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第三十四話 「山賊ですか?」

ガササ

夕方に近い若干薄暗くなってきた森の中。

草木を分けながら進む十数人の人影があった。

「・・・」

「もうすぐ見えてくるはずです魔王さま」

先頭には黒いローブに葉っぱを大量にくっつけた人物。

自衛隊の作戦部隊かと思うほど偽装されたその姿は

明らかに浮いていた。

「なぁ・・・今更だけどその姿なんとかならなかったのか?」

「何を言ってるのですが魔王さま!敵を偵察する正装でございますよ!TVでやってました!」

「またTVか!」

スパーンといい音を立ててメティルの頭を叩く。

「良いスナップのかけ方です!」

「やかましいわ!」

「・・・ジン様。お静かに・・・」

「すまん」

「すいません・・・」

ヤンゴニや他の猟師たちが人差し指を口に持っていきシーっとやってる。

いい年のおっさんの仕草にイラっときたが悪いのは自分なので黙って従う。


ガサゴソ

藪をかき分けて、顔をだす

傍からみたら草の間から突如十数人の顔が飛び出した感じだ。

ある意味ホラーだろう。

実際、目があったうさぎは逃げていった。

「ここから見た感じ・・・だれもいない?」

「人の気配はないですね、魔王さま」

「まぁ、もうちっと近づいてみるか?」

「そうですな・・・行きましょう」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

そのままこそこそ隠れつつ進む十数人

不審者待ったなしの俺達はそのまま砦の主郭にある小屋までたどり着いてしまった。

物見櫓も柵も修理した様子がない。

「もう、この小屋くらいしかないな・・・コモムはドアの左側につけ。他はこの小屋を囲む様に配置」

「ぉぅっ!」

小声の返事を返しみんな散っていくのを確認してコモムにうなずいて合図を送る。

合図にまた頷いて返したコモムは一気に引き戸を開け放つ!

「おうじょうせいや!」

「ぶっころがしてやんよぅ!」

もう、完璧に山賊か強盗である。

「・・・いねぇな?」

「あ、ジン様!食糧があります!」

「お、まぢか!お~い中だれもいない~食糧あったっぽい」

「あ、まじすか?」

「よっしゃ!」

「やりましたね!あ、酒もある!」

「とりあえず、これを村に運ぼうか。」

「「「「ヤー!」」」

「なんでいきなりドイツ式?!」

それはそうと小屋の中には結構な量の食料がある。

考えてみれば当然だ。村二つ分なんだから。

とりあえず十数人で持てるだけ持って撤収することにした。

森の中を物資を背負った草や枝、泥で小汚いおっさん達が笑いながら進む。

盗賊団が獲物を得て喜んでるようにしか見えない。

おかしい、物資を取り返しただけなのに・・・。


その後、人員を増やして数往復することで砦内の物資は全て回収することが出来た。

回収した品は、食物類と酒や塩等である。

こういう場合武器なんかも回収できるような気もしたが、

考えてみればやつらは手斧を無限に出すことが出来る為、元々在庫は無いし。

村からも奪っていないようだった。俺だったら奪うけどなぁ・・・。

ヒャッハーの思考はよくわからん。


「そういえば魔王さま?」

「ん~?」

「あの、もぬけの殻の砦はどうしましょう?」

「どうって?」

「あ~なるほど。補修して使うかってことか?嬢ちゃん」

「はい、考えてみたらカザドルも奪還しなきゃですし」

「その為の足がかりにするということですかな?」

「はい」

確か、コモルの村は砦の西側だったか。

言われてみれば砦を経由するのは悪くない。

・・・が

「めんどくさい」

「「「ぇー・・・」」」

「いや、考えても見ろよ?俺ら働き詰めじゃね?しかもカザドル村民って殆どぶっ倒れてんだぜ?」

「・・・確かに」

「今、奪還しても無意味かもしれませんね」

「だがよう。村長代理としちゃあ・・・」

「あーあー分かってるって。ちゃんと取り返すよ?」

そう、ちゃんと取り返すさ


「精強なエリゴスの軍団とやらがさ」






ジンは全力で人任せの方針らしい。

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