣の革等で作られた野性的な鎧。
使い込まれた武具に全てを逃さない鋭い眼差し。
そんな、彼らと前線で戦ったジンも彼らの頼もしさはしっかり理解している。
「そうだな・・・猟師達にお願いしよう」
「はい!ハンターを呼んでくれ!緊急依頼だ!」




