第二十話 「まぁぼといたら」
昼食を終えた俺たちは、ブルーシートを畳みまた歩き出す。
よく森の中では方向感覚が狂うという話を聞くがそれは森に限った話じゃないと思う。
俺たちは方位磁石のおかげで真っ直ぐすすめているが、これがないと迷うね絶対。
見渡す限り草原だし、道なんてない。
現代日本で生活する上で道が一切無い草原を歩くなんてことは無い。
どんなド田舎でもアスファルトがなくても砂利道くらいあるし、道を歩けば民家がある。
RPGのMAPのような場所なんてそうそうない。
人工物の一切ない草原は何気に俺の心を不安にさせる。
そして不安を解消するために
俺はメティルを叩く。
「あいた!なんで叩くんです!?」
「いや・・・悪い」
「悪いと思うなら叩かないでください!」
「悪かったって、ちょっと不安になってさ・・・」
「不安になって、叩くって・・・魔王様はどんだけ理不尽なんですか!」
そんな風にメティルで遊びつつ、休憩を入れながら歩くこと早数時間。
空に輝く太陽が(・・・あれって太陽だよな?)地平線の方に大分傾いてきた。
俺はスマフォを取り出し時間を確認した。
午後4時30分
「なぁ、今日はここまでにしようか」
「あ、はい魔王様」
俺は立ち止まりあたりを見渡す。
うん、人工物一切なし。
これ・・・いつになったらその魔王城につくんだよ。
そんな風に脱力している時。俺はふと思いついた。
「~♪。魔王様ぁここの記録終わったので転移門だしますね~」
「あ、待ってくれ」
「はい?」
「ドアを繋げる場所なんだが、家の庭にしてくれ」
「?は~い」
メティルは一瞬怪訝な顔をしたがドアを召喚した。
ドアを潜る際数十羽のうさぎが立ち上がり俺の方を見てきたが
シカトした。
「ドアを潜るとそこは庭でした・・・」
「はい~」
注文通りメティルは庭にドアを繋げたらしい。
俺たちは玄関から家の中に入りリビングへと向かった。
いつもなら母親がTVを見ているのだがその様子はない。
「ただいま~」
「ただいま~」
「いや、お前はお邪魔しますだろ?なに我が物顔で言ってんだ?」
「ぇー」
リビングはもぬけの殻で二階にも人の気配はない。
ふむ・・・?
その時俺のスマフォがブーブーっと振動した。
『商店街の福引でグアム一週間ペアチケあたっちゃった!今からパパといってきます~ご飯は適当に食べてね( ^o^ )✩あ、弟か妹ができちゃうかもよ?くふふ』
「オイオイマジカヨ・・・フットワーク軽すぎだろ。いや、そんなことどうでもよくて・・・はぁ」
俺は母親からのメールに適当に返信してスマフォをポケットにしまう。
「・・・おう、飯作るからて伝え」
「はい!魔王様」
俺たちはキッチンに移動する
そこでふと思った。
「おまえ・・・料理できるよな?」
「・・・(*´∀`*)」
「・・・そこでおとなしく座ってろ」
「はい!魔王様!」
炊飯器に米が炊かれているのを確認し、冷蔵庫を物色する。
中には豆腐(賞味期限が昨日)が一丁。
あとはこんにゃくやらと野菜類、肉は無し・・・。
俺は豆腐を取り出し冷蔵庫を閉めた。
ま・・・こんな時は丸MIYAだよな。
賞味期限一日くらい無問題だ。
俺は棚から丸MIYAの箱を取り出しささっと調理した。
「おいしい!辛い!なにこれ!ウマ!」
「黙って食え」
俺は麻婆丼を貪りながら激しく絶賛している欠食児童に目をやる。
まぁ、早い旨い安いの麻婆は素晴らしいとおもうから異論はないがね。
「これ、なんていうのですか!?すごいですね!」
「あ~これは独身男性の味方。麻婆っていうんだよ。気に入ったか?」
「はい!おいしいです!」
「まぁ、明日もあるんだ。ちゃんと食って体力つけろよこのカスが」
「なんでいきなり罵られたかわかりませんが体力つけます!」
「そのイキで食え」
「はい!」
「声が小さい!」
「はいっ!!!」
「うるさい黙れ無能が喋るな」
「酷い・・・」
こうして魔界冒険一日目の夜はふけていった。
まだまだ魔王城は遠そうだ。




