第三十三話 「勝利の宴」
「ふむ・・・なんかおかしくねぇか?」
原付に乗って逃げる天界兵を追撃し消し尽くした俺は、今村の村長宅前の広場にいる。
目の前には怪我を負った村人たちの治療や、炊き出しが行われていた。
現在、スマホで確認したら3時半を過ぎたところだった。
約3時間ほどやりあっていたらしいが・・・。
「なにがですかな?ジン様」
「いや、篭城戦する予定じゃなかったっけ?」
「そうだな。村に篭城して戦ったな!」
「・・・味方の軍団は?」
「間に合いませんでしたなぁ」
「間に合わなかったな」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「なぁんかおかしくね?」
「勝ったんだからイイじゃありませんか!大勝利ですよ魔王さま!」
「・・・うん」
奇跡的に死者は出なかった。
けが人は多数出たが、後遺症が残るほどの人はいないようだ。
短期決戦でかたがついたおかげと言えるが。
「なんだかなぁ」
腑に落ちなかった。
「にいちゃん!」
「お?フェニアじゃん。戻ってきたのか」
「うん!ほかのこもいっしょ!ぱぱがむかえにきたの!」
「ふ~ん?そっちはみんな怪我はなかったか?」
「ん!だいじょうぶ!あとね!みんなでおさかなとってきたよ!」
フェニアの掲げる籠の中には鯉とフナを足したような大きめの魚が入ってる。
「おーすげぇじゃん。メティルと違って有能じゃん?あっちで炊き出ししてるおばちゃん達に渡してあげてくれ。料理してくれるぞ」
「あい!」
「ぐぬぬ」
元気良く右手を挙げて、魚の入ったカゴを手にかけていくフェニア。
それを眼にメティルは唸っていた。
「私が魔王さまの副官なぬおぬぃ」
戦勝祝いよろしく、飲み会・・・じゃないな、酒ないし。
食べ会?宴会?が村の中央広場で行わ得ている。
作和の食材が並べられ、バイキングの様に好きなものを好きなだけとって食べる感じだ。
魚の塩焼きに魚の串焼き、魚の姿焼き。
マコン(ジャガイモ)を蒸したやつにマコンのスープ、マコンをマッシュした・・・
「芋と魚しかねぇじゃねぇか!」
「まぁ、しょうがないですよ魔王さま。食料品は芋以外全部持ってかれたみたいですし」
「つってもよ・・・あ、そうだメティル。何処でもドアだせ」
「?はいです」
俺は繋がった何処でもドアで家に帰りある物を手に取って宴会場へ戻ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさいませ。どうしたのです?」
「あ?これだよこれ」
「なんですそれは」
「ふっふっふ」
俺は高らかにソレを掲げる
「AZINOMOTOコンソメだ!」
「おおおおおおお・・・?」
分かってないらしい
「まぁ、いいちょっと待ってろ。オバチャーンスープにこれぶち込んでぇ!」
そしてできました。
「マコンのコンソメスープ」
「わーぱちぱちぱち」
「にいちゃ!スープからいいにおいがする!」
「いつの間に現れたフェニアよ。まぁいい食べるが良い」
「頂きます!」
「いただきます!」
・・・
「おいしい!」
「うまー!」
「だろう?正直芋スープ味しなかったしな。これで結構食えるようになったぜ」
「おかわりしてきます!」
「あたしも!!」
コンソメ味にかわったスープを食べた村人の間で歓声が湧き上がる中へフェニアとメティルが皿を持ってかけていく。
「・・・はぁ、天界兵どもが食糧を奪って行かなければもうちょいましな・・・」
俺は其処まで考えて思考がストップしてしまう。
「・・・あ”」
Q:食料を奪っていった天界兵は何処へもっていった?
A:建設中の砦
Q:そもそも攻めてきたのは天界兵全部?
A:分からない
Q:残っているとしたら、どこにいる?
A:砦
Q:攻めた奴らが帰ってこなければどうする?
A:状況を確かめ、次の行動に出る。敵討ちにくるか自分達の上位がいれば其処へ報告。
俺は、其処まで考えサっと体温が低下する感じがした。
「ヤンゴニー!コモムー!」
俺の大声が宴会場に響き渡る。
それまで楽しげに談笑していた村人たちがサッと口をつぐみ、俺や村長たちへ目を向ける。
「誰か!敵の砦を偵察したか!?」
「「「「「「「・・・あ”」」」」」」」
村人全員が一斉にただ一音だけ口にした。
だれもそこに思い当たらなかったらしい・・・。
魔族やジンは基本アホです




