第四十二話 「今日の二戦目」
「聞けぇええ!ポポチ村に集う戦士たちよ!戦いの時が来た!!」
張り上げた声にシンと静まり返る。
俺は村人を一人一人見回すように目を向け、両手を広げる。
「またしても性懲りもなく悪の軍勢は我らが村の平和を脅かそうとしている!!」
森の方へと手をかざし、村人全員に見せつけるように声を張り上げる。
「見よ!あの不格好な盾を!否!壁を!!」
悪しき軍勢と指し示した者達を睨みつけ俺は口上を続ける
「今日!昼に大敗を期し、手も足も何もかも出せず撤退した惰弱たる悪の化身どもも、無い知恵絞り盾を!否、壁をもって我々に再度愚かしい進撃を開始した!これは!完全なる宣戦布告と受け取る!奴らの傲慢な進撃に!壁に!我らは敗北するのか?断じて否である!我々の正義の矢を防ごう等と愚かしく考える知能の足りない蛮族に!我らの正義を再度叩き込もうではないか!!!」
「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
「我らに敗北等有り得ない!我らが正義だからだ!」
「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
「では、示そう!正義を示そう!!我々で邪悪なる天界兵共に!!!」
「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
「正義を!!」
「「「「「「「正義を!!!!」」」」」
「正義を!!」
「「「「「「「正義を!!!!」」」」」
「勝利を!」
「「「「「「「勝利を!!!!」」」」」
「総員戦闘準備っ!」
「総員戦闘準備ぃ!」
「総員戦闘準備いいいい!!」
「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」
其処からはある程度、午前中の戦闘の焼きましであった。
村人全員女子供怪我人に至るまでみな弓を持ち矢を構えた。
ただ違いがあるとすれば盾、壁があることだろう。
だがそれは相手にとっても思わぬ方向に作用した。
遅いのだ・・・。
丸太をつなぎ合わせたその壁は攻めてくる殆どの天界兵でどこかしらを支え運んでいるせいか、天界兵の十八番とも言える足を極端に鈍らせていた。
確かに壁は矢を避けた。
前方からの弓矢の攻撃に対しかなりの効果をもたらした。
・・・しかし。
「・・・ジン様。指示通り準備整いました。」
「よし!やれ!」
「はっ!」
ジンの号令とともに、村の北側と南側より20名づつが出撃した。
前方に対し鉄壁(木だが)の防御を誇る壁も、左右にはついていない。
ジンは敵の進軍速度の遅さを突く為ヤンゴニ、コモムの二名に村人の中で足の速いものを選抜させ。
敵を前(村側)、左右から弓矢を射掛けさせる。
壁を押しつつ進撃をしていた天界兵たちは混乱に陥る。
横からの矢に気がついた者も距離の差と壁から手を離せず射られる。
もはや完全な的であった。
そして
「魔王さま!壁が崩壊し始めました!!」
「良し!見よ!諸君!我らが同士達はヤってくれた!崩壊する壁は悪しき者共の心情と同じ!我らの正義の前に屈しようとしているのだ!矢を放て!あらん限り射て!決してその矢は無駄ではない!矢一つ一つが勝利への道を示すのだ!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」」」」」」」」」
勝敗は呆気なく決した。
壁を失い、崩壊の巻き添えになり光と消えるもの。
左右から射掛けられる矢により光と消えるもの。
そして、我武者羅に村へを攻勢にでるも届くこと叶わず、光と消えるもの。
気づけば、一時間もかからずその平原に天界兵の姿はなかった。
残るは勝利に湧く魔族達と光の粒子が風に舞いあげられる幻想的な風景のみだった。
負傷者はまたも0であった。




