第二十七話 「ほうれんそうは大事」
俺が原付を押しながら集合場所である村に到着したのは明け方だった。
どこからか小鳥の囀りが聴こえてくる。爽やかな朝だ。
スマホで確認すれば時刻は6時。
そんな時間にも関わらず、原付を押す俺が村の入口に近づいてきた時、数名の人たちに迎えられた。
「魔王さま!」
「にいちゃん!」
「おう、そっちはうまくいったみたいだな」
「「はい!」」
数名のうちふたりはメティルとフェニア。
そしておっさん二人だった。
「ここポポチ村の村長ヤンゴニと申します。この度は救出くださりありがとうございます」
「俺は森の南西にあるカザドルの村長代理コモムだ。嬢ちゃんたちに聞いた。救出感謝する」
ポポチ村の村長とカザドルの村長代理と握手を交わす。
ポポチ村村長は、初老の60代位に見える白髪まじりのおじさんだ。
対してカザドルの村長代理は20代後半にみえる。結構いかつい感じだ。
「ん?カザドルの村長代理?」
そこで疑問が生じる。
何故、別の村の人間が?ここポポチ村っていってたよな
「あぁ・・・。俺達カザドルの村は5日ほど前に襲撃受けてな。」
「5日前?」
「そうだ、俺達は先にあの砦建設で労働されてたんだ。そんで、昨日一緒に逃げさせてもらった」
「なるほどな・・・」
「襲撃の時、親父がやられちまってな・・・俺が今代理だが村長やってる」
「・・・分かッた」
「さぁさ・・・ここで話すのもアレなので私の家に向かいましょう」
ヤンゴニに促されるまま村の入口から村長宅へ向かう。
村の道を進む際、各家の中でごそごそやる音と井戸の前でへたり込む人々が目に付いた。
パット見ただけでもかなり疲弊している。
「改めてお礼申し上げます。この度は救出ありがとうございました」
招かれた村長宅は他の家より広く造られており、玄関を入ってすぐ広い部屋になっていた。
たぶん、ここがこの村の集会場にもなっているのだろう。
住居はこの広間から奥にあるようだ。
「正直、フェニアに頼まれたし救出はしたが・・・たぶんまた襲ってくるぞ?」
「あぁ、間違いねぇな」
「はい・・・」
「で、再度襲ってきたとして・・・大丈夫か?」
「・・・正直きびしいです」
「・・・あぁ」
「・・・まぁ、乗りかかった船だ俺もなんか手伝うわ。とりあえず状況を整理しようか」
「はい」「応」
俺達は現状を確認する作業から始める。
各自頭で思っていてもダメだ。口に出して確認していく。
「まず、現状の住民の状況だ」
「では、私の方から。ポポチ村の住民は全部で200名程です。襲撃からこれまでに死者や重傷者は出ていませんが軽傷者は・・・多数います。天使共め、子供たちにまでムチをふるいおって・・・。」
「俺の所の住人は・・・80人だな・・・。襲撃の際やりあって半数が殺られた。それと、もう5日も何も食べていない、ぼろぼろだよ」
「・・・酷いな」
「今、この村の食糧などの確認を行っています。とにかくある物をかき集めて炊き出しをしようかと」
「ポポチ村村長!感謝します!」
「いやいや、隣村同士じゃないですか。お互い助け合いましょう」
「ありがとうございますっ!」
「ん~、炊き出し、傷の手当て・・・その二つはそのまま進めよう」
「はい」
「ああ」
「でだ、天使対策。これも早急だよな」
「ですな。私の息子に領主様に救援をお願いしに行かせようかと」
「領主様?」
「えぇ、ここはエリゴス公爵領になります。公爵様は60の精強な軍団がおります」
「あぁ、公爵様の軍勢が来てくれれば天使共なんか!親父やみんなの敵も・・・!」
「なるほどな・・・なら。俺たちがするべきは」
「篭城戦」
五人しかいない静かな集会場につばを飲む音とイビキが木霊する。
つか、メティルとフェニアは寝ていた。




